発生することが知られているが、10年以上前に我々は、このメルリンの直接
標的が発癌キナーゼ「PAK 」であることを発見した。メルリンは「PAK」阻害蛋白
なのである。 従って、メルリンが機能不全になると、「PAK 」が異常に活性化される。
いいかえれば、「PAK」を抑えれば、神経線維腫症(タイプ2, NF2) を治療しうる
わけである。 実際、プロポリスなどの「PAK」遮断剤は、臨床においても、数年前
からNF2 の治療に広く使用され始めた。
さて、ごく最近になって、メルリンのもう一つの機能が発見された。 この蛋白が
機能不全になると、「PAK」の活性化に必須なG 蛋白「RAC」も異常に活性化
されることが米国のセントルイスにあるワシントン大学のデビッド=ガットマンの
グループによって、明らかにされた。更に、発癌性チロシンキナーゼである「ErbB2
」も異常に活性化されることが同時にわかった(1)。 この2つの新しいメルリン
標的は「PAK」の活性化に必須であることが以前から知られていた。 従って、
メルリンは「PAK」そのものを直接に阻害するばかりではなく、その上流をも遮断
するのである。
「 Bio 30 」などの温帯産プロポリス中の主要抗癌成分「CAPE 」はG蛋白「RAC 」の
活性化を抑えることによって、「PAK」を遮断する。更に (理論的には)、
「ErbB2 」阻害剤である「 AG 825 」やクルクミンも神経線維腫症(タイプ2) の治療薬と
なりうる可能性がある。 ただし、 "AG825" には「脱毛」という副作用があるので、要注意!
参考文献:
1. Garcia C,
Gutmann DH. Nf2/Merlin controls
spinal cord neural progenitor function in a Rac1/ErbB2-dependent manner. PLoS One.
2014 ;9: e97320.
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