人々の “健康促進” のために!

人々の “健康促進” のために!
2015年春、沖縄の琉球大学キャンパス内 (産学共同研究棟) に立ち上げた “PAK研究センター” の発足メンバー(左から4人目が、所長の多和田真吉名誉教授)
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2008年5月31日土曜日

難病から立直るために: どんな食事をしたら良いか?

世の中には、癌や糖尿病、エイズや自閉症など様々な難病に苦しんでいる人々が沢山いる。これらの病気が「難病」と呼ばれている由縁は主に、これらの病気に良く効く薬がまだ市販されていないことにある。私は薬学出身であり、医者ではないが、海外で30年以上、癌に関する基礎研究に従事し、10年ほど前から癌に効く新しい薬を開発すべき研究を本格的に始めた。これら制癌剤の開発研究を進める内にわかったことは、動物実験である合成新薬が癌に有効であることを発見しても、それが最終的に米国のFDAや日本の厚生省などから使用許可を受け、市販されるまでには、10年近くもかかる3段階にわたる臨床試験(治験) を全て完了する必要があるという厳しい現実だった。全く気の長い話で、診断で癌が発見されてから死亡するまで、通常数か月しかかからないスイ臓癌やグリオーマなどの悪性脳腫瘍を現在患っている(いわゆる「瀕死」に近い)患者たちには、我々が目下開発しつつある癌の特効薬などどれも、全くお役に立たないことになる。。。

そこで、2、3年ほど前から、既に市販されている医薬品や健康食品サプル、あるいは青物市場や近所の八百屋の店先に毎日出回っている野菜や果物類の中から、癌に効く物を捜し出す(発掘する)努力(研究)を始める決心をした。しかしながら、この種の研究は、どこの癌研究所でも余り歓迎されない。その主な理由は、発見が特許や政府からの科研費(グラント)獲得に全く結び付かないからだ。いいかえれば、研究所に将来お金をもたらすような、いわゆる「金の卵」にならないのだ。いわゆる「象牙の塔」では、患者の側に立つ「ヒューマニズム」は歓迎されない。そこで、私は18年間、制癌剤開発部長をずっと務めていたメルボルンの国際的癌研究所を63歳でとうとう退職して、ボランチア(客員教授)として、欧米の2、3の臨床専門の研究所に滞在しながら、(市販されている)天然物の中から新しい制癌剤を開発する研究を開始した。特に、特効薬が全く皆無のNF(神経線維腫症)という稀少難病に伴う各種の腫瘍に効くべき天然産物に、その研究を集中させた。

これら天然物研究の過程から意外なことがわかってきた。先ず(前述した)発癌性の酵素「PAK」を遮断する(あるいは抗癌性の酵素「AMPK」を活性化する) ことによって癌の7割以上やNF腫瘍の増殖を抑える作用を持つ物質が市販されている健康食品サプルであるプロポリス類、インドカレー粉(「クルクミン」が主成分)、オレンジ、赤、青、紫色の果物(例えば、ブドウ、ブルーベリー、温州みかんなど)や野菜(例えば、ブロッコリー、チリ胡椒、四川省産の花椒、沖縄産の苦瓜「ゴーヤ」など)に豊富に含まれているという事実である。更に、これらの天然物の薬効を詳しく調べてみると、これらの食材には腫瘍の抑制ばかりではなく、他の多くの難病 (例えば、エイズ、糖尿病、肥満症、喘息、リューマチ、アルツハイマー病、癲癇、自閉症など) の治療や予防にも、同様なメカニズムで有効であることが判明した。

更に驚くなかれ、マウスなどを使った動物実験や「エレガンス」と呼ばれる微細な線虫を使った基礎実験により、「PAK」遮断あるいは「AMPK」活性化作用を持つ天然物には、我々の体内にもある「FOXO」と呼ばれる抗癌性の「長寿蛋白」を活性化することによって、これらの実験動物の寿命を著しく延ばす「養命」機能があることも、ごく最近になって、欧米の研究者たちによって確認された。従って、癌を含めてこれらの難病から早期回復、あるいはこれらの難病を積極的に予防するために、以上あげた食材を日常努めて摂取すれば、病気にかかりにくくなるばかりではなく、ずっと長生きできるはずである。

「養命酒」に限らず多くの赤ワインには、赤ブドウの果皮由来の「レスベラトロル」(R3)と呼ばれるポリフェノールが豊富に含まれている。このR3は、例の「FOXO」を活性化することによって、癌の増殖を直接抑えるばかりではなく、マウスなどの実験動物の寿命を延ばし、更に糖尿病や肥満症を抑える作用もあることが最近わかり、欧米でにわかに注目され始めている。養命にとって大事なことがもう一つある。「カロリーをとり過ぎない」ことだ。昔からいわれている「腹七分目」そのものが、これらの「長寿食材」と同様、長生き(養命)に通ずることもわかっている。

