人々の “健康促進” のために!

人々の “健康促進” のために!
2015年春、沖縄の琉球大学キャンパス内 (産学共同研究棟) に立ち上げた “PAK研究センター” の発足メンバー(左から4人目が、所長の多和田真吉名誉教授)
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2017年12月25日月曜日

「塩野七生」(1937年7月7日生まれ) :
古代ローマ人やギリシャ人を描く歴史小説家

最近80歳に達して、(「ルネッサンスの女たち」を皮切りに) 半世紀に渡る (ローマでの) 執筆活動に終止符を打つと宣言したユニークな女流作家。 日比谷 (高校) 時代には、庄司薫と同期生だった我々の先輩。同期生の半分近くが東大へ進学していた(古き良き) 時代に、学習院大学文学部で哲学を勉強した変り者 (豪傑) の一人。

大学卒業 (1960年安保反対闘争) 直前、就職活動を (一生に) 一度だけしたという。書類審査ではパスしたが、面接では不合格。理由は、試験官に「タイプはできますか?」と問われ、「ノー」と答えたそうである。 「それでは、一体何ができますか?」と問われ、「数ケ月、会社に勤めれば、自ずから何ができるか分かるでしょう」と答えたという。

結局、イタリヤへの遊学を決意、ローマに永住して、とうとう作家で大成功した。 フローレンス大学に勤務していたイタリア人医師 (シモーネ) と結婚し、息子 (アントニオ) を産むが、夫とは後に離婚し、独身ママで息子を立派な作家に育て上げる。

2013年の東北大震災後 、評論「日本人へ: 危機からの脱出編」(文春新書) を出版し、"辛口" に日本の復興を激励したそうである。進歩的な平和主義者 (哲学者) であった"安倍能成 " (安倍普三とは「無縁」!) が院長を務めていた学習院で、「やせたソクラテス」などの古典哲学を学んだはずの塩野さんは、1937年6月生まれの (比較的進歩的な) 小渕恵三首相 (早稲田卒) とは親しかったそうだが、「太った豚 」(安倍総理) の軍国主義的な政策には、かなり批判的であったと推察される。

 ボブ=ケネディー司法長官と小渕恵三との出会い:  

小渕恵三 (25) は1963年1月、独りで世界旅行に出発。当時、アメリカ統治下にあった沖縄から、台湾、タイ、パキスタン、インド、セイロン(現スリランカ)とアジアをめぐり、中東、アフリカ、ヨーロッパから北米、そして南米と、訪れた国は38カ国におよび、9カ月間の大旅行になった。
      
旅のハイライトは、ワシントンでのボブ=ケネディ司法長官との会見。実は、前年の2月、ボブ=ケネディが来日した際、早稲田大学の大隈講堂での講演を聞いた小渕青年は、そのときの感激を、長官宛ての手紙にしたためた。そして、長官秘書から電話がかかってきた。「長官が会うそうです。司法省に来てください」。翌日、司法省を訪れた小渕青年は、ケネディ司法長官から「私の講演を聴いてくれてありがとう。これからは君たちの時代だ。政治家になったら、ワシントンで会おう」と温かく歓迎され、兄のジョン=ケネディの大統領当選を記念したネクタイピンまでプレゼントされた。

そのフランクな態度に感動した小渕青年は、「政治家になっても、分けへだてなく誰にでも会おう」と決意した。こうした経験が政治家・小渕の原点になっていた。丁度同じ頃、塩野女史 (25) はイタリアへの独り旅 (武者修行) を始めた。。(私の推察では) これは「単なる偶然」ではなさそうである。高田馬場と目白は山手線で隣駅同士!

松山中学時代から英語が得意だった安倍能成は (家庭の事情で) 中卒後一年間、母校の英語教師を勤めて家計を助けた。その後、一高に進学し、東大文学部時代には、「一中」(「日比谷」の前身) 出身の大作家「夏目漱石」の門下生の一人になった。「坊っちゃん」の舞台になる松山中学は、夏目も安倍も一年間だけ英語教師をしたことがある田舎の「有名」中学である。従って、夏目-安倍-塩野というユニークな人脈が塩野さんを、最終的に「作家の道」へ導いたという可能性がある。

 塩野 七生 (著) 「ローマ人の物語 (1) :  ローマは一日にして成らず」 (新潮社, 1992) は、2017年の「Amazon ランキング大賞 」に輝く!


J. Cell Signal. (2018):  Commentary
Hiroshi Maruta, PAK Research Center, Melbourne, Australia. 
 (「PAK」時代到来:  発見から丸40年)

2017年12月18日月曜日

ロシア革命から丸100年: 日本の「共産党」は一体なぜ、党名を変更しないのか?

 http://www.asahi.com/articles/ASKDD4J24KDDUTFK00N.html?iref=comtop_list_pol_n05

 特に無党派の進歩的な有権者大半は、「共産党」という旧態依然とした党名に、ひどく抵抗 (違和感) を感じ続けている。1917年のロシア武装革命や1949年の毛沢東 (中共) 革命を想起させるからだ。 「共産主義」など、21世紀にはもう通用しない! 既に絶滅した「 恐竜的」な存在である。 マルクス=レーニン主義からも「毛語録」からも脱皮する必要がある。党の政策には同意できるが、あの党名は頂けない! そう思って再三、党名を改めるよう、助言しているが、一向に耳をかそうとはしない。なぜだろうか?   一口にいえば、「しい」委員長は、逆に「いし」(石) 頭だからであろう。 党名を変えるためには、委員長の「首の挿げ替え」が、先決であろう!  もう少し頭の柔軟なかつ、より「カリスマ」的な人物が党を率いるべきである。 「社会大衆党」という党が沖縄に存在する。 それに順ずるような党名が、21世紀の革新政党に相応しいと、私は思っている。

2017年12月7日木曜日

新着 (教育) 映画 「クリスマス=キャロル」:
The Man Who Invented Christmas

毎年12月に入ると、西欧では、クリスマスツリーのイルミネーションが夜の街並みを彩り、デパートが本格的にクリスマス=セールを始める。クリスマス(降誕祭) は本来、キリスト教の祭日であり、救世主「イエス=キリスト」の誕生日(12月25日)を祝う日である。今から2千年以上昔、(古代ローマ帝国支配下の) ユダヤ/パレスチナのベツレヘムという町の貧しい馬小屋で、マリアを母として、一人の男子が生まれた。(実際の) 父親が誰だったか未だに不明(謎)だが、ヨセフという青年が父親代わりを果たした。 聖書には、マリアは「処女」で子供を産んだことになっているが、実際 (生物学的) にはありえないことであり、ヨセフ以外の誰かが、性交をしたに違いない。聖書では、神(エホバ) からの「精霊」でキリストが誕生したことになっているが、そんなものは実在しない。大体、神などこの世に実在しない! 

キリストは30歳を過ぎてから、予言者となり、父 (エホバ) に基づく「キリスト教」(人類平等、博愛主義) を説き始め、最終的には、"異端者" (支配者ローマ人と被支配者ユダヤ人は共に、平等な権利をもつべきと唱える "平和的" な革命家) としてローマの兵士達により逮捕され、(13日の金曜日に) 十字架上で死刑に処せられる。聖書によれば、3日後に甦り天国に昇天する。この日を祝って、「イースター」(復活祭) という祭日ができた。

江戸時代、日本の「キリシタン」 (キリスト教徒) が弾圧された理由は、(「江戸幕府と庶民が平等の権利を持つべき」という) 言わば "革命的な" キリスト教精神の普及を、幕府が非常に恐れたからである。従って、改憲 (憲法9条改悪) を「踏み絵」にして、「護憲派」を排除した新党「希望」の幕府的な遣り方は、庶民 (無党派) から反発を買うのは当然である! 

