人々の “健康促進” のために!

人々の “健康促進” のために!
2015年春、沖縄の琉球大学キャンパス内 (産学共同研究棟) に立ち上げた “PAK研究センター” の発足メンバー(左から4人目が、所長の多和田真吉名誉教授)
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2013年5月27日月曜日

転移癌を放置してはならない。薬(制癌剤)が効かなければ、プロポリスを飲め!

ある有名な放射線医はその著作で、「転移癌(末期がん)を放置せよ」としきりに唱えている。しかし、ただ放置したままでは、転移した癌は治らず、間もなく患者は死んでしまう。だから、あまり建設的な意見とはいえない。さらに分子レベルの発癌メカニズムを全く無視した(前世紀的な)暴論ともいえる!


乳癌、肺がん、すい臓がん、大腸がんなど大部分の固形癌の増殖や転移には、PAKというキナーゼ(蛋白リン酸化酵素)が必須であるが、正常な組織の成長には、PAKは必要ない。従って、PAKを遮断すれば、副作用なしにこれらの固形癌の増殖・転移を選択的に阻止することができる。

PAKを遮断する薬は目下開発されつつあるが、不幸にして、まだ市販には至っていない。しかしながら、面白いことには、我々の身近にある多くの天然物(特に植物由来の産物)の中には、PAKを遮断する物質が豊富に含まれている。ミツバチが調剤する「プロポリス」という生薬がその典型的な一例である。

ドイツには「養蜂家は癌にかからない」という古い諺がある。実際の調査結果によれば、3千人に一人の割合で、養蜂家も癌にかかることが明らかになった。普通の人は、3人に一人の割合で癌にかかるから、養蜂家は千倍ほど癌にかかりにくいことになる。なぜだろうか? 25年ほど前に、その謎が解けた。

ミツバチの産物には、主に3種類ある。蜂蜜、ローヤルゼリー、プロポリスである。そのうち、蜂蜜やローヤルゼリーにはほとんど抗癌性がない。ところが、米国ニューヨークにあるコロンビア大学の癌学者(グルンバーグ博士)が、プロポリスの中にあるCAPE(コーヒー酸フェネチルエステル)というポリフェノールが、がん細胞の増殖を強く抑えることを発見した。その上、CAPEは正常細胞の増殖に影響を全く与えなかった。

以来、CAPEを含むプロポリスが、制癌剤に効かない末期がんの治療に利用されるようになった。面白いことには、CAPEにはPAK遮断作用がある。ブラジル産のグリーンプロポリスには、CAPEの代わりに、ARC(アルテピリンC)と呼ばれるPAK遮断物質が含まれ、同様に固形腫瘍の増殖を(悪性でも良性でも)抑える。かの放射線医は、良性腫瘍を「癌もどき」と呼び、放置で治癒できると主張しているが、NF(神経線維腫症)などのPAK依存性の(脳内)良性腫瘍は自然放置では治らないが、プロポリス服用で予防や根治が可能である!

そればかりではない。PAKは腫瘍を伴わぬ多くの難病にも深く関与している。例えば、種々の感染症(エイズ、マラリヤ、流感など)、炎症(喘息やリューマチなど)、糖尿病(2型)、認知症、癲癇、うつ病、精神分裂症、自閉症などである。従って、プロポリスをはじめ多くの他のPAK遮断生薬(例えば、センシンレン、黄蓮、紅景天、雷公藤など)や食材(例えば、納豆、ブルーベリー、インドカレー、花椒など)は、これらの難病の治療にも有効であると考えられる。従って、癌やこれらの難病に苦しむ患者を放置したままにすべきという議論は、もはや「時代遅れ」になりつつある。

2013年5月6日月曜日

赤血球の寿命もAMPKに依存する

40年以上も昔の話であるが、私が博士研究の一部として、マクロファージによる
赤血球の貪食メカニズムを調べているうちに、次のような面白い発見をした。(試
験管内で) 赤血球は通常、異種のマクロファージによって、貪食を受けるが、同
種のマクロファージには貪食され難い。つまり、「自他の認知」が(抗体の存在し
ない状態でも) 貪食レベルで観察される。ところが、(老化に伴ない) 赤血球内の
グルコースレベルが下がると、同種のマクロファージによっても貪食され易くな
るという現象を見つけた (1)。 しかし、その詳しいメカニズムは長らく不明のま
まだった。

2011年になって、パリの研究グループがその謎の一部を遂に解いた。AMPK
遺伝子を欠損したマウスでは、赤血球が速やかに貪食されるため、貧血症状が
起こる (2)。 勿論、この貧血マウスは、野生のマウスに比べて、寿命がかなり短
くなるだろう。 面白いことに、AMPKというキナーゼは、細胞内のグルコース
レベルが下がると活性化され、血中から細胞内へグルコースを取り込むために必
須なGlutー4を活性化する。 従って、AMPK欠損マウスでは、グルコース
の補給ができないため、赤血球の老化が (釣瓶落しに) 進み、貧血症状になるわ
けである。 言い換えれば、糖尿病の患者は恐らく、急性の貧血に常時悩まされて
いるのだろう。

参考文献:

1) Maruta H, Mizuno D.  Selective recognition of various erythrocytes in
endocytosis by mouse peritoneal macrophages. Nat New Biol. 1971:  234、246-8.


2) Foretz M, H蛯rard S, Guihard S, Leclerc J, Do Cruzeiro M, Hamard G, Niedergang
F, Gaudry M, Viollet B. The AMPK?1 subunit plays an essential role in erythrocyte
membrane elasticity, and its genetic inactivation induces splenomegaly and
anemia.FASEB J. 2011: 25、337-47.

2013年5月5日日曜日

ブルーベリーは認知症 (アルツハイマー病) の治療にも役立つ

ブルーベリーには、PAK1 を遮断する作用を持つ「PTE」(pterostilben)が豊富に含
まれ、癌の治療や健康長寿に有効であると前述したが、PAK1 依存性の難病である
認知症 (アルツハイマー病) の治療にも有効であることが、マウス実験で(米国ボス
トンにあるタフト大学のグループにより) 10年も昔に実証されている。 詳しくは、
下記の英文(要旨)を参照されたし。


Nutr Neurosci. 2003 6:153-62.

Blueberry supplementation enhances signaling and prevents behavioral deficits
in an Alzheimer disease model.

Joseph JA, Denisova NA, Arendash G, Gordon M, Diamond D, Shukitt-Hale B,
Morgan D.

USDA-HNRCA at Tufts University, 711 Washington Street, Boston, MA 02111,
USA. james.joseph@tufts.edu

Abstract

Previously, we showed that blueberry (BB) supplementation reversed the deleterious
effects of aging on motor behavior and neuronal signaling in senescent rodents.
 We now report that BB-fed (from 4 months of age) APP + PS1 transgenic mice
showed no deficits in Y-maze performance (at 12 months of age) with no alterations
in amyloid beta burden. It appeared that the protective mechanisms are derived
from BB-induced enhancement of memory-associated neuronal signaling (e.g. ERKs) and
alterations in neutral sphingomyelin-specific phospholipase C activity. Thus, our data indicate
for the first time that it may be possible to overcome genetic predispositions to Alzheimer
disease through diet.