人々の “健康促進” のために!

人々の “健康促進” のために!
2015年春、沖縄の琉球大学キャンパス内 (産学共同研究棟) に立ち上げた “PAK研究センター” の発足メンバー(左から4人目が、所長の多和田真吉名誉教授)
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2015年1月17日土曜日

医薬品として市販されているPAK1遮断剤:
「脳腫瘍」(NFやTSCなど) 患者から見た問題点


PAK1遮断剤がいくつか、医薬品として欧米や日本で既に発売されている。古い製品では、駆虫剤「イベルメクチン」(Ivermectin)、胃潰瘍薬「セルベックス」(geranylgeranylacetone)新しい製品では、MS (Multiple Sclerosis) 治療薬「フィンゴリモド」(FTY720)、CTCL (Cutaneous T-cell Lymphoma) 治療薬「イストダックス」(FK228) などが知られている。しかしながら、これらの医薬品は一般の固形癌 (例えば、スイゾウ癌とか大腸癌など) や脳腫瘍 (良性のNFやTSC、悪性のグリオーマなど) 、あるいは認知症などの (PAK1依存性の) 難病の治療薬としては、まだ認可されていない。それが、これら (使用範囲が極度に限られた) 市販のPAK1遮断剤がかかえる最大の問題点である。従って、癌患者や難病患者あるいはその家族は、病院などの専門医や製薬会社を説得して、厚生省やFDAから、然るべき難病への使用 (拡大) 許可を得るよう、粘り強い働きかけ (陳情運動) を開始する必要がある。

更に、30年以上使用されてきた駆虫剤や胃潰瘍薬は安全性、つまり副作用が極めて弱いことが既に実証済みであるが、つい最近市販され始めたMS 治療薬やCTCL治療薬には、副作用があることが知られている、例えば、前者(MS 治療薬)は元来、臓器移植のために開発された薬剤で免疫能を抑える作用がある。従って、自己免疫病であるMS の治療自身には問題ないが、固形腫瘍や認知症の治療の際には、免疫能を低下させるという副作用を伴う結果になる。後者 (CTCL治療薬) は、元来「HDAC阻害剤」で、PAK1ばかりではなく発癌キナーゼ「AKT」をも遮断する。一般にAKT阻害剤は副作用として、心臓障害などを発生する傾向がある。更に、この薬剤は分子量がかなり大きく、血管脳関門(BBB)を通過できない。従って、脳内の疾患には無効であることが予想される。

言いかえれば、副作用の少ない、かつBBBを通過しうる古い製品 (駆虫薬や胃潰瘍薬)が安全かつ応用範囲の広いPAK1遮断剤である。しかも、最近市販の製品(極めて高価!)と比べて、これら歴史の長い製品は薬価がずっと安い。特許期限が既に切れて「ゲネリック」製品が大量に市販されているからである。特にNFやTSCなど、一生薬剤を飲み続けなければならない稀少難病患者には、安全かつ安価であることが、薬剤を選択する重要な基準になる。 従って、陳情運動を始めるなら、まず長い歴史を経た 駆虫剤や胃潰瘍薬の使用拡大許可を得るよう努力すべきだろうと、私は思う。 

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