さて、 (はるばる北極からそりに乗って、貧しい子供たちに贈物を届けに来る)「 サンタクロース」のお爺さんが登場する「クリスマス」は一体いつごろから始まったのだろうか。新着の映画「クリスマスを発明した(産んだ)男」によれば、19世紀の中頃 (大英帝国ビクトリア王朝の黄金時代、産業革命による機械化が進み、多くの手工業者が失業に苦しんだ時代) 、英国の有名な作家チャールズ=ディッケンズ  (1812-1870) が、「クリスマス=キャロル」という童話 (1843、「黒船」来訪より10年前) を書いて、ケチで貪欲な「スクルージュ」という老人がある日改心して、貧しい子供達に贈物を届けるようになったエピソードを描いて以来、今の "クリスマス" という習わしが誕生する。この映画で、「スクルージュ」役を演ずるのは、「サウンド オブ ミュージック」でオーストリアの海軍キャプテンを演じた名優「クリストファー=プラマー」である。子供 (中卒以上) にも大人には楽しめる作品である。

今日、クリスマスは本来の目的を逸脱して、余りにも商業化している。この映画は我々に、クリスマスの (宗教の枠を越えた) 本来の目的 (貧しい子供達への思いやり) を喚起する意味でも、観賞に値いすると、私は思う。

蛇足だが、豪州では、クリスマス=シーズンは真夏なので、サンタクロースは "ジェット=スキー" か "サーフィン" で、南極からやって来る。メルボルンでは (客入りの少ない) 月曜日に、半額 (子供の料金)で映画がみられる。だから、我々 "隠居老人" 達は、月曜日に孫達同伴で、子供向きの映画を観賞する習慣になっている。

2017年12月2日土曜日

SF 小説: 無限かつ永遠の宇宙

「宇宙は (時間においても空間においても) 無限なり」という結論を出して「フィールド賞」をごく最近もらった在英の数学者、寝屋川 寛 (ひろし) 博士は、ちょうど40年前に米国の首都ワシントンの郊外にあるベセスダで誕生した。母親は大阪出身の植物学者、父親は東京出身の薬学者。不思議にも寛の両親は未婚の同棲夫婦だった。「男女の結び付き」は、本人同士の自由意志に従うべきで、「法律や宗教によって制約されるべきではない」という両者の進歩的な考え方による。 更に (母親の希望に従って)、息子は母親の苗字を受け継いだ。 母親は、数年、大阪にある実家の両親の下で息子を育てた後、父親が勤務する英国のケンブリッジ大学のMRC 分子生物学研究所 (シドニー=ブレナー所長) の助手として採用され、寛を連れて英国に永住した。

父親は、ブレナー研究室で、線虫を実験材料にして、寿命の分子生物学を研究していた。線虫の平均寿命は実験動物の中で最短 (2週間前後) なので、例えば哺乳類で最短の寿命を持つマウス (2-3年) に比べて、実験結果がずっと早く得られる。父親の性格自身は柔和だが、ごく短気なので、マウス実験には向いていない。 ある日、夫婦は、紫外線照射を受けた線虫の中に、耐熱性の変異株 (ミュータントR689) を見つけた。一般に、耐熱性のミュータントは、野生株より長生きする。そこで、夫婦はR689株の寿命を調べてみた。 野生株より6割ほど長生きすることが判明した!  人間の平均寿命を80歳と想定すると、その6割 (約50歳) 余計に長生きする計算になる。 この長生き株と野生株のゲノムを比較してみると、たった一つの遺伝子に (機能欠除をもたらす) 変異が起こっていることが判明した、その遺伝子は「PAK」と呼ばれる遺伝子で、哺乳類では、発癌作用があることが知られている。実は、この遺伝子は原始的な土壌アメーバにも存在し、平滑筋などのミオシンを燐酸化する酵素 (キナーゼの一種) を産生する機能を持つ。ミオシンの活性化により、血管壁の平滑筋が収縮すると血圧が高まる。 線虫の実験で、PAKが「寿命を縮める悪玉キナーゼ」でもあることが判明したわけだ。

さて、息子(寛) は、冥想型で、実験科学には余り興味を示さなかった。 イートン校を卒業して、最寄りのケンブリッジ大学の数学科に進学した。指導教官は、父親の友人であるラルフ教授だった。 ラルフ教授は米国のボストン生まれで、若い頃、豪州のメルボルンで育ったというユニークな経歴を持つ。 ラルフ教授は極めてリベラルな思想の持ち主だった。ラルフ夫人はメルボルン大学時代の同級生で、IT (コンピューター) の専門家だった。 ラルフ家と寝屋川家とは、近所同志だった。「 隣の花は美しい」という喩えがあるが、寛には、近所に住む鋭敏なラルフ夫婦の方が、ずっと輝かしく見えた。 それにラルフ教授には、実はギリシャ系の血が4分の1 ほど宿り、ハンサムだった。 ラルフ教授の母親も数学者で、元々はエジプトのカイロ生まれだが、米国人の生物学者と結婚して、産れた4人の子供の末っ子がラルフ教授になった。

寛の母親からの話によると、寛の母方の伯父も有名な数学者だったそうである。従って、寛の数学の才は明らかに、母親からの遺伝子によるようだ。父親は明らかに算数や算盤には長けていたが、数学のような「垂直思考」は苦手だった。 父親の長所は、進化論で有名なダーウインのような「水平思考」だった。 線虫の寿命を縮めるPAKは人類でも同様な機能を持つはずであるから、「PAK遮断剤」を開発すれば、人類の健康寿命も延ばすことができると発想した。そして、最近、強力な「PAK遮断剤」を開発するのにとうとう成功し、特許を取得した。

寛は狭い地球上の話よりも、より広大な宇宙について、考えてみるのが好きだった。そして、遂に彼は、「宇宙は (時間においても空間においても) 無限なり」という結論に達した。人類の寿命は「PAK遮断剤」により延長することはできても、恐らく200歳を越えることはなかろう。しかしながら、(人類全体が滅亡した後にも) 宇宙自身は限り無く膨らみ、永遠に存続するだろう。フィールド賞の受賞演説を、寛はそう結んだ。

聴衆の一人が最後にこう質問した。「宇宙は永遠でしょうが、神の存在はいかがでしょうか?」。寛はそれに答えて、キッパリ言った。「旧約聖書には、神が人類(アダムとイブ) を創造したと印してありますが、実は逆に、万の神は (迷信深い) 人類が勝手に想像/創造した産物です。その証拠に、猿や科学者は神など全く信じていません。だから、人類の滅亡と同時に (神々と "宗教" 戦争は) 速やかに消滅するでしょう。」 (完)

2017年11月26日日曜日

横浜 "翠嵐" 高校の躍進 (予備校化)!

(日経電子版より抜粋/編集)

JR横浜駅に近い名門県立高「横浜翠嵐」。東大合格者数は2000年には1人にまで落ち込んだが、2017年は34人と躍進し、「東大合格校に異変」と話題になっている。難関大学の受験で中高一貫校 (私立、国立大付属) の優位が続くなか、都立高「日比谷」の45人に次いで「都道府県立校の逆襲」の台風の目となっている翠嵐。どんな教育をしているのだろう?  翠嵐の校長によれば、高一の段階で、生徒の進路 (受験大学) を決めるそうである。かなり「スパルタ教育」であり、 「自由の天地」と呼ばれていた我が母校「日比谷」では、全くあり得なかったことである。

2016年入試を見ると、翠嵐からの東大現役合格者は18人。浪人を含めると20人なので、なんと9割が現役合格だ。公立高では現役合格率が6割を突破するのも難しいとされる。「当時、あと一歩で不合格だった生徒が沢山いました。その結果、2017年の東大合格者は浪人13人 (貯金!) 、現役21人の計34人になり、過去最高になったわけです」と、(翠嵐の) 佐藤校長は目を細める。2017年の私立トップ大学 (早稲田及び慶応) への合格者数に関しては、翠嵐が日比谷をも僅かながら凌いでいる! 

