人々の “健康促進” のために!

人々の “健康促進” のために!
2015年春、沖縄の琉球大学キャンパス内 (産学共同研究棟) に立ち上げた “PAK研究センター” の発足メンバー(左から4人目が、所長の多和田真吉名誉教授)
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2015年3月28日土曜日

空の悲劇: 副パイロット、天国に向かう最後の飛行!

バルセロナ発、デユッセルドルフに向かったドイツ格安飛行機は、フランス上空でアルプスに向って急降下して、搭乗者・乗客全員を天国に送った。墜落直前に操縦席にいたのは、副パイロットのアンドレアス=ルビッツ(27)だけだった。警察の調べによると、彼の自宅には“操縦(勤務)は不可能”という医師の診断書が残されていた。ルビッツは6カ月ほどうつ病などで、勤務を中断していた。もし、精神病医がプロポリスなどのPAK遮断剤を処方していたら、恐らくうつ病は軽減され、このパイロットは今回の“天国への最後の飛行”を決行しなかったかもしれない。PAKというキナーゼは癌ばかりではなく、様々の難病の原因になっている。認知症、うつ病、自閉症、統合失調症(精神分裂症)などの“脳の病気”がPAK依存であることが分かっている。もし、この精神病医が常日頃勉強をしていれば、(ドイツでは正式に“医薬”として認定されている)プロポリスがこれらの精神病に有効であることを知っていたはずである。診断書を書くだけではなく、有効な治療薬をこのパイロットに処方すべきだった。。。

2015年3月22日日曜日

“Click Chemistry” を応用した “Triazole 環” の付加
(酸性の天然PAK 遮断剤の作用を増強するために)

天然のPAK遮断物質には、ウルソール酸やARC (Artepillin C) など、分子中にカルボン酸を有したものがある。これら酸性の物質は細胞膜を通過しにくいため、薬理作用が弱いので、臨床には不向きである。そこで、その細胞膜透過性を高めるために、そのカルボン酸の水酸基に水溶性の “Triazole 環” を付加するという解決法が最近、インドの科学者によって、少なくともウルソール酸で成功している(前述)。“Triazole 環” を付加する方法はいくつかあるが、最近よく使用されているのは、“Click Chemistry” を応用したアプローチである。 この方法は米国のScripps 研究所の Barry Sharpless 教授によって、20世紀末に発明された方法で、Cu 触媒を利用した水中で進行しうる比較的温和な、かつ収率の極めて高い化学反応である。

Click」とは、シートベルトがカチッと音を立ててロックされるように、素早く確実な結合を作る様子をたとえた言葉である。アルキンとアジド化合物が付加環化反応を起して1,2,3-Triazole 環を作ることは1961年にロルフ・フイスゲンによって報告されている。 Sharplessはこの反応 (Huisgen Reaction) を、“Click Chemistry”の中心的な反応として位置づけた。


 
 
 
インドでは最近、薬剤のカルボキシル基に"Triazole環"を付加して、その薬理作用を増強させる試みが流行っている。有名な鎮痛剤 “アスピリン”[アセチルサリチル酸]はPAK遮断剤の一種であるが、カルボキル基があるため、細胞透過性がひどく悪い。脳腫瘍細胞に対する IC50 2 mM 2000 microM)である。 ところが、Triazole環を付加すると、その抗がん作用が少なくとも 20倍に上がる(IC50=100 microM)。 もっとも、IC50=100 microMでは、抗がん剤としては、まだ実用性がないが、例えば商標 “Azapirin”で、鎮痛剤や美白剤として販売すれば、飛ぶように売れるに違いない。
 
 
 

2015年3月21日土曜日

身長が短い(小人)ほど長生きする可能性あり!


