人々の “健康促進” のために!

人々の “健康促進” のために!
2015年春、沖縄の琉球大学キャンパス内 (産学共同研究棟) に立ち上げた “PAK研究センター” の発足メンバー(左から4人目が、所長の多和田真吉名誉教授)
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2013年10月31日木曜日

(短命な) 肥満マウスの寿命を延ばす化合物 「アディポロン」


最近の新聞 (日経) 報道によれば、 東大医学部の糖尿病研究の専門家、門脇 孝教授 (病院長) の研究室により、(短命な) 肥満マウスの寿命を延ばす「アディポロン」という化合物が発見された。この化合物は、「アディポネクチン」と呼ばれる善玉ホルモン (ペプチド) の受容体を活性化する作用をもち、最終的にはAMPKを活性化して、(糖尿病患者の) 血糖値を下げたり、(脂肪の燃焼を促進することによって) 肥満を予防することが可能であるといわれている。(「水平思考」による) 私の予想では、この化合物も (他のAMPK活性剤と同様)、PAKを遮断する作用をもつ可能性が極めて高い!  因みに、肥満マウスや糖尿病 (タイプ2) マウスでは、アディポネクチンの合成/分泌が低下している。 それを補うのが、この新化合物「アディポロン」の役目 (薬効) である。


面白いことには、「アディポネクチン」受容体は、脂肪組織や筋肉組織ばかりでは
なく、脳組織にも存在している。 従って、この化合物「アディポロン」が血管脳関門を
通過できれば、 (PAK依存性の) 脳の病気、例えば、グリオーマやNFなどの脳腫瘍や
認知症、鬱病や自閉症などにも有効である可能性がある。 かように、水平思考は可能性
の輪を無限に広げることができる。 従って、特に若い人々に「平行思考の達人」を努めて
めざすことを強くお勧めしたい。。。

2013年10月19日土曜日

常盤新平さんの抄訳「原子雲のかなたに」(1961年)を発掘!

直木賞作家であり、翻訳家でもあった常盤新平さん (1931ー2013) が本年1月に
肺炎でとうとう亡くなったのをごく最近知りました。 新平さんの名を私が初めて
知ったのは、数年前に、我々がノーベル賞作家「パール・バック女史」の名作の一つ、
「Command the Morning」(1959年出版)の完訳「神の火を制御せよ: 原爆
を作った人々」(こみち書房、2007年)
を出版直後、ある大阪の読者から、
1960年代初め (中学生時代) に、この原書の新平さんによる抄訳「原子雲の
かなたに」
を、ある受験雑誌の付録として、読んだことがあり、感動したので、
学校の国語の授業で、その感想文を書いたことがあるという意外な投書を受け取っ
た時でした。 あんな有名な翻訳家の手でも、(米国の) 原爆を作った人々に関する
邦訳は、日本の出版社では、まともに出版できないほど、当時の日本人の間では、
「原爆に対する拒絶反応」がいかに根強かったのかが如実に伺える。。。

最近になって、その「幻の雑誌」が学研の「高校生コース」(高校生活教養文庫、
1961年6月号)
であることが判明しました! この雑誌(既に廃刊!)の付録が 
横浜にある神奈川近代文学館と広島の平和記念資料館にまだ保存されている
ようです。  新平さんと当時の"学研"スタッフの「先見の明」に、改めて敬意を表したい!

存命中にぜひ一度(新平さんに)お会いしたかったのですが、既に「帰らぬ人」
となり、誠に残念です! 彼の冥福を心から祈りたい! 最近まで、青土社と
いう出版社の嘱託/編集顧問をしていました。(2、3年前に、GFPに関する
英書の邦訳の件で)メールを1、2度やりとりしたことがあります。 私は来年
の夏に (東京の実家に一時帰国の折) 、横浜まで出かけ、この抄訳(挿絵付きの
「時代小説」) をぜひ閲覧したいものだと思っています。 挿絵は新潟出身の三芳悌吉さん(1910ー2000)
の作品だそうです。 因みに、絵本「ある池の物語」という
新潟のあるカトリック教会の脇にあった「異人池」の歴史を綴った作品が三芳さんの代表作です。

 パール・バックはこの小説の末尾で「原子力エネルギーの代わりに太陽エネルギー
(神の火)を駆使せよ!」と、主人公ジェーン・アールの言葉を通じて、強く読者に訴えて
いる。 つまり、この作品は「核兵器撤廃」と「脱原発」をめざす闘いの先駆けを
なしている。 今でも遅くない! 進歩的な元首相 (管さん、小泉さん、細川さん) や共産党などと

ぜひ共闘して、もう放射能の垂れ流しをせぬ真に「美しい日本」を再建しようではないか!