他方、翠嵐のライバル、神奈川県立「湘南」は、その昔、神奈川一の東大進学校 (2010年ノーベル化学受賞者「根岸英一氏」を輩出) を誇っていたが、2017年には、東大への合格数が僅か18人と落ちぶれ気味である。

さて、翠嵐が日増しに「予備校化」 する中、高校時代に「文武両道」やモーツァルトの名曲 (Eine kleine Nacht-Musik) など、幅広い情操教育を楽しみたいならば、日比谷、西 (都立)、湘南や浦和 (埼玉県立) など、往年の名門高へ進学を勧める父兄や教師もある。

私自身が日比谷を受験した理由はごく単純だった。自宅の隣番地にある区立中学の担任教師から偶々同じ学区内にあった「日比谷」を受験するよう勧められたからだ。推薦を受けた男子5名と女子5名が見事に全員合格した。我が中学創立以来の快挙だった!  当時は日比谷の「黄金時代」で、毎年180名近い卒業生が東大に進学していた。ところが、私の夢は (レンブラントやミケランジェロなどの) 画家になることだった。だから、高校時代には、 (上野にある) 「芸大」へ進学をめざす、ごく少数の異色組に属していた。ところが、芸大入学後のある夏休みに神田の古本屋で偶々読んだ化学療法の父「ポール=エーリッヒ」に関する伝記に感動し、画家を諦め薬学者をめざし、急きょ「東大受験」に変更した。不幸にして、私が東大を卒業した1967年に、かの悪名高き「学校群制度」が都立高校に施行され、日比谷や西などの名門校が瞬く間に、凋落の一途を辿った! 「漁夫の利」を得たのは、開成や灘などの私立高校と少数の国立大学付属高に過ぎない。そして、弊害視されていた「学校差」に益々拍車をかけた!  

 罪深い学校群制度 (日比谷おろし) は1994年になって、ようやく廃止され、往年の「単独選抜」制度に戻された。 その27年間の長きに渡る「都立高校教育の空白 (改悪) 」は致命的である。 にも拘らず、「日比谷」は地道に「復活」を遂げつつある。。。 2016年になって、東大合格者が45年ぶりに50名の大台を越えた!

去る9月、日比谷の陸上部 2年生 (金山君) が都高体連の新人大会 5キロ競歩で、見事優勝 (25分37秒) したと伝え聞いている。堀田君も7位に入賞した。往年 (我々の時代) 、日比谷のラグビー部が ("保善"と共に) 都代表として、インターハイで "ベスト8" まで進出する活躍ぶりを示した (結局、"保善" が 3度目の優勝!) が、最近は陸上部が強くなり、(高校時代) 私自身の専門競技だった競歩で、後輩たちが桧舞台で活躍し始めたのは、大変喜ばしい。

 イソップ童話にたとえれば、翠嵐は「ウサギ」  (大学入試だけに突っ走る「即効型」) 、日比谷は「カメ」 (走らず競歩する「大器晩成」型) かもしれない。因みに、ウサギの寿命は最大8年程度 (早熟) だが、カメの寿命は最大160年以上である。 どちらの人生を選択するかは、本人次第である。


2017年11月22日水曜日

極東共同体 (Far-East Union): マクロンの「EU路線」をアジア (極東) に導 入しうるか?

今春、フランスの大統領選挙で、台頭しつつある極右翼 (National Front) を見事に破って当選したエマヌエル=マクロンは、フランスを欧州連合 (EU) の中心 (原動力) と位置付け、フランス国内及びEU内の抜本的な政治/経済改革 (民主的な革命) を、最近の著書「革命」(原書はフランス語、英訳がつい最近出版される) で提案している。 有力銀行 (ロスチャイルド) 出身のマクロンは、「中道/大衆」路線を守り、保守的な右翼 (企業家) 路線にも、労働組合を基盤とする社会主義 (左翼) 路線にも組しない独自路線を推進しつつある。

医科学研究 (特に、癌などの難病治療) 部門で長らく、いわゆる「我が道」を行く ("PAK"研究に専念してきた) 私自身と 大いに共感するところがある。 そこで、マクロン路線を学び、日本の政治や経済改革に応用しうるかどうかを検討している。 実は、その昔、私が東大の薬学へ進学を決める前に、"早稲田の政経学部の入試をパス"している。 私は西洋史や世界地理に強く、半世紀後の今でも、海外に永住しながら、国際政治や貿易に強い関心を持ち続けている。

欧州大陸では、過去 長らく (2千年の間)、戦争が絶えなかった。そのうちでも、最も戦渦がひどかったのは、ドイツを中心にした第一次世界大戦と第二次世界大戦であった。そこで、戦後間もなく、フランスのドゴール大統領と西ドイツのアデナウアー首相が中心になって、欧州大陸での戦争を今後避けるために、独自の欧州共同体 (EC) と呼ばれる「経済共同体」をうち立てた。それが (東西ドイツの再統一に伴い) 更に発展して、欧州連合 (EU) が発足した。 現在、EUには、英国を含めて28ヶ国が加盟している。そして、加盟国の大半が、「Euro」という共通貨幣を使用し、EU内では、ビザなしに往来ができるようになった。 ところが、(「ポンド」という独自の貨幣を依然固持する) 英国は最近、不幸にも (愚かな極右派の影響により)  国民投票の結果、「EUを離脱する」決定 (Brexit) を下した。これは、米国トランプの孤立主義/保護貿易政策と同様、世界の地球化 (Globalization) 傾向に、「アングロ=サクソン」(英米諸国) が逆行する動き (歴史の後戻り) を示している。 

さて、極東では、明治維新後、中国大陸 (特に、鉄/石炭などの天然資源が豊富な満州) における利権を巡って、日本が中心になって、日清戦争、日露戦争、そして、太平洋戦争を巻き起こした。 結果的には、真珠湾攻撃で米国の参戦を招き、(降伏直前に) 原爆を2発、広島と長崎に落され、グウの音も出なくなった。しかしながら、敗戦後、「日中ソ」が仲直りして、「極東共同体」を打ち立てるという聡明な動きは全くなかった。できたのは、逆に (中共やソ連を仮想敵国とする) 「日米安保条約」だった。そして、沖縄が真っ先にその犠牲になった (米国の極東軍事基地の3/4が沖縄に集中した!)。そして、日本は「アジアの孤児」と非難されながら、朝鮮戦争やベトナム戦争などの米国の軍事作戦に協力し続けた。
 日本の再軍備を唯一予防してきたのは、いわゆるマッカーサー憲法「第9条」 (戦争放棄の宣言) だった。

ところが、最近、北朝鮮からのミサイルや核兵器の脅威を口実にして、安倍政権が、「9条」を改悪して、「再軍備」(自衛隊の強化) を企てている。 マクロンとは、明らかに「月とスッポンの違い」である。 安倍政権だけではない!  野党「希望」を打ち立てた小池都知事も、「改憲」(9条の改悪) という踏み絵を、民進党出身者に強要した。その結果、民進党の三分裂を招き、自民党にまんまと「魚夫の利」をもたらした。 彼女自身は「マクロンの日本版」を自負しているようだが、明らかに「似て非なる」ものである。安倍と小池は、言わば「同じムジナ」に近い。 

