2010年になって、中国の広東省にある孫文大学のジー・ユアン(袁)教授の
研究室が南シナ海沿岸のマングローブに寄生するカビの一種が生産する抗生物質
で、アントラキノン誘導体「SZー685C」が抗癌作用を持つことを発見した。
この抗癌メカニズムを研究しているうちに、発癌性のあるキナーゼであるAKT
とPAK1が抑制されていることを見つけた。というのは、これらのキナーゼは、
その下流にある抗癌性の転写蛋白「FOXO3a」と「FOXO1」をそれぞれ
燐酸化して、失活させることが既にわかっていたが、この抗生物質が乳癌細胞中
のこれらのFOXOの燐酸化を強く抑えることを突き止めた。 従って、この海洋
産物は、癌やNFなどのPAK依存性の難病を治癒するばかりでなく、FOXOを
介して寿命を延ばす効果もあることが示唆される。更に、面白いことには、
この抗生物質の化学構造がPAK遮断剤である「エモディン」に極めて類似
している。 従って、「エモディン」同様、AMPKを活性化して、血糖値を下げ
ることによって、タイプ2型の糖尿病の治療にも役立つという可能性も出てきた。
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