2008年6月19日木曜日
地球語: エスペラント語か英語か?
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%88
最近、ある高齢の平和学者から、「エスペラント語」の普及を勧めるメールを受け取った。国境を越えて人工的に作られたラテン語系の言葉で、現在のところ、世界中に約200万人が、この言葉を「平和と基本的人権」を守るために使用しているそうだ。私にはこの学者の趣味的な「ユートピア運動」を妨害する意図は全くないが、エスペラント語は実用性に乏しいので、その勧めに参同するのをお断わりした。
私は海外で35年以上学術研究に従事してきた人間で、「英語」を日常語として、朝から晩まで使っている。世界中で、英語を日常会話に使っている人々の数は、国境を越えて、約18億人(国語として7億人、方言の多いインドでは、11億人が英語を「共通語」として)に達している。世界総人口(60億人)の約3割を占めていており、世界で最も普及している言語である。従って、この英語をさらに普及して、「地球語」として世界中の誰もが英語を話せるようになったら「理想的」であると、固く信じている。
地球語の勧め: English As a Global Language
英語が世界語になった経緯、その歴史の意義、現状、国際共通語としての今後の可能性について、英語教育の世界的権威デビッド・クリスタルが実に生き生きと解説している。世界中で15億人に使われている英語は歴史上最も「成功」した言語とされているが、クリスタルはあくまで中立的な見方で解説している。すでに定番となった本書の最新版は、新規に「世界語としての英語の将来」「インターネット上の英語」「英語系言語の将来」といった内容を追加。本書は英語に関わる人すべて: 教師、学生、言語教育関係者、政治家、一般読者、そして英語に興味のあるすべての人のための1冊だ。
英語は、国際コミュニケーションが盛んになりつつあった正にそのタイミングで、英国が国際社会を席巻していて、それを米国が引き継いだ、というだけの理由で世界語になったのだ、ということを述べている。
残念ながら、この邦訳は、正にその部分で重大な誤訳を犯している。それは、"in the right place at the right time" というくだり。絶好の時代に絶好の場所にいた、という意味のこの部分を「適材適所」と訳してしまっている。これでは、正反対である。この本で、正に否定しようとしているその考え方の推進になってしまうではないか! こなれた表現にしたかったのかも知れないが、英語の意味に忠実に言うなら「時と地の利を生かす」とでもすべきだろう。
以上のごとく、邦訳には誤訳が目立つので、原書を読むことを勧める。
続く
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