カルボン酸基をもった(酸性の)トリテルペン「ウルソール酸」はローズマリーやびわの葉からアルコール抽出され、水を加えると結晶化してくる (水に不溶性の) 化粧品添加剤であるが、2、3年前から「ウルソール酸」がPAK遮断剤であることを示唆する研究結果が出つつある。例えば、スイゾウ癌や大腸癌の増殖を抑える作用があるし、認知症にも効くという報告がある。ごく最近、「PAK遮断剤」説を直接に立証するデーターが出た。その一つは「ウルソール酸」が (PAKの活性化に必須な) 「JAK2」というチロシンキナーゼを抑えるというデータである。もう一つは、この薬剤が抗癌キナーゼ「 AMPK 」活性化するというデータである。何回か前述したが、 AMPK 活性化剤は例外なく「PAK遮断剤」である。 更に、「ウルソール酸」はHSP (熱ショック蛋白) を誘導することも、数年前に確認されている。さて、HSP誘導剤=PAK遮断剤という等式についても前述した。従って、「ウルソール酸」も「PAK遮断剤」の一つであることが確立したわけである。
さて、この薬剤はクルクミンやCAPEと同様、水に不溶なので、そのままでは臨床に使用できない。しかしながら、最近、この薬剤をガンマーCD (シクロデキストリン) で包接することによって、(経口に便利な) 水溶化にも成功しているし、また湯浴 (60度以上)で加温液化した白色ワセリン (例えば、100 g) を使ってローズマリーの葉 (例えば、20 g) からこの薬剤を直接 (30分間) 抽出し、軟膏として使用する方法も案出されている(化粧品に造詣の深い主婦のアイディア!)。
上記の自家製「ローズマリー」ワセリン軟膏はNF1患者のいわゆる「ブク」(皮膚にできる良性腫瘍)の治療に有効であるはずだから、試してみることをお勧めしたい。
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