馬鹿の「大食い」は命を縮める!
http://www.koumatsuba.zansu.com/hara7bu/00hara7bu.htm

私の本職は制癌 (PAK遮断) 剤の開発で、線虫を使った「養命」に関する研究では、まだ「駈け出し」なので、私の大学時代の先輩で、老化研究の世界的権威である後藤先生の「健康長寿」欄 (下記) をここで紹介したい。浅学ながら、コイが長生きするという話は初耳だが、鎌倉に住むM先生は私の恩師でもあり、(40年近く昔の) 我々の大学院生活を懐かしく思い出した。
http://www.mnc.toho-u.ac.jp/v-lab/aging/index.html

続く

2008年5月30日金曜日

「PAK遮断剤」による(癌などの) 難病治療への展望

発癌のメカニズムが分子レベルでわかり始めたのは、今から30年ほど昔、SRCという発癌遺伝子がある発癌ウイルス中に発見されて以来のことである。SRC遺伝子の産物 (蛋白) は、酵素の一種 (キナーゼ) であり、蛋白のチロシン残基を燐酸化する機能を持つ。しかしながら、通常SRCのみではなかなか発癌しにくい。やがて、第2の発癌遺伝子が別の発癌ウイルス中に発見された。RASという遺伝子である。その産物RAS蛋白は、キナーゼではなく、一種のGTPase (あるいは「G蛋白」) である。この蛋白はGTPに結合している場合にだけ活性である。SRCとRASを組み合わせると、発癌しやすくなる。やがて、この2種の発癌蛋白に共通な標的蛋白が発見された。RAFという発癌キナーゼである。このキナーゼは通常、細胞質に存在するがRASに結合すると、細胞膜に移行する。そこで、SRCによって燐酸化される。しかしながら、それだけでは、正常なRAFは活性化されない。第3の蛋白が必要であることがわかった。その蛋白はPAKと呼ばれるキナーゼである。RASは細胞内でPAKを活性化する機能を持つ。さて、PAKがRAF分子のセリン338を燐酸化すると初めて、RAFが発癌性を発揮する。従って、PAKあるいはRAFを特異的に阻害する薬剤は、種々の癌に有効であることが予想される。こうして、今世紀に入って、2、3のRAF阻害剤あるいは数種のPAK遮断剤が開発されつつある。

RAF阻害剤についてはまだ市販されているものはないが、PAK遮断剤については、2、3の天然産物が健康食品サプルメントとして既に市販されている。蜜蜂が木の若芽や樹脂から作り上げるプロポリス(蜜蝋)のエキスである。もともとプロポリスは蜂の巣箱に住む幼虫を外界の病原体(細菌やウイルス)から守るために、蜜蜂によって考案された一種の抗生物質である。従って、感染予防に有効であることが、古代エジプト時代から知られていた。伝染病や炎症の治療ばかりではなく、ミイラの保存にも広く使われた。この伝承薬は、古代ギリシャ・ローマ時代を経て、ヨーロッパの中世時代まで一般に使用されていたが、15世紀に始まるルネッサンス時代に近代医学が芽生え始めると共に、次第に廃れていった。さて、プロポリスが治療薬として再発見されたのは、1970年代になってからである。ドイツの生化学者たちによって、その抗感染作用が再認識されるようになった。さらに1980年代後半になって、東欧や米国の癌学者によって、その抗癌作用が発見された。以来我が日本でも、プロポリスの研究が進められ、今や世界最大の「プロポリス消費国(市場)」となった。

主に3種類のプロポリスが抗癌剤として、注目されている。その一つは、(ポプラの木が茂る) 欧州、極東、オセアニアで産出されるCAPEという抗癌性ポリフェノールを含むプロポリスである。最近、CAPEがPAKを遮断することが明らかにされた。ニュージーランド(NZ)産のプロポリスには、CAPEが最も多く含まれていることが知られている。我々は最近、NZ産のプロポリスの水溶性エキス(BIO 30)が、難病 NF(神経線維腫症)、乳癌、すいぞう癌などに効くことを、マウスを使った動物実験で確認している。

http://homepage2.nifty.com/daikon_tom/nfj/NFJ_200809.htm

もう1つはブラジル産のグリーン・プロポリスである。このプロポリスには、抗癌物質としてCAPEの代わりに、ARC (Artepillin C)というポリフェノールが主成分として含まれている。ARC もPAKを特異的に遮断し、NF腫瘍やメラノーマなどの癌の増殖を抑えることを、我々は最近確認している。第3のプロポリスは、ブラジル産の赤プロポリスである。このプロポリスでは、CAPEやARC の代わりに、全く別の抗癌物質が含まれていることが、最近わかった。面白いことに、赤プロポリス・エキスも培養系で(PAK依存性の)すいぞう癌細胞の増殖を阻害するので、恐らくPAKを遮断していることが予想されている。

