直木賞作家であり、翻訳家でもあった常盤新平さん (1931ー2013) が本年1月に
肺炎でとうとう亡くなったのをごく最近知りました。 新平さんの名を私が初めて
知ったのは、数年前に、我々がノーベル賞作家「パール・バック女史」の名作の一つ、
「Command the Morning」(1959年出版)の完訳「神の火を制御せよ: 原爆
を作った人々」(こみち書房、2007年)を出版直後、ある大阪の読者から、
1960年代初め (中学生時代) に、この原書の新平さんによる抄訳「原子雲の
かなたに」 を、ある受験雑誌の付録として、読んだことがあり、感動したので、
学校の国語の授業で、その感想文を書いたことがあるという意外な投書を受け取っ
た時でした。 あんな有名な翻訳家の手でも、(米国の) 原爆を作った人々に関する
邦訳は、日本の出版社では、まともに出版できないほど、当時の日本人の間では、
「原爆に対する拒絶反応」がいかに根強かったのかが如実に伺える。。。
最近になって、その「幻の雑誌」が学研の「高校生コース」(高校生活教養文庫、
1961年6月号)であることが判明しました! この雑誌(既に廃刊!)の付録が
横浜にある神奈川近代文学館と広島の平和記念資料館にまだ保存されている
ようです。 新平さんと当時の"学研"スタッフの「先見の明」に、改めて敬意を表したい!
存命中にぜひ一度(新平さんに)お会いしたかったのですが、既に「帰らぬ人」
となり、誠に残念です! 彼の冥福を心から祈りたい! 最近まで、青土社と
いう出版社の嘱託/編集顧問をしていました。(2、3年前に、GFPに関する
英書の邦訳の件で)メールを1、2度やりとりしたことがあります。 私は来年
の夏に (東京の実家に一時帰国の折) 、横浜まで出かけ、この抄訳(挿絵付きの
「時代小説」) をぜひ閲覧したいものだと思っています。 挿絵は新潟出身の三芳悌吉さん(1910ー2000)
の作品だそうです。 因みに、絵本「ある池の物語」という
新潟のあるカトリック教会の脇にあった「異人池」の歴史を綴った作品が三芳さんの代表作です。
パール・バックはこの小説の末尾で「原子力エネルギーの代わりに太陽エネルギー
(神の火)を駆使せよ!」と、主人公ジェーン・アールの言葉を通じて、強く読者に訴えて
いる。 つまり、この作品は「核兵器撤廃」と「脱原発」をめざす闘いの先駆けを
なしている。 今でも遅くない! 進歩的な元首相 (管さん、小泉さん、細川さん) や共産党などと
ぜひ共闘して、もう放射能の垂れ流しをせぬ真に「美しい日本」を再建しようではないか!
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