人々の “健康促進” のために!

人々の “健康促進” のために!
2015年春、沖縄の琉球大学キャンパス内 (産学共同研究棟) に立ち上げた “PAK研究センター” の発足メンバー(左から4人目が、所長の多和田真吉名誉教授)
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2015年2月7日土曜日

「ウルソール酸」(UA)誘導体: その薬理 (抗癌) 作用を飛躍的に増強するには、どの位置をどう化学修飾すれば正解か?



この天然PAK遮断剤(5員環)の細胞膜通過を改善するためには、まずC3 (A環) の水酸基をアミノ基に置換することが重要であると前述した。これが10年前の「Dr。D」による主な研究成果だった。さて、以後色々が工夫がなされたが、結局のところは、C28(D環とE環の繋ぎ目) のカルボン酸を修飾して、「triazole 環」(water-soluble) を付加することが正解のようである。2013年にインド総合医学研究所のBilal Bhat教授の研究室により、この修飾に成功し、IC50が100 nM 以下になった (1)。ウルソール酸自体のIC50 (50%阻害に必要な濃度) は、約20,000 nMであるから、この「triazole 環」付加によって、抗癌作用が一気に200倍以上に増強されたわけである。

この新しい誘導体を仮に「UA2013」と名付ければ、「UA2013」のC3は水酸基のままである。理論的には、「Dr。 D」の例に習って、「UA2013」のC3の水酸基をアミノ基に置換すれば、その抗癌 (PAK遮断) 作用が更に10ー20倍増強されて、IC50が5 nM 前後になる可能性がある。 そうすれば、「UA2013」のアミノ誘導体は、臨床でも有効な医薬として将来、市場に登場すること間違いなしであると私は確信している。 できれば、このUA誘導体プロジェクトにも、我々が近く沖縄に開設する「PAK研究センター」で取り組みたい。。。

参考文献:

  1. Rashid S, Dar BA, Majeed R, Hamid A, Bhat BA. Synthesis and biological evaluation of ursolic acid-triazolyl derivatives as potential anti-cancer agents. Eur J Med Chem. 2013 ; 66: 238-45.

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