2013年10月7日月曜日

悲劇に終わった(横浜線)人命救助

横浜線の踏切付近で (線路上に) 倒れていた老人(74) を助けようとした女性 (村
田奈津恵さん、40) が、結局列車にはねられて、死亡した。助かった老人男性の
複雑な心境はいかばかりか。。。そして、自分の目の前で、人助けをした娘をな
くした両親の沈痛は計りしれない!  なぜ、列車は急停車できなかったのか? 
http://www.asahi.com/national/update/1002/TKY201310020008.html
老人の命を救うために自分が犠牲になった故村田奈津恵さん (40) の冥福を心か
ら祈りたい!


老人の自殺未遂ではないかという噂がある。倒れていた場所が少し踏切からずれ
ているからだ。 (娘さんの) 父親はそれをとっさに悟ったのか、娘に「やめろ」
とどなったが手遅れになった。。。
 これは「むごい」言い方かもしれないが、自殺者を救っても美談にはならない!
   (本人はもはや生きたくないのだから、拷問だ!)

さて、もし自殺ではなく単なる転倒なら、 人命救助は正当化できるが、遣り方が
まずかった!  理想を言えば、父子で現場に駆けつけて、すばやく老人を線路脇
に引っ張り出して、そのまま自分たちも線路脇に避難すべきだった。。。
そうしたら、悲劇にはならなかったはず。 女性の手には老人は重過ぎた!

人命救助には、巌俊さんのごとく、沈着と適切な判断がとっさに必要である。
父親は、この老人に「(娘の代わりに) できるだけ長生きして欲しい」と伝言した
そうだが、こんな状況で命拾いした老人は一体何年生きられるだろうか。。。

連続テレビ番組「相棒」の主人公 (特命係の) 杉下さんなら、こう言うだろう。
「亀さん、この老人には心のケアがぜひ必要です。何とか精神的に生まれ変わっ
てくれるといいのですが」 

2013年10月3日木曜日

分子機関車: アクチン線維の上を、ミオシン頭部(ATPase)がATPを分解 しながら動く

筋肉の収縮メカニズムを説明するために、英国のヒュー・ハックスレーらがミオシ
ン線維とアクチン線維との間でスライディング (滑走) が起こるという説を 1954年
頃に提唱した。その仮説を分子レベルで初めて実証したのは、米国スタンフォー
ド大学医学部のジム・スプーディッチのグループであった。1983年にマイク・シー
ツが、そして1987年に豊島陽子らが、ミオシンおよびその頭部(ATPase)
がモーターとなって、ATPの分解から得られる化学エネルギーをアクチン線維
を動かす機械エネルギーに変換することを実証した。 ATP一個の分解毎にミオシンが
10nm(1cm の千分の1) だけ進むそうだ。 従って、筋線維一本を10センチだけ
収縮させる毎に、一万個のATPの分解が必要である計算になる! 

これらの研究に対して、2012年にラスカー賞 (基礎医学分野) が与えられた。
ひょっとすると、2013年のノーベル医学生理学賞は、これらの分子機関車
 (ミオシン、キネシン、ダイニンなど) に関する研究分野のパイオニアたちに
与えられるかもしれない。。。

 因みに、ミオシンの生化学研究の草分けはハンガリー人、アルバート・セントジョ
ルジ (1893-1986) である。1937年にビタミンCの発見に関して、ノーベル賞を受
賞後、筋肉収縮の研究を始め、ミオシンATPaseがアクチンによって活性化
されることを発見し、1954年にラスカー賞をもらった。同年、スライディング説
を提唱したヒュー・ハックスレー卿は英国ケンブリッジ大学教授で、その弟子で
あるジム・スプーディッチがラスカー賞をもらうのを見届けて間もなく(2013年7月
) 89才で他界した。

 蛇足になるかもしれないが、血管壁などを形成する平滑筋のミオシンは、その軽鎖
がPAKなどのキナーゼによって燐酸化されないと、アクチン線維と接触しても、
ATPを分解できないから、アクチン線維の上を転がることができない (筋肉が
収縮しない!)。 言いかえれば、平滑筋の収縮 (血圧の上昇) にPAKが深く関
与している。従って、高血圧に悩む人々は、プロポリスなどのPAK遮断機能を
持ったハーブ(健康補助食品) を規則的に飲むことによって、血圧を適度に下げる
ことができる。