ある有名な放射線医はその著作で、「転移癌(末期がん)を放置せよ」としきりに唱えている。しかし、ただ放置したままでは、転移した癌は治らず、間もなく患者は死んでしまう。だから、あまり建設的な意見とはいえない。さらに分子レベルの発癌メカニズムを全く無視した(前世紀的な)暴論ともいえる!
乳癌、肺がん、すい臓がん、大腸がんなど大部分の固形癌の増殖や転移には、PAKというキナーゼ(蛋白リン酸化酵素)が必須であるが、正常な組織の成長には、PAKは必要ない。従って、PAKを遮断すれば、副作用なしにこれらの固形癌の増殖・転移を選択的に阻止することができる。
PAKを遮断する薬は目下開発されつつあるが、不幸にして、まだ市販には至っていない。しかしながら、面白いことには、我々の身近にある多くの天然物(特に植物由来の産物)の中には、PAKを遮断する物質が豊富に含まれている。ミツバチが調剤する「プロポリス」という生薬がその典型的な一例である。
ドイツには「養蜂家は癌にかからない」という古い諺がある。実際の調査結果によれば、3千人に一人の割合で、養蜂家も癌にかかることが明らかになった。普通の人は、3人に一人の割合で癌にかかるから、養蜂家は千倍ほど癌にかかりにくいことになる。なぜだろうか? 25年ほど前に、その謎が解けた。
ミツバチの産物には、主に3種類ある。蜂蜜、ローヤルゼリー、プロポリスである。そのうち、蜂蜜やローヤルゼリーにはほとんど抗癌性がない。ところが、米国ニューヨークにあるコロンビア大学の癌学者(グルンバーグ博士)が、プロポリスの中にあるCAPE(コーヒー酸フェネチルエステル)というポリフェノールが、がん細胞の増殖を強く抑えることを発見した。その上、CAPEは正常細胞の増殖に影響を全く与えなかった。
以来、CAPEを含むプロポリスが、制癌剤に効かない末期がんの治療に利用されるようになった。面白いことには、CAPEにはPAK遮断作用がある。ブラジル産のグリーンプロポリスには、CAPEの代わりに、ARC(アルテピリンC)と呼ばれるPAK遮断物質が含まれ、同様に固形腫瘍の増殖を(悪性でも良性でも)抑える。かの放射線医は、良性腫瘍を「癌もどき」と呼び、放置で治癒できると主張しているが、NF(神経線維腫症)などのPAK依存性の(脳内)良性腫瘍は自然放置では治らないが、プロポリス服用で予防や根治が可能である!
そればかりではない。PAKは腫瘍を伴わぬ多くの難病にも深く関与している。例えば、種々の感染症(エイズ、マラリヤ、流感など)、炎症(喘息やリューマチなど)、糖尿病(2型)、認知症、癲癇、うつ病、精神分裂症、自閉症などである。従って、プロポリスをはじめ多くの他のPAK遮断生薬(例えば、センシンレン、黄蓮、紅景天、雷公藤など)や食材(例えば、納豆、ブルーベリー、インドカレー、花椒など)は、これらの難病の治療にも有効であると考えられる。従って、癌やこれらの難病に苦しむ患者を放置したままにすべきという議論は、もはや「時代遅れ」になりつつある。
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