人々の “健康促進” のために!

人々の “健康促進” のために!
2015年春、沖縄の琉球大学キャンパス内 (産学共同研究棟) に立ち上げた “PAK研究センター” の発足メンバー(左から4人目が、所長の多和田真吉名誉教授)
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2015年4月19日日曜日

鈴木梅太郎 (1874-1943) と ニコチン酸=ビタミンB3(抗ペラグラ因子)

戦前に活躍していた (東大卒の) 農芸化学者。静岡県出身。(我が国では)ビタミンの発見者として有名。 1910年に米ぬかを食べると脚気が治る、あるいは予防できることを発見した。米ぬかには、白米に欠けているビタミンの一種[オリザニン] (のちに、ビタミンB1の一種であることが判明) が豊富に含まれているからである。

翌年には、抗ペラグラ因子として、ニコチン酸 (=ビタミンB3) をも発見した. しかし、(日本語からドイツ語への)邦訳ミスがたたって、発見当時は世界的に “ビタミン発見者”としては認められなかった。そこで、実際には鈴木梅太郎よりも後でビタミンを発見したポーランドの生化学者カジミール=フンク[1884-1967]が“ビタミンB1の発見者”という名誉を勝ち取る幸運を得た。

さて、ニコチン酸は、“ニコチン” という(タバコ由来の)アルカロイドを強酸によって酸化すると生じる。 我々の生体内では、トリプトファンというアミノ酸から生合成される。従って、トリプトファンが欠乏すると、ニコチン酸欠乏 と同様、“ペラグラ” と呼ばれる一種の皮膚病にかかる。ニコチン酸は芳香環化合物の中で、カルボン酸を有する最も単純な天然化合物の一つである。前述したが、カルボン酸を有する化合物は、細胞透過性が悪い。従って、臨床に応用するためには、このカルボン酸に水溶性の側鎖を付加して、酸を中和する必要がある。

 最近、韓国の研究者がニコチン酸のペプチド誘導体を合成して、特許を取ったことが判明した. 面白いことには、この誘導体にも、ニコチン酸アミドと同様 (メカニズは多少違うが)、メラニン色素合成を抑える(美白)作用がある。言い換えれば、ニコチン酸には、本来、PAK遮断作用があるが、細胞透過性が低いため、その美白作用が検出しにくかったと推察される。 従って、できれば、悪名高きタバコ製造業界を啓蒙・説得し、タバコの葉を原料にして、(細胞透過性の高い)新規なニコチン酸誘導体を開発して、難病の治療や健康長寿に貢献させる工夫をしてみたいものだ。

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