極東に真の平和をもたらす政策は、日米安保でもなければ、日本の再軍備 (9条の放棄) でもない!  先ず中国、韓国、台湾、シンガポールなど近燐のアジア先進国 (Asian Tigers) と協力して、(EUに対抗して)「極東共同体」(FU, Far-East Union) という新しい経済体制をうち立て、FU 内では、輸入税の廃止、貨幣の共通化、ビザの廃止など、画期的な経済改革を実現することである。そうすれば、北朝鮮からの軍事的な威嚇や脅威もやがて無くなるだろう。 イソップ童話に、「暖かい南風は、寒い北風に勝る」という逸話がある。 

マクロンは「前進」(En Marche) という新党を打ち立て、文字通り「前進」を続けている。安倍内閣は、逆に日本を「戦前に戻そう」としている。"後戻り" はもはや許されない!  極東に "進歩" をもたらすためには、 (国境を越えて) "FU" と共に、"前進" するのみである。 

恐らく、(共産党独裁の) 中国がFU路線に抵抗/難色を示すかもしれない。従って、日本が民主的な韓国、台湾、シンガポールなどに呼びかけて、先ず「FUの核」を形成し、次に「中国を料理する」作戦が正攻法となろう。 しかしながら、 江戸時代に長らく「鎖国」を続けた日本は、英語会話に弱く、歴史的に「国際外交音痴」である。従って、(比較的進歩的な) 元外相 "河野洋平氏"  (早稲田大学政経学部出身、80) などと相談して、予め念入りに作戦を練る必要があるだろう。機会があれば、マクロン著「革命」の邦訳  (抜本的な改革へ前進!) を出版し、小田原市内にあるはずの河野邸を訪ねてみたいと思ったが、パリの出版社からの最新情報によると、意外にも、 ("子供向けの伝記本" や "世界の童話" などを主に出版している) ポプラ社」により、邦訳が既に進められているそうである。小学生の頃、私もポプラ社の偉人伝シリーズ (聖徳太子、エジソン、シュバイツアー博士 など) の愛読者だった!

蛇足であるが、河野洋平氏は、早稲田大学 "競走部" のOBでもあり、父・一郎、叔父・謙三も歴任した日本陸上競技連盟会長を務めていた(1999- 2013) 。正月明けの "箱根駅伝" では、地元 (小田原) や往路ゴール (箱根) にて, 母校「早稲田」の選手の到着を待っている姿がしばしば目撃される。だから、長距離ランナーでもある私とは、色々な意味で "馬が合う"。

 

2017年11月16日木曜日

「同姓結婚」の合法化: 「結婚」の定義と意義?
宗教との関係 ( カトリックやイスラム教徒は反対)

今世紀に入って、「結婚の定義」 が変化しつつある。 従来は「異姓間」の特殊な結び付きを結婚と称した。 広辞苑には、「結婚とは、男女が夫婦になること」 と明記してある。 ところが、つい最近になって、欧州の10ヶ国 (例えば、ベルギー、オランダ、スペイン、ポルトガル、スウエーデン、ノルウエー、フランスなど) や南半球の南アフリカ、アルゼンチン、豪州などでさえ、「同姓間」 の結婚が法的に認められるようになった。 しかしながら、アジア諸国やイスラム社会では、同姓婚を認めている国は未だ皆無である。

日本の民法」は、同性婚の禁止を明言していないが、条文の主語が「男は」「女は」とされるなど男女の婚姻を前提としていると解釈されているため、日本では法的に認められない。全国の同性愛者ら455人は7月、同性婚の法制化を政府や国会に勧告するよう日本弁護士連合会に人権救済を申し立てた。 全国に先駆けて東京都 "渋谷区" と "世田谷区" は、生活を共にする同性カップルを夫婦と同じような関係の 「パートナー」 と認める制度を始めた。

「同姓間の結婚」に関する日本経済新聞の記事(2017/11/16日号) 


同性間の結婚を認めていない今の民法は、結婚の自由とひとびとの平等を定めた憲法に違反している……台湾の憲法裁判所にあたる司法院大法官会議がこんな考えを明らかにしたのは、ほぼ半年前のこと。さらに同会議は2年以内に立法措置をとるよう明確に求めた。
台湾で初めての女性総統である蔡英文さんがひきいる民進党政権は、かねて同性婚を認める方針をかかげてきた。形のうえでは司法が先手をとったわけだが、大胆な改革への政治的な追い風になったのは間違いない。行政の面では早々に同性カップルへの配慮に着手し、アジア初の同性婚合法化も時間の問題となっている。
半球豪州では昨日、大きな動きがあった。同性婚を合法化するかどうかをめぐる国民投票の結果が発表されたのである。有権者の8割近い人たちが郵便を通じて意見を表明し、うち62%が合法化を支持した。国民投票に法的な拘束力があるわけではないが、政治に一歩を踏み出すよう促す効果は小さくない。
同性婚を法律で認めるか否かは、社会的少数派に向ける多数派のまなざしの反映だろう。いわば異端として排斥するのか、それとも同じ人間としてその自由をできる限り尊重するのか。日本では「両性の合意のみ」が結婚の基礎だとする”憲法24条”が焦点となる。動き出した"憲法改正" 論議がどこまで踏み込むか、注視したい。

(2011年現在) 同性婚を認めている国には、オランダ(2001)、ベルギー(03)、スペイン・カナダ(05)、南アフリカ(06)、ノルウェー・スウェーデン(09)、ポルトガル・アイスランド・アルゼンチン(10) などがある。米国では、マサチューセッツ州(04)で最初に認められ、コネティカット州(08)、アイオワ州・ニューハンプシャー州・バーモント州・ワシントン(09) などに広がっている。

"比較的保守的"な「日経」が「同姓婚を合法化するために、憲法24条を改正すべき」と主張する裏には、国民の「死活」問題である憲法9条も一緒に (どさくさ紛れに) 改悪してしまおうという意図 (自民党を支持する"兵器企業"の魂胆) がありありとうかがえる。。。要注意! 

生物学者 (無神論者)である私の目から観ると、「結婚」という生物現象は、(人間が勝手にでっち挙げた色々な神の存在を信じる) 「宗教」同様、人類社会にしか存在しない例外的な (人工的な) 現象である (「猿」が結婚式を挙げたという話を聞いたことがない) 。 子孫を残す (種の保存) には、不可欠な現象ではない。"性交"と"結婚"は、明らかに別現象である。結婚せずに同棲でも、性交は可能 (合法) である。一体何のために、人類だけ「結婚」という制度にかじり着くのだろうか?   憲法を安易に改正 (改悪) する前に、じっくり考えてみよう! 


さて、宗教と結婚との間には、ある (密接不可分な) 共通点がある。それは一体何だろうか?   神への誓いによって、「個人の自由」を一生束縛し得る力が潜んでいる。だから、特にカトリック教では、(今でも) 離婚が許されない (英国エリザベス一世の父親であるヘンリー8世は妻を離婚して、別の女性と再婚するために、カトリック教を否定して、「英国国教会」という新しいキリスト教派を発足したという有名な史実がある) 。 実は、神などこの世に実在しない!  その昔、(予言者を装う) 誰かが勝手にでっち上げた真っ赤なウソっぱち (神話) に過ぎない。 従って、「仮想の神」に何を誓っても、全く「無意味」ということになる!  宗教の戒律も結婚制度も「為政者が住民を巧みに操る」ために利用している "道具" に過ぎない。

2017年11月13日月曜日

「幸運」な発見と「不運」な発見は髪一重!

