PEG10には、発がん性があると共に、(“異物”である胎児を受け入れるために)母体の免疫能を一時的に抑える作用もある。さて、その遺伝子産物(つまり“Syncytin” と呼ばれる蛋白)は、一体どんな機能を持っているのだろうか? この蛋白は、ウイルス(HERV-W) の膜蛋白”ENV“ に由来し、本来は、ウイルスの外膜を、宿主の細胞膜と融合させることによって、ウイルスの細胞内への侵入を助ける役割を果たしている。妊娠した母体では、胎児の尿管由来のへそと母体の子宮組織を融合して(栄養や酸素補給のための)胎盤を形成する役割を果たす。
哺乳類でありながら、体外に産卵する ”カモノハシ“ には、鳥類や魚類と同様、PEG10 遺伝子が存在しない。
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