米国ハワイの研究グループによる(日系ハワイ人8000名以上を対象とした)最近の調査結果によれば、短身(158センチ以下)の方が長身(165センチ以上)よりも“長生き”する(健康長寿である)という、驚くべき事実が明らかになった(1)。実は、この相関関係はマウスや線虫などの小動物では、既知の事実である。 さらに、(PAKによって、発現が抑制される)長寿遺伝子“FOXO3 上のポリモーフィズム[塩基配列の微妙な差違]に、長身と短身が反映されていることも判明した。 従って、この遺伝子のポリモーフィズムを調べれば、生まれた赤ん坊が将来、短身・長寿になるかどうかを予測しうる可能性がある。。。 もちろん、(プロポリスなど)PAK遮断物質を豊富に含む食材を努めてダイエットすれば、長身でも健康長寿を楽しみ事はできるだろう(氏より育ち!)。 逆に短身でも波乱万丈な人生を送ったナポレオンや野口英世は50歳前後でこの世を去った。 例外のない法則はなし!

参考文献:
1. shorter men live longer: He, Q. et al. PL0S One 2014, 9: e94385

 

2015年3月16日月曜日

競歩がもたらす “意外な” の効用!

全日本競歩選手権大会(石川県能美、3月15日)で開かれた20キロ競歩レースで、 地元出身の鈴木雄介選手(富士通、27)世界新記録(一時間16分36秒)を樹立した! これは(欧米選手に比べて)足の短い日本人選手にとっては、まさに快挙である。鈴木選手は2011年の世界選手権20キロ競歩で8位に入賞したことがある “競歩のベテラン” である。彼の次の夢は、五輪で金メダルを取ることである。

今から半世紀以上昔、私が高校一年生の頃、東京の神宮外苑で(元旦)競歩レースに初めて遭遇したのをきっかけに、競歩選手になることを志した。当時私の身長は133センチ、全校1200名中(女生徒を含めて)最も“チビ”だった。“丸チビ” という愛称で呼ばれていた。何とか身長を伸ばそうと色々な努力したが、最後に競歩が功を奏した。以後毎年10センチ以上伸び、高校卒業時には、今の身長167センチに到達した。当時、日本競歩界は、実業団選手ばかりで占められ、高校生や大学生は一人もいなかった。 私は (わが母校の応援歌に象徴化される“ただひつ”(ただ独り)の存在 だった。

当時、私ばかりではなく誰もが、(足の短い)日本選手が競歩の世界記録を樹立することなど “奇跡“ に等しいと思っていた。今、それが間違いだったことが証明されて、実にうれしい! 
1950-60年代の世界記録は長身の北欧やソ連の競歩選手によって、毎年塗り替えられていた。

競歩(汗を流しながら、スピードで歩くこと)には、もう一つの効用がある。 
間接的にPAKを遮断するため、健康長寿にも役立つ。

2015年3月1日日曜日

結核の特効薬 「リファンピシン」 も 「PAK」 遮断剤 (長生きの薬) !


我々は2、3年前に、PAK遺伝子を欠損したセンチュウ株 (RB689)が野生株より6割ほど長生きすることを発見し、PAKが「老化キナーゼ」であることを実証した (前述)。驚くなかれ、結核の特効薬として知られている抗生物質「リファンピシン」もセンチュウの寿命をちょうど6割延ばすことが、最近インドの研究グループによって発見された(1)

その延命効果には少なくとも2種類の遺伝子産物が必須であることが判明した。その一つは「PTEN」と呼ばれる抗癌フォスファターゼである。この酵素は発癌/老化キナーゼ「PAK」を遮断することが知られている。もう一つは「FOXO」と呼ばれる転写/長寿蛋白である。「FOXO」の転写機能はPAKによって阻害される。従って、この結核の特効薬が「PTEN」を介して、「PAK」を遮断し、長寿蛋白「FOXO」を活性化し、HSP16 (熱ショック蛋白) を活性化している可能性が高い。 サリドマイドやレスベラトロールも上記のメカニズムでセンチュウの寿命を延ばすことが知られている。多数の奇形児を発生して悪名高かった「サリドマイド」が最近、抗癌剤として使用され始めている。

従って、結核の特効薬「リファンピシン」は (結核患者ばかりではなく) 健康な人々にも、ありがたい効用をもたらすようである。ただし、妊婦は「サリドマイド」と同様、この結核の特効薬を避けるべきであろう。

参考文献:
  1. Golegaonkar S, Tabrez SS, Pandit A, Sethurathinam S, et al. Rifampicin reduces advanced glycation end products and activates DAF-16 (FOXO) to increase lifespan in C. elegans. Aging Cell. 2015 Feb 26.