今から30-40年前、私が未だ30代の若者の頃、2種類の新しいキナーゼ (蛋白燐酸酵素) をアメーバ中で発見した。 その当時、私の興味はアメーバ運動 (いわゆる「非筋肉」細胞運動) のメカニズム解明にあった。アメーバ運動も筋肉細胞の収縮運動も、アクチンとミオシンと呼ばれる2種類の収縮蛋白がその原動力になっている。 面白いことには、両方ともATPを分解する機能をもっている。そこで、各々の機能を制御すると思われる各々のキナーゼを発見し、その制御メカニズムを研究することは、潜在的に意味があると確信した。

先ず米国のNIHで40年前に発見したのは、土壌アメーバ由来のミオシン重鎖キナーゼだった。 それまでに、哺乳類の血小板からミオシンの軽鎖を燐酸化するキナーゼは見つかっていたが、重鎖を燐酸化するキナーゼ は未だ見つかっていなかった。そういう意味で、私はミオシン重鎖キナーゼの草分けである。幸運にも、のちに哺乳類にも同じようなキナーゼが発見され「PAK」と名付けられた。 例えば、ミオシンがこの酵素によって燐酸化されると、そのATPase機能がアクチン線維によって初めて活性化され、ATPの分解によって生じた「化学エネルギー」がミオシン蛋白の収縮「運動エネルギー」に転換される。 それだけではない。「PAK」はその他種々の蛋白を燐酸化することによって、発癌や老化などを引き起こすことが判明した。こうして、癌治療や健康長寿をめざす「PAK遮断剤」の開発研究が最近になって、急速に世界中で進められている。

数年後 (1980年代初頭) に、西独のマックス=プランク研究所で、第二のアメーバ=キナーゼを我々は発見した。真性粘菌中のアクチンを燐酸化する酵素で、のちにベルギーのグループによって、「AFK」(Actin-Fragmin Kinase) と命名された。当初、我々はこの酵素を 「CAP42 Kinase」  と呼んだ。 その理由は以下の通りである。

 このアメーバのエキスで、分子量42Kの蛋白が燐酸化されることを先ず発見した。分子量はアクチンとほぼ同じだった。 しかしながら、この蛋白は、実際には2種類の異なる蛋白 (アクチンとフラグミン) の複合体らしかった。この複合体 (CAP42と命名) は、アクチン線維のプラス端をキャップして、その 重合を抑える機能があった。不思議なことに、このキナーゼの機能は「カルシウム」と「アクチン」によって阻害されることがわかった。 同じような機能をもったキナーゼ (PAKの上流で機能するらしい「カゼイン=キナーゼ」の一種) が、哺乳類にも存在するらしいことが後にわかったが、発癌や老化などに結び付くかどうかは、未だ不明のままである。従って、余り注目を浴びぬまま「不運なキナーゼ」に甘んじている。 もしかしたら、100年後に、注目を浴びて「幸運なキナーゼ」に変身するかもしれない。

基礎的な学問研究も、流行歌手などと同様、時代の流れに従って、人気にも不人気にもなる。従って、発明発見の 「幸運、不運」 は正に 「髪一重」 といいべきだろう。 かの有名な物理学者アインシュタインが予言した 「重力波」 も、100年以上の歳月を経て、つい最近、その実在が証明された! 

2017年11月12日日曜日

豪州版 「ビクトリア」 と 「メルボルン」 の親密な結び付き

豪州は、6つの州、北方領土 と首都 (キャンベラ) からなっている。その州の一つがビクトリア州である。 この「ビクトリア」の名称は、大英帝国の黄金時代 (19世紀、1837-1901) に君臨していたビクトリア女王に由来する。 ビクトリア州が正式に成立したのは1851年。 同年にバララット (Ballarat) で金鉱が発見され、人口が急激に増加したため、ビクトリア植民地政府が成立した。

さて、ビクトリア州の中心都市 (州都、人口470万人) は 「メルボルン」 であるが、その名称は、ビクトリア女王の相談役を務めたメルボルン首相 (1779-1848) にちなむ。 彼の本名はWilliam Lamb であるが、父親のメルボルン卿が他界した際、その家系を継いでメルボルン卿と改名した。 メルボルン卿は、ホイッグ党首として、2度にわたって、英国の首相を務めた。1835 - 1839 と 1839 - 1841 である。 1837年に、18歳で (未だ独身の) ビクトリアが女王に就任した際、メルボルン首相が女王の相談役に任命された。 以来、ビクトリアとメルボルンの間に親密な関係が生まれた。

さて、1839年に、議会で与党だったホイッグ党が野党のトーリー党に敗れ、メルボルンは首相を辞任し、代わりにトーリー党の党首ピールが首相に就任せんとしたが、ビクトリア女王が、驚くなかれ、 ピール内閣の承認を拒否した!  ピール首相はビクトリア女王の相談役に相応しくなかったからである。(「君主議会」制度下では、内閣の成立は「君主による承認」を必要とする。例えば、日本でも、天皇の承認なしには、内閣は成立しない!)  

そこで、ピール内閣は総辞職して、メルボルン内閣が成立し、メルボルンが女王の相談役 (言わば、父親代り) に再任した。 この第二次メルボルン内閣の期間に、ビクトリア女王の結婚 (婿探し) 問題が 宮廷内で取り沙汰されたが、その際、女王は"恋愛結婚" を主張し、(ある噂によれば) 40歳年上のメルボルンに求婚したという説がある。 メルボルン卿には以前、キャロリンという妻がいたが、有名な詩人バイロン卿と悪名高き情事を起こしたという理由で、妻を離婚したという寂しい過去があった。 勿論、聡明なメルボルン卿はビクトリアの求婚をやんわりと退け、代わりに (ビクトリアと同い年) 従兄のアルバート王子(ドイツ系) を結婚相手に強く推薦した。 1839年にビクトリアとアルバートがめでたく結婚し、9人もの子供が次々に生まれた。

一方、メルボルン卿のホイッグ党は1841年に、再びピール党首の率いるトーリー党に敗れ、メルボルン内閣は総辞職して、下野する。メルボルン卿は以後体調を崩し、7年後に心臓麻痺で、寂しくこの世を去った。 メルボルン卿の死後3年目に、豪州のビクトリア州の州都が 「メルボルン」 と命名された。

2017年11月11日土曜日

東京を襲った 「カスリン台風」 から70年

敗戦直後、1947年9月中旬に、大型の台風(catherine) が東京の真上近くを横断した。 当時の新聞記事によると、大雨で利根川と荒川の土手が決壊して、2000人近い人々が死亡または行方不明になったそうだ。(東京地方を直撃した)  台風の中で、未だ幼かった私の記憶に残る最大の台風だった。当時、私自身はまだ5歳未満で、我が家は杉並区高円寺駅前 (国鉄中央線) 近くにある墓地の隣に建てた木造の急造バラックに、住んでいた。当時、墓地の向こう側に密集していた商店街で、頻繁に火事があり、その度に夜中、我が家の障子(しょうじ) に赤々と映る墓石の影が恐ろしく感じられた。

さて、カスリン台風の目が 東京の真上を通過するという "米軍気象台" の予報に従って、襲来直前に、父がバラックの周りに副え木を打って、強風で家が飛ばされないように補強した。その晩、カスリンがやって来た。 風は強かったが、雨はそれほど降らなかったような記憶がある。翌朝、目が覚めて、天井を仰ぐと、なんと青空が見えた! 家の屋根全体がどこかに吹っ飛んでいったのだ。 それから、一年半後、小学一年生の中途で、我が家は大田区の大森第七中の近所にある畑に新築した頑丈な家に引っ越した。以後、東京直撃のKitty 台風などでも、自分の家の屋根が飛ぶような 劇的な体験はなくなった。

2017年11月10日金曜日

小説 「日の名残り」: 「大英帝国の名残り」(伝統) に触れる

この小説は映画化され、執事を演じるアンソニー=ホプキンス女中頭を演じるエマ=トンプスンとの共演で話題になった作品の原作であるが、映画も、ほんの一部 (恐らく、最後の場面) を観ただけの私には、小説 (話) の全体像や焦点が殆んどつかめていなかった。最近、作家である英国在住の石黒一雄さんがノーベル文学賞をもらったのを耳にして、"英語" (Queen's English) の勉強も兼ねて、原作を近所(メルボルン郊外) の図書館で借りて読んだ。私は米国に10年、豪州に30年近く住みついているので、"米語" や "豪語" には詳しいが (実は) "英語" にはやや疎い。

