人々の “健康促進” のために!

人々の “健康促進” のために!
2015年春、沖縄の琉球大学キャンパス内 (産学共同研究棟) に立ち上げた “PAK研究センター” の発足メンバー(左から4人目が、所長の多和田真吉名誉教授)
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2014年10月23日木曜日

陸上の脊椎動物 (両生類から哺乳類まで) に存在する6種類の "PAKファミリー"
キナーゼ: PAK2とPAK4は生命に必須、残りは脳の発達、生殖などに関与。


細菌と植物界にはPAKは全く存在しない。カビ類とアメーバなどを含めて動物界にのみPAKファミリーに属するキナーゼが存在する。PAKの主な機能がミオシンやアクチンなど細胞 (アメーバ) 運動や平滑筋収縮に必須な収縮蛋白の制御にあるから、その理由は自ずから理解できるだろう。移動しないで一生じっとしている植物にはPAKは必要ないし、PAKがないために動物に比べてずっと長生きする植物が多い。

陸上の脊椎動物 (両生類から哺乳類まで) には合計6種類のPAKが存在する。PAK1からPAK6までである。これらのPAKは2グループに大別される。PAK1からPAK3はグループ1に属し、G蛋白であるRACまたはCDC42により活性化される。PAK4からPAK6はグループ2に属し、CDC42のみに活性化される。

PAK2を欠損したマウスの胎児は臓器が形成する前に死亡してしまう。PAK4が欠損したマウスの胎児は心臓不全のため死亡する。従って、PAK2とPAK4とは、他のPAKには代行できない特別の生命機能を担っていることが明白である。ところが、他のPAKは各々を欠損しても、生命自身には影響を与えず、健康に生まれ、脳も順調に成長する。従って、これらの4種のPAKの各々は生存や知能には必須でない。それどころか、少なくともPAK1欠損マウスに関しては、野生株よりずっと長生きする。従って、PAK1は「老化を促するキナーゼ」といえる。

しかしながら、PAK1とPAK3を両方欠損すると、マウスの生後の脳の成長や学習/記憶能が (野生株にくらべて) 低下する。PAK5とPAK6を両方欠損した場合も同様に、脳の成長が遅くなり学習/記憶能が低下する。従って、これらのPAKの間には (互いにオーバーラップする) 脳の発達に必須な機能を担っていることが明らかであろう。

無脊椎の微小動物であるセンチュウには脳はあるが心臓や他の循環系がない。 従って、心臓の発達に必須なPAK4をもたず、グループ1に属する3種類のPAKしかもっていない。マウスと同様、PAK1欠損株は、正常な脳機能を示し、野生株より長生きする。 しかしながら、PAK1とPAK3(MAX2と呼ばれる) を両方欠損すると、脳の発達に異常を来たす。  

従って、動物界の進化の過程で、先ず無脊椎動物でグループ1の生命に必須な PAK2が出現し、更に脳の発達に伴って、PAK1かPAK3が出現したものと考えられる。次に(魚類など)脊椎動物への進化の過程で、心臓などの循環系の発達に必須なグループ2のPAK4が出現し、更に高度な脳の発達に伴って、PAK5かPAK6が出現したと考えられる。実際、小魚 (例えば、Zebrafish) には、PAK1、PAK2、PAK4は存在するが、PAK3が欠損している。 (主に陸上で生活する) 両生類にPAK3が出現すると、PAK1は言わば「無用の長物」化してしまった。それどころではない。PAK1が異常に活性化すると、癌や認知症など様々な難病が発生して、寿命を縮める結果になった。

最後に特記したいことは、PAK1独自の機能である。メラニン色素合成と生殖機能である。PAK1が欠損すると、マウスでは体毛が白になり、センチュウでは、少子化する (産卵数が低下する) 。従って、「健康長寿」を望む白人にとっては、PAK1は既に「無用の長物」(害あって益なし) であるが、黒人や有色人種にとっては、メラニン色素を保持するという理由で、未だ必須の存在である。

「地球温暖化」を越えて生き残るべき「未来の生物」は恐らく、"PAK1欠損"でより進化した動植物か、あるいはプロポリスなどの「PAK1遮断剤を常用する」英知を獲得した人種であろう。なぜなら、PAK1が欠損/機能低下すると、熱に対して耐性になるからだ!   

新しい環境の変化に適応/進化できぬ者は絶滅する (自然淘汰される) というのが、(ダーウインが見つけた) 生物界の厳しい「戒律」(おきて) である。

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