人々の “健康促進” のために!

人々の “健康促進” のために!
2015年春、沖縄の琉球大学キャンパス内 (産学共同研究棟) に立ち上げた “PAK研究センター” の発足メンバー(左から4人目が、所長の多和田真吉名誉教授)
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2014年1月27日月曜日

スタン・ワウリンカ (スイス) の快挙:
2014年の全豪オープン・テニスで初優勝!

スタニスラス・ワウリンカStanislas Wawrinka, 1985年3月28日 - )は、スイスローザンヌ出身。
2008年
北京五輪男子ダブルスで、ロジャー・フェデラーと組んで金メダルを獲得。
これまでにATPツアーでは、2014年全豪オープンの男子シングルスでの優勝を含め、シングルス6勝、ダブルス2勝を挙げている。
自己最高ランキングはシングルス3位、ダブルス90位。身長183cm、体重79kg。
右利き、バックハンド・ストロークは片手打ち。"バブリンカ" の異名を持つ。
 2014年全豪オープンでは、第8シードで勝ち上がり、準々決勝で第2シードのノバク・ジョコビッチと再び対戦。
2-6, 6-4, 6-2, 3-6, 9-7の激闘を制して準決勝に進出。

準決勝で第7シードのトマーシュ・ベルディハを6-3, 6-7, 7-6, 7-6で破り、グランドスラム初の決勝進出を果たす。
決勝では、(準決勝で同じスイスの第6シードロジャー・フェデラーを破った) 第1シードのラファエル・ナダルと対戦。
序盤から攻撃的なテニスを展開し、6-3, 6-2, 3-6, 6-3でナダルを破り、グランドスラム初優勝を果たした。


なお、全豪オープン女子シングルスでは、中国湖北省武漢 出身の李娜 (31) が初優勝を遂げる。 東洋人で, いわゆる「グランドスラム」(2011全仏および2014全豪オープン)で 優勝を果たしたのは、彼女が史上初めてである。

2014年1月25日土曜日

若白髪 (白眉) は長生きする!


一般に年をとるにつれ白髪が増える。 この白髪化はなぜ起こるのだろうか? センチュウの研究から知られていることは、PAK遺伝子の発現は生れた (卵のふ化) 直後 は非常に高いが、日が経つにつれ減少していく。 従って、PAKがメラニンの合成に必須であることを考慮すると、(人類の) 白髪化はPAK遺伝子の発現が減少することを反映していると考えるのが妥当であろう。

さて、我々によるセンチュウの研究から、PAK遺伝子が欠損すると長生きすることがわかっている。マウスでも類似な結果が出ている。 いいかえれば、「若白髪は長生きの兆候」であるといえよう。なぜなら、若くして、既にPAK遺伝子(難病の元凶)の発現が殆んど止まっているからだ。

卑近な一例を挙げよう。私自身の母は50才以前に総白髪になっていた。午年生まれの母は、来たる2月に96才を迎えるが今まで病気一つせず、実に健康な「白馬」(白眉)だった。 白眉(はくび)の由来 …(三国誌)蜀志・馬良伝

一説には、白髪化の原因やメカニズムが解明できれば、「ノーベル医学賞」ものだそうである。 (「健康長寿」へ大いに寄与する) PAK研究の草分けにもそろそろチャンスがやって来たようである。。。
  

2014年1月21日火曜日

冬虫夏草から生まれた 「フィンゴリモド」(化学名: FTY720) :
MS特効薬だが、抗癌、抗炎症、美白作用なども示すPAK遮断剤!

スイスの製薬会社「ノバーティス」からつい最近 (欧米で)「MS」治療薬として市販された経口薬「フィンゴリモド」(化学名: FTY720) はスフィンゴ脂質の誘導体であるが、どうやらPAK遮断剤のようである。なぜかと言えば、(プロポリス由来のCAPEなどと同様) 、 チロシナーゼ遺伝子の発現を抑制することによって、メラニン色素の合成を抑え、美白効果を発揮することが、2011年に韓国ソウルの研究グループによって発見されているからである (1) 。
この新薬は元々、1996年に藤多哲朗教授 (京大)* を中心とする産学共同研究グループによって、臓器 移植用に開発 ( "冬虫夏草" 由来の抗生物質から半合成)された免役抑制剤である (2)。
*http://sangakukan.jp/journal/journal_contents/2010/06/articles/1006-04-4/1006-04-4_article.html

従って、この新薬は将来、自己免疫病の一種であるMS (多発性硬化症) ばかりではなく、癌やその他多くのPAK依存性難病  (例えば、NFや認知症) の治療薬として活躍する可能性がある。 ただし、毎日の薬価が目下、一錠 (0。5 mg) が8千円以上!  更に、FTY720は免疫抑制剤なので、抗癌剤として使用する場合は、患者の免疫機能を低下させる副作用を伴う。 そこで、オハイオ州立大学 (OSU) の癌研究グループが2、3年前に免疫抑制作用のないFTY720誘導体「OSUー2S」を開発した。 この誘導体の抗癌作用はFTY720よりも強い !