戦前、ある英国の金持ち (恐らく、貴族) の館に(親子代々) 長らく勤務していた独身の執事 「スチーブンス」 の戦前、戦後にわたる体験を、「追憶」という形で、作品は描かれている。 作品の焦点の一つは、この館で、戦前女中頭として勤務していたケントン嬢と執事との微妙な関係である。 やや保守的な執事と革新的なケントン嬢との間で、ユダヤ系女中の解雇問題を巡って、あつれきが発生する。

実は、館の主人は「黒シャツ」社交界に友人が多く、ある晩 (開戦直前、1938年)、歴史的な「独英不可侵同盟」(ミュンヘン会談における合意) を巡って、この館で、ナチスドイツの高官と英国政府の高官との間で、秘密会議が開かれるに先立って、食事の世話をするはずの女中2人を、(ユダヤ人だという理由で) 館の主人が突然解雇するという事件が発生する。執事はそれをすんなり容認したのに対して、自分の部下2人を突然解雇されたケントン嬢は、強く執事に不服の意を表した。 その事件がきっかけになってか、ケントン嬢は館を去り、間もなく他人 (ベル氏) と結婚してしまう。

この館は戦後、アメリカ人の手にわたるが、スチーブンスは同じ館で執事を続け、ある日、主人が米国本土にしばらく帰京する機会に、休暇をもらって、しばらく振りに英国を旅する途上で、ケントン嬢 (ベン夫人) に再会する機会を得る。。。 この作品の特徴は、丸で「奥歯に何かが挾まったような」極めて婉曲 な言い回しとユーモア (banter) を交えて、執事が追憶する「大英帝国の黄昏」を思わせるイメージ (ふんいき) である。 視点をかえれば、21世紀に入ってから生じた「EUからの離脱」を望む古い世代と「離脱」に反対するリベラルな新しい世代との間のあつれきを予言するかのような文章でもある。 

2017年11月7日火曜日

「トランプ衆愚王国」 対 「アメリカ民主共和国」

去る一年前の米国大統領選挙で、(衆愚の有権者に支持されて) からくも勝利したトランプは、米国に  「トランプ衆愚王国」 を樹立した。 それに不満を抱く有権者の6割 (教育程度の高いリベラル派) は、トランプを「弾劾裁判」にかける機会を狙っている。 大統領選挙で、ロシアとの野合/共謀を企てたトランプを失脚させるためである。 しかしながら、トランプ自身が失脚しても、彼の副官 (副大統領) が大統領に就任する ( 頭の挿げ替え) だけで、本質的に政権が交代するわけではない。 「オバマ政権のよる改革」を全てご破算にせんとする企ては続行するだろう。

そこで、カタロニア自治州のスペイン王国からの独立宣言に呼応して、トランプ衆愚王国から、独立を宣言する「アメリカ民主共和国」(RAD, Republic of American Democracy) の支持者が飛躍的に増大しつつある。 もし、国民投票の結果、(例えば、ミシェル=オバマを筆頭にする) RADが樹立されれば、トランプは、ワシントンの 「ホワイトハウス」 からフロリダにある別荘に追いやられるだろう。 あるいは、ロシアの "クレムリン宮殿" に移転するかもしれない。

2017年10月24日火曜日

政治不信: 日米などのような「衆愚政治」国家では、首相や政治家連中は「無駄の長物」!
役所や役場の官僚たちに事務を全て任せておけば、政治家などは全く不必要!

私自身は、40年以上前に、渡米して以来、ずっと海外で 「独立」 (海外永住) しているので、日本政府から必要なものは唯一、10年毎に(外務省/海外の領事館から) 発行してもらう旅券だけである。 旅券には 「日本国外務大臣」 という判が印刷されてあるが、不思議なことに、外務大臣の「個人名」はない。つまり、(首相も外相も) 誰でもいいのだ!  日本の政治家たちは、言わば 「見えない空気のような物」 である。

(地球上では) 空気を吸うのに、お金は不必要。 同様に、我々の税金から、(何もしない) 政治家たちに "高給" を支払う必要は全くない!  そう思いませんか?  

小池都知事は、去る総選挙で、候補者たちに 「踏み絵」 を強要し、自滅 (失速)!   「オール沖縄」 を掲げる翁長知事や若い大先輩 「マクロン仏大統領」 から、本番 (2020年) に向けて 「成功の秘訣」(柔軟性=「大同小異」を尊重!)  を伝受して貰う必要がある。。。

世界の 「3悪」(独裁者):  トランプ(米)、安倍(日)、金 (北鮮)

麻生曰く 「左翼が3割切った歴史ない。北朝鮮のお陰!」.  安倍さんは選挙中、しきりに 「国を守る」 ことを強調していたが、(皮肉にも) 安倍政権を(左翼から) 守ってくれているのは、(友軍) 北朝鮮からのミサイル (援護射撃) !  安倍よ、 (改めて) 金首席に感謝せよ! 
 今や日本は、(米国のみならず) 北鮮の「核」の傘下にもある。 従って、我が国の自衛隊は、台風や地震などの 「天災」 対策に専念できる。。。

 日本人の精神年令

敗戦直後、マッカーサー司令官の率いる連合軍によって、日本全土が占領下にあった頃に、マッカーサーの部下の一人が、「日本人の精神年令は未だ12歳である」と発言して、内外の話題になった。  ドイツ人の大部分は戦争中、自分たちが一体何をやったか (罪) を良く心得え、反省している「成人」だが、日本人の大部分は自分がしでかした罪を殆んど理解していない (あどけない) 「子供」 に過ぎないという言う意味である。 だから、子供に代わって、(大人の) マッカーサーが、我々のために、戦後の「民主的憲法」を作成してくれたのである。 それが 「マッカーサー憲法」  の由来である。

さて、それから70年以上経った今日、日本人の精神年令は一体何歳くらいにレベルアップ (成長) したのだろうか?  海外に長らく住む我々の目からみると、日本人の精神年令は (義務教育を終えた) 15歳 には達していても、選挙権を行使し得る18歳には、到底達していないようである。今回の"大儀なき" (衆議院) 選挙結果をみれば、歴然である。 従って、「マッカーサー憲法の改正」 (特に、第9条の改悪) など、とてもお話にならない。 恐らく、精神年令が18歳以上に達するには、あと少なくとも70年はかかるだろう。つまり、2087年頃になって初めて、「憲法の書き直し」 を考え始めたらよかろう。。。


 しかしながら、海外に住む我々は、日本人の精神年令ばかりではなく、米国人の精神年令が最近、急速に低下したことにひどく驚いている。 今や老化/退化して、精神年令が事実上「18歳以下」になっている。 だから、「トランプ」 のような変人が大統領として選ばれてくるのである。 トランプ自身を非難するよりも、彼を選んだ教育程度 (精神年令) がひどく低い有権者層を警戒すべきだろう。 北朝鮮にも、精神年令が(明らかに) 18歳以下のボスが独裁政治を続けている。 

 「井の蛙、大海を知らず」では、いつまで経っても、(日本人の) 精神年令は成長しない。 海外へ積極に出て (「武者修行」を通して) 初めて、客観的に (他人の目で) 自分自身を見つめ直すことによってのみ、"精神の飛躍" (アウフ=ヘーベン) が可能なのである。

2017年10月13日金曜日

沖縄における 「衆議院」 選挙 (2017年10月): (日本) 本土とはかなり事情が違う!

本日、(豪州メルボルン領事館で) 在外投票を済ませたが、私の「旧住所」 ( 2016年8月末日まで) が沖縄県宜野湾市だったので、今回は 「沖縄2区」 の候補者に投票することになった。 この区は、過去連続5選の社民党候補 (照屋さん、72歳) の地盤である。 恐らく、今回も翁長 (沖縄) 知事や「オール沖縄」( 革新系) の支持を受けて、自民党候補を破って当選することが予想される。 面白いことには、沖縄2区が全国唯一の 「社民党候補の当選確実」 選挙区である。 沖縄では、どうやら 「小池新党からは全く立候補者なし」 のようである。戦後ずっと米軍基地に苦しめられている沖縄県民にとっては、(改憲=第9条改悪を掲げる) 「保守的な」小池新党は、とうてい 「受け皿」にはなり得ないからだ。

 衆人の期待に反して、2017年衆議院選挙で、安倍内閣(286) は、小池新党(49) に 「TKO 」 勝ち!  小池(都) 知事は、投票日直前にパリヘ高飛び。。。

 (琉球新報の記事より抜粋) :

第48回衆院選が10日公示され、午前9時現在で 沖縄県内の4小選挙区で前職9人、新人3人の計12人が県選挙管理委員会に立候補を届け出た。

沖縄1区には自民前職の国場幸之助氏(44)、共産前職の赤嶺政賢氏(69)、維新前職の下地幹郎氏(56)、幸福新人の下地玲子氏(59)の4人。
 
2区は社民前職の照屋寛徳氏(72)、自民前職の宮崎政久氏(52)の2人。

3区は無所属前職の玉城デニー氏(58)、幸福新人の金城竜郎氏(53)、自民前職の比嘉奈津美氏(59)の3人。

4区は幸福新人の富川泰全氏(38)、無所属前職の仲里利信氏(80)、自民前職の西銘恒三郎氏(63)の3人が立候補した。

第2次安倍政権にとっては2度目の総選挙であり、国民の審判が下される。県内では米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設や沖縄振興の在り方、改憲、消費増税などが大きな争点となりそうだ。

2014年12月の前回選では、翁長雄志知事とともに辺野古新基地建設反対を掲げた「オール沖縄」勢力の候補者が全4選挙区を独占し、敗れた候補者は全員、"比例復活" による当選を果たした。前回選の立候補者全員が今回選にも立候補したことから、事実上、同様の選挙構図であらためて県内有権者の審判を仰ぐことになりそうだ。

 スペインからの「カタロニア」独立と日本からの「沖縄」(琉球) 独立

バルセローナを首都にするカタロニア自治州では、住民の9割以上がスペインからの独立を希望していることが、最近の住民投票で明白になった。  しかしながら、スペイン政府はカタロニアの独立は 「憲法に違反する」 (違憲である) と主張し続けている。 元来、カタロニアは独立国だったが、1936年に勃発したスペイン内戦中にフランコ独裁政権によって、無理矢理に (武力で) スペインに合併されたという歴史がある。 1975年のフランコの死亡と共に、カタロニアの自治権が獲得された。

さて、琉球王国もその昔「独立国」だったが、江戸時代に薩摩藩 (島津家) の植民地になった。 その後、明治時代になって、日本国に併合された。 日本の敗戦後、沖縄は米国により植民地化され、全島が米軍の基地になった1972年に、沖縄は "形式的" に日本本土へ復帰 (返還) されたが、(日米安保条約に従って) 米軍による一方的な占領が相変わらず継続している。

沖縄住民は現在、「二者選択」 を迫られている。(1) 日本から独立して、米軍基地をグアム島へ全部移動してもらうことを、米国政府 (トランプ政権) と直接交渉するか、(2) 日本政府の 「傀儡」 となって、引き続き 「日米両国の植民地」状態に甘んじるか、どちらかを選択せねばならない。 カタロニアの住民投票結果は、前者の選択を示唆カタロニャ州議会が 遂に 「独立宣言」! "カタロニアの独立は 「違憲」 である" と主張する(スペイン) 中央政府との対立が決定的! 因みに、沖縄の独立は 「合憲」である (現行の憲法には違反しない) 。 

 沖縄の 「米軍基地」 問題は、沖縄が日本から独立して、「琉球共和国」を樹立しない限り、解決しないだろう。 日本政府からの "多額の金銭的援助" が途絶えれば、自ずから、米軍は (沖縄から) グアム島に基地を移転 (撤退) せざるを得なくなる。 逆に言えば、沖縄が本土から独立することによって、日本本土自身も米国の「属国」状態から解放されるのである。
更に、日本政府 (内閣府) からのいわゆる 「沖縄補助金」 で全額まかなわれている"沖縄の寄生虫" 「OIST」 (沖縄科学技術大学院大学) も即刻、閉鎖になるだろう。

 沖縄が日本本土から独立して、永世中立な 「琉球共和国」 になり、「極東のシンガポール」 (国際的な貿易国) になり得る可能性は十分にある。先ず、沖縄の総面積は 、2281 平方kmで、ちっぽけなシンガポール (719 平方km) の3倍以上の広さがある。 片や、 沖縄の総人口は144万人で、シンガポールの総人口 (561万人) の約4分の1に相当する。 従って、沖縄の人口密度は633人平方/kmで、 シンガポールの人口密度 7,697人/平方km の12分の1に過ぎない。 明らかに、今後将来、高速道路にかわって、"鉄道" などを先ず南北に走らせ、開発の余地が12分にある。 独自の"国際線"を扱う 「琉球航空」(Air Ryukyus) や「琉球郵船」 などの観光運輸事業会社を立ち上げ、貿易や観光事業を飛躍的に盛り上げる可能性もある。

 沖縄 (琉球民族) の独立運動に関しては、(地元) 石垣島出身で早稲田大学 (政経) 卒の経済学者、松島教授 (竜谷大学) の「琉球独立への道」などを参照されたし.

 因みに、都道府県の人口密度を調べてみて驚いたのは、沖縄の人口密度は第9位、8位の兵庫と10位の京都との中間にある。 面白いことに、(隣の) 台湾の人口密度(640人/平方km) は沖縄県や中近東のドバイ首長国とほぼ同じである。 一位の東京都の人口密度は、6016人/平方kmで、シンガポール (7697/平方km) よりかなり低い。 勿論、人口密度の一番低いのは北海道 (70人/平方km) で、沖縄の9分の1に過ぎない。 従って、(寒い) 北海道や東北の開発がいまだに遅れていることがわかる。

 沖縄県民は、戦術を大幅に変換 (アウフヘーベン) する必要がある!

沖縄住民は戦後70年以上、米軍が何かをしでかす度に"抗義運動"を繰り返してきたが、米国政府も日本政府も、それに耳を傾ける姿勢が全くない。 聴く耳をもたない相手には、もう少しドラスチックな手段 (パンチ) が必要である。米軍基地への 電気、ガス、水道の供給を(一方的に) 止めれば、米軍はグアム島に移転せざるを得なくなる。 実効果のない 「マンネリ」 の抗義運動はもう辞めよう!  

例えば、翁長知事が 「2018年元旦に琉球政府は日本政府から独立し、以後は米軍基地へのエネルギーや水の供給を絶つ」 と宣言したら、先ず安倍政権が倒壊し、米軍は沖縄から引き揚げる以外に手はない! 

