日本で古来から副食物として、お汁粉、赤飯、ボタ餅、アンパンなどを作る食材として広く利用されている赤い豆 (アズキ) には、「ゲニステイン」と呼ばれる赤い色素 (イソフラボン) が豊富に含まれている。小豆を食べる習慣は元来、中国より朝鮮半島を経て3世紀より8世紀頃、日本へ伝来されたと言われている。従って、聖徳太子 (574-622) もお汁粉や赤飯を祝い事に食べた可能性がある。
さて、最近、韓国の研究グループによって、ゲニステインがCAPE同様、センチュウの寿命を延ばすことが発見された (1)。そのメカニズムはCAPE同様、AMPKを活性化し、HSP16遺伝子を活性化することによる。PAK遮断=AMPK活性化=HSP (熱ショック蛋白) 活性化という (前述した) 法則に従えば、ゲニステインはPAK遮断剤という結論が導き出される。面白いことには、ゲニステインはCAPEと化学構造も類比している。同時に、ゲニステインは発癌ホルモン「エストロゲン」の拮抗体として働くとも言われている。PAKとエストロゲン受容体とは悪縁関係にある。お互いに相手を活性化しあう「悪者同志」である。従って、その悪縁を絶つゲニステインは、結果的にPAKを遮断することになる。
その昔、我々が学生時代に、東京の上野にある本場インドカレーの店で、「ライスなしに辛いカレーを食べると無料になる (ただ食いができる) 」という「食べくらべ」をやってことがある。クラスで「ただ食い」に成功したのは、私ともう一人のクラスメートだけだった。その店の丁度向いに、おあつらい向けに汁粉屋があった。甘党の二人はその店に飛び込んで、汁粉で喉を潤した。インドカレーにはクルクミンというPAK遮断剤が含まれている。汁粉にはゲニステインというPAK遮断剤が含まれている。従って、我々は「一石二鳥 」を味わうことができた (二度美味しい思いをした)! 驚くなかれ、2人共72歳を越したが、大学時代の同窓会でいつも、最も健康そうに見える。この事実は何かを実証しているように思える。勿論、2人に共通なのはカレーや汁粉に強いばかりではなく、運動を常に欠かせないことである。私は競歩/登山、彼は器械体操(鉄棒)が得意である。
参考文献:
- Lee EB, Ahn D, Kim BJ, Lee SY, et al. Genistein from Vigna angularis Extends Lifespan in Caenorhabditis elegans. Biomol Ther (Seoul). 2015 ; 23: 77-83.
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