参考文献: 1。 Lee JE, Kim SY, Jeong YM, Yun HY, et al. The regulatory mechanism of melanogenesis by FTY720, a sphingolipid analogue. Exp Dermatol. 2011 ; 20、237-41.
2。 Chiba K, Hoshino Y, Suzuki C, Masubuchi Y, et al. FTY720, a novel immunosuppressant possessing unique mechanisms. I. Prolongation of skin allograft survival and synergistic effect in combination with cyclosporine in rats. Transplant Proc. 1996, 28: 1056-9.

2014年1月11日土曜日

ツボクサ由来の美肌成分「マデカッソシド」もPAK遮断剤!

チロシナーゼというのは、チロシンというアミノ酸を酸化してメラニン色素にする酵素であるが、その酵素の発現にPAKが必須であることが最近判明した。 「黒」マウスからPAK遺伝子を除くと「白」マウスが誕生するからである。 従って、プロポリスなどに含まれているCAPE などでPAKを遮断すると、肌は美白に、髪は (メラニン色素の量に応じて)  好みの色に変化しうるわけである。(化粧品会社をスポンサーにして) テレビでこんな面白い話をすれば、特に女性の聴取者がきっと喜ぶに違いない。。。

さて、最近問題視されている化粧品会社(カネボウ)の美白成分「ロドデノール」(白樺の樹皮由来) はチロシン誘導体の一種であり、チロシナーゼに直接結合して、そのメラニン合成機能を阻害する。従って、ロドデノールはPAKを遮断するわけではないので、癌などの難病治療や健康長寿には役立ちそうもない。

PAKの生理的役割に関する我々の視野が広くなったついでに、美白効果のあるハーブ類から、PAK遮断剤を新しく発掘する試みをしてみた。こういう作業 (頭の体操) はリタイアした高齢者にとって、脳の老化を予防する (遅らせる) のに有効であるからだ。 予想通りいくつか見つかったが、その中で今までこのブログで一度も触れたことのない物質を一つ、ここで紹介しよう。

「マデカッソシド」(MA)と呼ばれるトリテルペンの配糖体である。  「ツボクサ」(漢方では「雪公根」と呼ぶ)というマダカスカル原産のセリ科の薬草の葉(タイでは食用野菜、ミツバに似た味)に多く含れており、従来、抗癌、抗炎症、傷口の修復、記憶力の増進などの薬効があることが知られていた。これら一連の薬理作用は、既知のPAK遮断剤の典型的な「指紋」に相当するもので、この配糖体が、PAKを遮断することを強く示唆している。

さて、昨年末になって、韓国の研究グループより、この配糖体が、紫外線照射によって起こる炎症に伴うメラニン合成を抑えることがモルモットを使った実験で明らかにされた。 次にMAが分子レベルで一体何をしているかを文献上で調べてみた。2012年に南京の中国薬科大学の研究グループによって、MAが発癌性のPI3KーPAKーLIMKシグナル伝達経路を抑えていることが実証された。つまり、MAも結局「PAK遮断剤」なのである。 驚くなかれ、中国産の「美肌クリーム」には、MAを配合したものが少なくない。 ひょっとすると中国美人の秘密の一つはMAかも知れない! 

2014年1月8日水曜日

PAKを遮断するハーブの美白効果: 有色人種から白人へ変身しうる?

先日(大晦日の午後)、昔の研究相棒 (賀 紅さん) の新居を "引越し祝い" を兼ねて訪問した際、
中国の習慣に習って, 「年越し」ソバならぬ "ゆで餃子" を夕食にご馳走になりながら、
偶然見つかった 「世にも不思議な」 現象について、彼女から披露をうけた。 実は 化粧品会社や若い女性が飛びつきそうなビッグ・ニュースだった。

野生の黒マウスには一対のPAK遺伝子が存在する。  その遺伝子の一つだけを欠損させる (heterozygous) と、マウスの体毛は未だ黒い。 ところが、2つ目の遺伝子も 除く (homozygous) と、体毛が真っ白になる!   つまり、PAKはメラニン色素の合成に必須であることが判明した。
ところで、野生の白マウスや白ウサギの体毛が真っ白 (目は真っ赤!) なのは通常、一対のチロシナーゼ遺伝子が欠損しているからである。 
チロシナーゼはアミノ酸「チロシン」を酸化して、LーDopaに変換し、更にメラニンに変換する過程に必須な酵素である。 
従って、PAKがチロシナーゼ遺伝子の発現に必須である可能性が浮上してきた。。。
プロポリスに含まれるCAPEはPAK遮断剤だが、これがしばしば女性用の化粧クリームの中に (抗生物質として)  配合されている。 CAPEが老化現象を抑えることは既知の事実である。 従って、CAPEによって、お肌を若返えらすばかりではなく、美白効果 (しみ抜き、メラニン色素産生を抑える作用) も期待して良いのかもしれない。。。

というわけで、早速「メラニン色素とPAKとの関係」を検討した文献があるかどうかを調査してみた。 数例ほどあった!

