人々の “健康促進” のために!

人々の “健康促進” のために!
2015年春、沖縄の琉球大学キャンパス内 (産学共同研究棟) に立ち上げた “PAK研究センター” の発足メンバー(左から4人目が、所長の多和田真吉名誉教授)
For detail, click the above image.

2014年2月22日土曜日

ゲットウ (月桃) の葉エキスも健康長寿の元!

沖縄や台湾など亜熱帯地方に生息するショウガ科のゲットウ (月桃、沖縄ではサンニンとも呼ばれる) の葉のエキス(精油) 中に、センチュウの寿命を延ばす成分が含れていることが昨年、沖縄の琉球大学農学部にある多和田真吉教授の研究室などによって、明らかにされた(1)。 この成分はゴーヤの苦味成分(ククルビタシンなど)と同様、センチュウの熱ショック蛋白を作る「HSP16」遺伝子の発現を誘導し、熱耐性をもたらす。 更に、このエキスに美白効果 (メラニン合成を抑える作用) もあることを分かった。 従って、このエキスがPAK遮断剤を含むことはほぼ確実である。

沖縄では、この葉にムーチーを包んで蒸す。沖縄ではこの用途のために需要が一定存在するが、栽培されることはあまり無く、ムーチーの季節である冬至前になると野生のゲットウが大量に収穫される。沖縄ではこのほかに香り付けを兼ねて饅頭の包装に使用されたり、肉や魚を包んで蒸し焼きにするなど幅広く利用されている。ブルーシールアイスクリームのフレーバーの一つにもなっている。

参考文献: 

1。 Upadhyay A, Chompoo J, Taira N, Fukuta M, Tawata S. Significant longevity-extending effects of Alpinia zerumbet leaf extract on the life span of C. elegans. Biosci Biotechnol Biochem. 2013; 77: 217-23.

2014年2月19日水曜日

ゴーヤの苦味成分 「ククルビタシン」 も PAK遮断剤!

ククルビタシン(cucurbitacin)はウリ科植物に特有のステロイドの一種であり、トリテルペンに属する。特にゴーヤに多く含まれ、モモルデシチンとともに強烈な苦味の元になっている。
2010年にカリフォルニア大学(UCLA)の研究グループにより、ククルビタシンB  (1 mg/kg) が (PAKの活性化に必須な) チロシンキナーゼ 「JAK2」 を抑えることによって、スイゾウ癌の増殖を強く抑制することを動物実験で実証した (1)。  従って、ゴーヤの苦味成分もPAK遮断剤であることが判明したわけである。  PAKが寿命を縮めていることを前述した。 沖縄県民の健康長寿の秘訣の一つが、ゴーヤの苦味成分である可能性が強い。

参考文献:
1. Iwanski GB, Lee DH, En-Gal S, Doan NB, et al. Cucurbitacin B, a novel in vivo potentiator of gemcitabine with low toxicity in the treatment of pancreatic cancer. Br J Pharmacol. 2010, 160: 998-1007.

産学共同の「PAK研究センター」(PAK研)構想について

前述のごとく、「PAK」というキナーゼ(タンパク質リン酸化酵素)は癌を含めて様々な難病/疾患の共通元凶になっているばかりではなく、メラニン色素の生合成や万能細胞の作製(細胞の脱分化)にも必須である。従って、このキナーゼを抑制する薬剤(PAK遮断剤)は明らかに、癌などの難病の予防/治療に役立ち、我々人類の「健康長寿」に大いに寄与するばかりではなく、美白にも貢献する。

しかしながら、PAK研究の大部分は今日まで、欧米、豪州、シンガポールでは盛んであるが、日本国内では殆んど進められていない。言い換えれば、我が国はいわゆる「スーパーコンピューター」の開発には莫大な予算を計上しているが、医学分野の最先端「PAK研究」 (特にPAK遮断剤の開発研究) には、一文も予算を使っていない低開発国 (医学おんち!) 同然である。 そこで、私は日本政府 (厚生省)、製薬会社、化粧品会社、健康食品会社に向かって、次のような提言をしたい。

欧米諸国レベルに追い付くために、我が国初の国際的な「PAK研究センター」(PAK 研) を産学共同で (政府、製薬/化粧品/健康食品会社からの共同出資によって)できるだけ早期に、沖縄県あるいは筑波学園都市に設立しようではないか! 

研究所の設置を沖縄あるいは筑波に提案する主な理由は、沖縄には公用語を英語とする沖縄科学技術大学院 (OIST)が、ノーベル賞科学者 (シドニー・ブレナー博士や利根川進教授など) の音頭で、数年前から起動しており、筑波にも「産総研」(産業総合研究所) など、国際的な研究所が既に順調に稼動しているからである。しかしながら、OISTにも「産総研」にも、PAK研究チームは未だ皆無である。 従って、「PAK研」へ海外のPAK研究エキスパートをまず緊急に動員する必要がある。

 「PAK研」設立をめざす第一歩として、沖縄か筑波で、海外のPAK研究エキスパートを一同に集めた 「PAK研究に関する国際学会」(International Conference on PAKs=ICP) を近い将来、開催する必要があろう。

2014年2月13日木曜日

グリーベックにも美白効果 (PAK遮断作用) !


前述したが、グリーベックは発癌性チロシンキナーゼである「ABL」や「KIT」などの阻害剤として知られており、稀少癌である「CML」や「GIST」の特効薬として、10年以上前から市販されているが、この薬剤を長期に使用している(特に東洋人系)患者の間に、肌や頭髪が白くなる副作用が、数年前から観察され始めた。本年になって、そのメカニズムが中国の研究グループによって解明された。この薬剤の標的「KIT」はRASを介してPAKを活性化することが知られているが、(この薬剤が) その更に下流にある転写タンパク質「MITF」とチロシナーゼの発現を抑えることによってメラニン合成を抑制することが確認された (1)。

言い換えれば、色素細胞、万能細胞、NF腫瘍など「KIT」依存性の細胞に関しては、グリーベック市販のPAK遮断剤の仲間になりうるのだ! 従って、グリーベックあるいはその誘導体 (ニロチニブ) がPAK依存性のNF腫瘍 (MPNST やシュワノーマ) 細胞の増殖を抑えるという最近の報告は、驚くにはあたらない (2)。

 参考文献:
1. Wang Y, Zhao Y, Liu L, Zhang L, et al. Inhibitory effects of imatinib mesylate (gleevec) on human epidermal melanocytes. Clin Exp Dermatol. 2014, in press.

2.  Sabha N, Au K, Agnihotri S, Singh S, et al. Investigation of the in vitro therapeutic efficacy of nilotinib in immortalized human NF2-null vestibular schwannoma cells. PLoS One. 2012; 7: e39412.