「Rottlerin」と呼ばれる赤いポリフェノールが亜熱帯地方 (例えば、沖縄、フィリピン、豪州北部沿岸など) に生息する植物「クスノハガシワ」の赤い果皮をおおっている「カマラ」と呼ばれる赤い粉末染料に含まれている。 発見当初 (20年ほど昔)、この薬剤は「PKC阻害剤」として紹介されたが、その後の研究により、PKC阻害作用は混在する不純物によるもので、純粋な薬剤自身にはPKC阻害作用はないことが判明した!
この薬剤には抗癌作用、抗炎症作用、避妊効果、美白作用などがあることが知られているが、これらの薬理作用はもちろん、PKC阻害とは全く無関係である。そこで、その詳しいメカニズムを (文献上で) 調べていくうちに、面白いことがわかった。(水酸基を5個有する)このポリフェノールはプロポリス中のCAPEと同様、抗癌キナーゼ「LKB1」や「AMPK」を活性化すると共に、発癌/老化キナーゼ「PAK」を遮断する (1、2)。
しかも、その作用はCAPEより強いことが最近判明した (3)。 CAPEを含め多くの天然「PAK」遮断剤が小動物 (例えば、センチュウやショウジョウバエなど) の寿命を延ばすことが実証されている。従って、「ロットレリン」も我々の健康長寿に寄与すると期待してよかろう。
(注) : 純粋なロットレリンは「研究用の試薬」としては市販されているが、未だ "臨床用の医薬品" ではない!
参考文献:
1. Kojima, K., Motoshima, H. , Tsutsumi, A, et al. Rottlerin activates AMPK possibly through LKB1 in vascular cells and tissues. Biochem Biophys Res Commun. 2008 ; 376: 434-8.
2. Woolfolk EA, Eguchi S, Ohtsu H, et al. Angiotensin II-induced activation of PAK 1 requires Ca2+ and PKC{delta} in vascular smooth muscle cells. Am J Physiol Cell Physiol. 2005; 289: C1286-94.
1. Kojima, K., Motoshima, H. , Tsutsumi, A, et al. Rottlerin activates AMPK possibly through LKB1 in vascular cells and tissues. Biochem Biophys Res Commun. 2008 ; 376: 434-8.
2. Woolfolk EA, Eguchi S, Ohtsu H, et al. Angiotensin II-induced activation of PAK 1 requires Ca2+ and PKC{delta} in vascular smooth muscle cells. Am J Physiol Cell Physiol. 2005; 289: C1286-94.
3. Lin CC,
Yang CH,
Lin YJ,
et al.
Establishment
of a melanogenesis regulation assay system using a
fluorescent protein reporter combined with the promoters for the melanogenesis-related genes in human melanoma cells. Enzyme Microb Technol.
2015 ; 68:1-9.
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