人々の “健康促進” のために!

人々の “健康促進” のために!
2015年春、沖縄の琉球大学キャンパス内 (産学共同研究棟) に立ち上げた “PAK研究センター” の発足メンバー(左から4人目が、所長の多和田真吉名誉教授)
For detail, click the above image.

2013年5月6日月曜日

赤血球の寿命もAMPKに依存する

40年以上も昔の話であるが、私が博士研究の一部として、マクロファージによる
赤血球の貪食メカニズムを調べているうちに、次のような面白い発見をした。(試
験管内で) 赤血球は通常、異種のマクロファージによって、貪食を受けるが、同
種のマクロファージには貪食され難い。つまり、「自他の認知」が(抗体の存在し
ない状態でも) 貪食レベルで観察される。ところが、(老化に伴ない) 赤血球内の
グルコースレベルが下がると、同種のマクロファージによっても貪食され易くな
るという現象を見つけた (1)。 しかし、その詳しいメカニズムは長らく不明のま
まだった。

2011年になって、パリの研究グループがその謎の一部を遂に解いた。AMPK
遺伝子を欠損したマウスでは、赤血球が速やかに貪食されるため、貧血症状が
起こる (2)。 勿論、この貧血マウスは、野生のマウスに比べて、寿命がかなり短
くなるだろう。 面白いことに、AMPKというキナーゼは、細胞内のグルコース
レベルが下がると活性化され、血中から細胞内へグルコースを取り込むために必
須なGlutー4を活性化する。 従って、AMPK欠損マウスでは、グルコース
の補給ができないため、赤血球の老化が (釣瓶落しに) 進み、貧血症状になるわ
けである。 言い換えれば、糖尿病の患者は恐らく、急性の貧血に常時悩まされて
いるのだろう。

参考文献:

1) Maruta H, Mizuno D.  Selective recognition of various erythrocytes in
endocytosis by mouse peritoneal macrophages. Nat New Biol. 1971:  234、246-8.


2) Foretz M, H蛯rard S, Guihard S, Leclerc J, Do Cruzeiro M, Hamard G, Niedergang
F, Gaudry M, Viollet B. The AMPK?1 subunit plays an essential role in erythrocyte
membrane elasticity, and its genetic inactivation induces splenomegaly and
anemia.FASEB J. 2011: 25、337-47.

0 件のコメント: