人々の “健康促進” のために!

人々の “健康促進” のために!
2015年春、沖縄の琉球大学キャンパス内 (産学共同研究棟) に立ち上げた “PAK研究センター” の発足メンバー(左から4人目が、所長の多和田真吉名誉教授)
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2015年3月22日日曜日

“Click Chemistry” を応用した “Triazole 環” の付加
(酸性の天然PAK 遮断剤の作用を増強するために)

天然のPAK遮断物質には、ウルソール酸やARC (Artepillin C) など、分子中にカルボン酸を有したものがある。これら酸性の物質は細胞膜を通過しにくいため、薬理作用が弱いので、臨床には不向きである。そこで、その細胞膜透過性を高めるために、そのカルボン酸の水酸基に水溶性の “Triazole 環” を付加するという解決法が最近、インドの科学者によって、少なくともウルソール酸で成功している(前述)。“Triazole 環” を付加する方法はいくつかあるが、最近よく使用されているのは、“Click Chemistry” を応用したアプローチである。 この方法は米国のScripps 研究所の Barry Sharpless 教授によって、20世紀末に発明された方法で、Cu 触媒を利用した水中で進行しうる比較的温和な、かつ収率の極めて高い化学反応である。

Click」とは、シートベルトがカチッと音を立ててロックされるように、素早く確実な結合を作る様子をたとえた言葉である。アルキンとアジド化合物が付加環化反応を起して1,2,3-Triazole 環を作ることは1961年にロルフ・フイスゲンによって報告されている。 Sharplessはこの反応 (Huisgen Reaction) を、“Click Chemistry”の中心的な反応として位置づけた。


 
 
 
インドでは最近、薬剤のカルボキシル基に"Triazole環"を付加して、その薬理作用を増強させる試みが流行っている。有名な鎮痛剤 “アスピリン”[アセチルサリチル酸]はPAK遮断剤の一種であるが、カルボキル基があるため、細胞透過性がひどく悪い。脳腫瘍細胞に対する IC50 2 mM 2000 microM)である。 ところが、Triazole環を付加すると、その抗がん作用が少なくとも 20倍に上がる(IC50=100 microM)。 もっとも、IC50=100 microMでは、抗がん剤としては、まだ実用性がないが、例えば商標 “Azapirin”で、鎮痛剤や美白剤として販売すれば、飛ぶように売れるに違いない。
 
 
 

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