昨年の夏に、韓国プサン大学の研究グループによれば、PAK遮断剤「CAPE」やクルクミンが
メラニン色素の産生 (転写蛋白「MITF」を介するチロシナーゼの発現) を抑制することが既に証明されていた (1)。

従って、PAKを遮断する種々のハーブにより、有色人が白人に豹変しうる可能性が出てきた!
PAKを100%抑えれば "白髪" になるだろうが、例えば90%遮断ならば「金髪のジェニー」 、
70% 遮断ならば「赤毛のアン」になるかも知れない。。。 その辺の「サジ加減」が微妙そうである!
 この意外な発見をネタに、「都知事になった赤毛のアン!」のごとき小説が出版される日がやってくるのはそう遠くないかもしれない。。。
豪州で初めて首相になったジュリア・ギラードも「赤毛のアン」だった。

ともあれ、少なくとも肌のしみやそばかすなど (あるいはNF1患者のカフェオレ斑) をこれらのハーブ入りのクリーム (あるいはプロポリス) で消すことは期待できよう。

参考文献:  

1. Lee JY, Choi HJ, Chung TW, Kim CH, Jeong HS, Ha KT.
Caffeic acid phenethyl ester (CAPE)  inhibits alpha-melanocyte stimulating hormone-induced
"melanin synthesis" through suppressing transactivation activity of microphthalmia-associated
transcription factor (MITF).  J Nat Prod. 2013 ; 76:1399-405.

2014年1月1日水曜日

健康長寿への方程式:
PAK遮断=AMPK活性化=HSP (熱ショック蛋白) 誘導

発癌/老化シグナル伝達経路は川の流れのようなものである。 (重力に沿って) 上流 (RAS) から下流 (PAK) へと水かさを増しながら流れ続け、海や湖に注ぎ込まれるが、実は循環している回路のようなものである。 海や湖の水は太陽熱によって、蒸発し天空の雲になり、雨や雪となって、再び地上に降り注ぎ、川の上流に戻って、下流へ循環を繰り返す。 従って、厳密に言えば、どのシグナル伝達分子が上流にあるのか下流あるのか言い難たい。ニワトリが先か卵が先か、わからないのと同じである。 難病や老化など生命現象は全て、言わば「繰り返しの連続」である。  一つだけ確かなことは、この悪循環経路/回路のどこかを (ダムの役目をする) 「薬」で遮断すると、発癌や老化へのシグナル伝達 (流れ) を少なくとも一時的に止めうるということだ。

 PAKを遮断するハーブ由来の薬剤(例えば、プロポリス由来のCAPEやARCやアピゲニン、海洋性カロチノイド「AX」など) は、ほとんど例外なく「AMPK」と呼ばれる抗癌キナーゼを同時に活性化する機能を持つ。「AMPK」とは、絶食や激しい運動などの結果、細胞内のグルコース濃度、それから合成されるATPの濃度が低くなると、抗癌キナーゼ「LKB1」によって直接りん酸化されて、活性化されるAMP依存性のキナーゼである。 最近になって、「LKB1」がPAKを直接りん酸化して、その活性を抑制することが発見された。言いかえれば、絶食や激しい運動などにより細胞内のATPレベルが下がると、PAKが遮断されると同時に「AMPK」が活性化されるのだ。こうして、PAK遮断剤=AMPK活性化剤という等式が確立した。

 興味深いことには、ごく最近、もう一つの等式も同時に確立していることが判明した。PAK遮断=HSP (熱ショック蛋白) 誘導という等式である。  どういうことかと言うと、(健康長寿に必須な) HSP遺伝子の発現がPAKによって抑制されているということである。
例えばプロポリス中のCAPEなどで、センチュウ、ショウジョウバエ、マウスなどの小動物のPAKを遮断すると、HSPが大量生産され、寿命が50%近く伸びることが、我々や他の研究者の手により見事に最近実証された。言いかえれば、PAK遮断=AMPK活性化=HSP誘導という極めて興味深い等式が成り立っていることになる。