人々の “健康促進” のために!

人々の “健康促進” のために!
2015年春、沖縄の琉球大学キャンパス内 (産学共同研究棟) に立ち上げた “PAK研究センター” の発足メンバー(左から4人目が、所長の多和田真吉名誉教授)
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2014年4月9日水曜日

自閉症ばかりではなく、統合失調症 (精神分裂症) もPAK遮断剤で治療しうる!

数年前、自閉症の一種(脆弱症候群) がPAK依存性の難病であることが、MITの利根川 進教授のグループによって、明らかにされて以来、認知症などいくつかの神経疾患もPAK依存性であることが続々にわかった。 そこで、これらの神経性難病の治療薬として、PAK阻害剤の開発が米国の「アフラキス」というベンチャー会社で開始され、まず「FRAX486」という合成新薬が開発された。利根川教授のMITグループは、2013年初めに、動物実験でこの新薬が脆弱症候群 の症状を軽減することを実証した (1)。

3年ほど前に、米国のカルフォルニア大学で、センチュウを実験材料に使用して、PAKが統合失調症にも必須であることが証明された (2)。  統合失調症の一因は、「DISC1」と呼ばれる抗癌タンパク質が欠損/不全であることが知られている。 このタンパク質の機能不全が起こると、PAKが異常に活性化される。 いいかえれば、「DISC1」は元来 PAK遮断タンパク質の一つなのだ。

さて、ごく最近になって、米国のボルチモアにあるジョンス・ホプキンス大学医学部の 澤 明 (あきら) 教授 (東大医学部卒) のグループが 「DISC1」 を欠損した (統合失調症) マウスを実験材料にして、PAK阻害剤 (例えば、FRAX486など)が、統合失調症によって発生する神経伝達末端 (シナプス) の損傷を遅延あるいは修復することを証明した (3)。 この研究の原動力となった林 (高木) 朗子(あきこ) 博士は、東大医学系大学院に戻って、助教授 として目下活躍! 

従って、近い将来、統合失調症は、プロポリスなど様々なPAKを遮断しうるハーブ類や市販合成医薬品 (例えば、血圧低下剤「グアナベンズ」や抗MS剤「フィンゴリモド」など ) によって治療しうる可能性が出てきた! 

参考文献:  
1. Dolan BM, Duron SG, Campbell DA, et al: Rescue of fragile X syndrome phenotypes in Fmr1 KO mice by the small-molecule PAK inhibitor FRAX486. Proc Natl Acad Sci U S A. 2013 ;110:5671-6.

  2. Chen SY, Huang PH, Cheng HJ. 2011. Disrupted-in-Schizophrenia 1-mediated axon guidance involves TRIO-RAC-PAK small GTPase pathway signaling. Proc Natl Acad Sci U S A. 108:5861-6.
  3. Hayashi-Takagi A, Araki Y, Nakamura M, Vollrath B, et al. PAKs inhibitors ameliorate schizophrenia-associated dendritic spine deterioration in vitro and in vivo during late adolescence. Proc Natl Acad Sci U S A. 2014 Apr 3. In press.

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