 

2017年10月5日木曜日

「衆愚民主政治」 か 「啓蒙君主政治」 か

目下、Jim Krane 著 (2009年) 「Dubai:  The story of the world's fastest city」 を読んでいる。 Dubai とは、アラビア半島内にあるUAE (アラブ首長国連邦) の一つを代表する貿易都市である。 イランの対岸に位置するUAE内では、最大の人口 (約300 万人) を誇っている。

その内で、土着のベドウイン族 (国民) の人口は、全体の2割に過ぎず、残りはインド人(4割)、パキスタン人(2割弱)、バングラディッシュ人(1割弱) など南アジアからの出稼ぎ外国人が8割近くを占めている。勿論、外国人には政治に口出しする権利がないから、2割にあたる土着のベドウイン住民の意志や希望によって、政治が動いている

もっとも、実際に (建国以来ずっと) 政治の実権を握っているのは、Dubaiの首長(世襲制の家長) であるSheikh 家である。目下、2代目の啓蒙君主Sheikh Mohammed が内政、外交、経済など全てを統括している。石油、貿易、観光などで稼いだ豊かな富 (国庫) から、国民一人当たり年間550万円の生活費が支給されていているので、国民からは殆んど不満が出てこない。しかも、教育費は小学校から大学まで無料、所得税も消費税もなし! 

こういう夢みたいな国家がアラビア半島に実際に存在するのだが、日本の現状はどうだろう。 天然資源に乏しく、人口ばかり多い (衆愚の) 日本では、国家が高い所得税と消費税を国民から吸い取り、その国庫を (無理矢理に) 沖縄に駐屯する米軍や自衛隊の維持費に使用している。 然も、人口の大部分を占める有権者には、投票権だけはあるが、実際に選ばれてくる政治家 (特に与党の政治家) は、有権者の利害など度外視して、好き勝手放題を繰り返している。

私の個人的な意見では、日本の「衆愚的な民主政治」よりも、Dubaiの「啓蒙的な君主政治」をむしろより高く評価したい。 そこで、来たるべき選挙で「倒幕」が成功したら、啓蒙的な (先見の銘がある) 君主 (女帝) が日本政治の舵取りをしてくれることを期待している。

 日系英国人のノーベル文学受賞:  才能は 「環境の子 (産物) 」 である!
 
今回ノーベル文学賞を受賞する英国人 「石黒一雄」 氏は、(長崎で) 1954年11月08日生まれ。 誕生日が偶然にも私と同じで、しかも 12歳違いの午 (うま) 年生まれ。 5歳で両親と共に、英国に移住して以来、ずっと英国住まい。 彼の文学作品はGenotypically  にはJapanese だがPhenotypically には British。同様に、私自身の「PAK」研究も、Genotypically  にはJapanese だが, Phenotypically には Aussie。 彼は若い頃、(私同様) "画家" をめざしたことがあるそうである。だから、彼の作品 (例えば 「浮世の画家」 など) には想像力が豊かに滲み出ている。何時か機会があったら、石黒さんにも会ってみたい。

2017年10月4日水曜日

今や 「倒幕」 (安倍幕府の打倒) の機は熟した!

小池新党を先頭に、腐り切った自公連立政権を粉砕せよ!  平成に入ってから、 何回か、倒幕が成功している。 先ず第一は、(さきがけの) 細川政権の樹立。二回目は(民主党による) 鳩山-管-野田(バトンタッチ) 政権の樹立。 もっとも「社会党-自民党」 (村山) 連立政権は、事実上、自民党の「傀儡」だから、数に入らない!

今回は "三度目の正直" (安定政権) を期待しよう。倒幕を果たすためには、「大同小異」の原則をできるだけ守って欲しい。立憲民主党などとの政策上の「ちっぽけな違い」に拘って、(安倍政権を倒すという) 「大きな目標」を忘れてはならない。

もし、「希望の党」が過半数近くに迫ったら、恐らく前原さん (民進出身) が首相に指名されるだろう。"本命" の小池さんは、2020東京五輪を成功させてから、満を持して衆議院 (東京区) に立候補して、圧倒的多数を制して、"史上初の女性" 首相に指名されるだろう。 今回はその 「地慣らし」 に過ぎない。

さて、 東京都が視察用の豪華 (20億円) クルーザーを購入する問題について、都民の一部から批判が出ているようであるが、(五輪開催前に) 引退 (生前退位) 予定の天皇や英国のエリザベス女王 (2世) やフランスのマクロン大統領など海外から来訪する多数のVIP (国賓) による東京湾の視察を円滑に進めるために (安物の 「モーターボート」 ではなく)  適切な船を準備するのは、"国際的な外交儀礼" であり、非難するにはあたらない。 因みに、ロッキード戦闘機F3520機購入する費用に相当するそうである。 問題は (安倍幕府のごとく) 「戦争」を始めるか、それとも 「平和」 を選択するである。 都民一人当たり 「200円の出費」 である。  これで 「平和が買えれば幸せ」 と言うべきだろう。 国民一人一人の命には代えられない!

蛇足だが、私は "船旅" が大好きである。下村さん (ノーベル受賞者) は1960年に渡米する際、「氷川丸」という日本郵船の客船に乗ったそうである。それは、氷川丸にとって「最後の航海」となった。私自身が1973年に渡米する際は、太平洋を横断する客船は全くなくなった。そこで、米国の"大型コンテナ船"に乗って、横浜からシアトルに向かった。 もし将来、私にノーベル賞を授かるような機会が訪れたら、メルボルンからストックホルムまで、大型コンテナ船で、再び航海したいと思っている。その時には、高校時代の親しい同級生何人かをを横浜港で拾っていくという約束をしている。 帰路に実家のある東京に寄る予定であるが、その時には、「東京都の鍵」 をもらって、"都庁所属の豪華クルーザー" で、同級生と共に、東京湾を初めて視察したいものである。 

2017年9月27日水曜日

「小池なだれ」: 「アウフヘーベン」 とは (安倍政権打倒をめざす) 「野党再編成」!



 
「アウフヘーベン」(Aufheben) とは、小池都知事が (政治的) 岐路に立った時に、好んで頻発する言葉である。 日本語では、止揚とか揚棄とか訳されているが、素人にはピンとこない言葉である。 原典はドイツ語で、有名な哲学者ヘーゲルが 「弁証法」 という哲学論の中で使い始めた言葉である。  平たく意訳すれば、踏み台になる原案/仮説 (テーゼ) を否定 (つまり反論=アンチテーゼを提案) しながら、より進化した (より高い次元あるいは実現性の高い) 折中案 (ジンテーゼ) を摸索する努力の過程を指す。

例えば、国政をめざす小池新党の党名として、「国民ファースト」 という案で出たが、既に誰か (自民党のドン) が妨害を意図に、既に登録していたことが発覚した。 そこで妥協して 「日本ファースト」 という党名が一時ちらついたが、いかにも 「右翼的な」 呼称なので、大半が反対した。 そこで、「庶民の受け皿」 とか「庶民の目線で」とか、色々な提案 (百家争鳴) が出たが、結局  「希望の党」 という小池案に落着 (アウフヘーベン) した。

民進党は事実上"解散" 、"希望の党" に合流し、「野党再編成」なる! 
https://mainichi.jp/senkyo/articles/20170928/ddm/003/010/059000c
ただし、旧社会党系のリベラル派は、小池さんの「踏み絵」 (憲法改正など) を踏まず、「立憲民主党」 なる新党を結成。

「希望の党」の第一目標は、(自民党のドン) 安倍首相の再選を阻止することである、この目標は、他の野党 (例えば、民進党や共産党) には (力不足で) 到底実現できない。"有権者の40% にも達する浮動票" を全部かき集めることで実現できる!  つまり、(ほのかな 「希望」 を与えながら) "庶民の受け皿" になることである。議席数の4割を獲得すれば、他の野党の議席を併せて、安倍さんの再選を食い止められる。 更に (都議選同様) 、「希望の党」 が4割をとれば、安倍さんにとっては明らかに 「敗北」 なので、責任をとって、自民党の党首を辞任せざると得ない。