さて、癌の大半(7割以上)がその増殖にPAKを必須とすることが、最近になって明らかになった。乳癌や前立腺癌ばかりではなく、大腸癌、すいぞう癌、子宮癌、メラノーマ、MM(多発性骨髄腫)、NF腫瘍などもPAK依存性の腫瘍である。 それ以外に数種の他の難病の進行にもPAKが必須であることがわかっている。エイズ、メタボ(肥満症)、アルツハイマー病、リューマチ、喘息、癲癇、自閉症などが、その典型的な例である。従って、これらの難病は原理的には、PAKを遮断する各種のプロポリスで治療が可能なはずである。

続く

2008年5月25日日曜日

A Wisdom for Improving Our QOL: Activating the Anti-cancer/Anti-aging gene FOXO

Since I retired from an international cancer research institute in Melbourne a few years ago, I have learned a lot of things which could help us improve our own quality of life (QOL), not just curing cancers. Among them the most worth to note is the wisdom from honey bees and a tiny nematode called C. elegans, which we gained during my voluntary work in Hamburg, Baltimore and Melbourne.

The very essence is to activate a ubiquitous (universal) specific gene called "FOXO" encoding a unique transcription factor that controls our QOL, by safe natural products such as propolis from beehives and a polyphenol called trans-resveratrol (R3) from red grapes. This is the common basis to both "apitherapy" and "grape cure" of a variety of formidable diseases or disorders such as cancers, NF (neuro-fibromatosis), obesity, arthritis, asthma, AIDS, Alzheimer's (AD), Huntington's (HD) and a part of autism, which would significantly shorten our life span without any proper treatment.

The first FOXO gene was discovered in a chromosomal locus mutated in cancer patients, and its dysfunction was later found to cause cancers. Thus, it is a tumor suppressor gene. However, it turned out that FOXO controls not only the growth of cells, but also a variety of other cellular functions. Perhaps among its most interesting physiological roles is its positive contribution to our longevity. In 1981, the FOXO gene was discovered in a tiny transparent nematode called C. elegans as a "dauer" (endurance) gene called Daf-16, and in 1993 the FOXO/Daf-16 is found by Cynthia Kenyon and her colleagues to be essential for the longevity of this worm. Since then, the FOXO joined a so-called "anti-aging" (longevity) gene family.

Cynthia wants to live to be 150 years old, if she's young and engaged in life, and to realize such a dream, she actually founded with a few friends of hers in Boston a new drug company called "Elixir "(meaning fountain of youth) in Cambridge/Boston, developing a series of anti-aging drugs.
http://www.sfgate.com/cgi-bin/article.cgi?file=/chronicle/archive/2005/05/29/CMGD8CH62P1.DTL

The next burning questions were: i) How does this gene control both cell growth and longevity (Which genes are the targets of this transcription factor) ? and 2) Which proteins control the FOXO protein, and how?

The FOXO signaling pathways
A gene called Hsp16 encoding a heat-shock protein of 16 kDa was among the first identified targets of FOXO. Both FOXO and Hsp16 are required for the longevity in nematode, and for suppressing tumor growth in mammals. Another target of FOXO is p27 gene encoding a CDK inhibitor of 27 kDa which is responsible for arresting the cell cycle at G1 phase to block the DNA replication in mammals. Monitoring the expression of these FOXO target genes, scientists discovered at least three different signaling pathways which control the function of FOXO proteins.

The first pathway involves RAS, insulin receptor (IR, Tyr-kinase), and the kinase AKT. AKT phosphorylates FOXO and inactivates this transcription factor by translocating from nucleus to cytoplasm. Thus, RAS or insulin stimulates tumor growth and shortens our life span through the AKT-FOXO interaction.

Another pathway involves two kinases, LKB-1 and AMP-activated kinase (AMPK). LKB-1 activates AMPK and in turn AMPK activates FOXO. Both LKB-1 and AMPK are activated when calorie restriction (CR) takes place and intracellular glucose level drops significantly (by 30% or more). In other words, CR would slow-down cancer growth and prolong our life span.

A third pathway involves an NAD-dependent histone deacetylase (HDAC) called SIRT which activates the inactive (acetylated) FOXO. During last several years David Sinclairs' group at Harvard Medical School demonstrated that the life span of both yeasts and mammals can be prolonged upon the activation of SIRT by a few compounds, and recently founded a new drug company called "Sirtris" in Boston area, to develop a set of new drugs that prolong our life span or improve our QOL by overcoming metabolic disorders such as diabetes and obesity. Why?

Natural products that activate FOXO
In 1916, shortly after her mother died of cancer, Johanna Brandt (born in 1876 ) in South Africa realized that she also got a stomach cancer. Since then she started trying to cure her own cancer, first by fast alone, following the "Fast Cure" (1911) by Upton Sinclair, which did not work well on her cancer, and then in combination of fast and red grapes which eventually caused the complete regression of cancer of her own and several others' over 9 years. A few years thereafter Johanna moved to the United States, and opened a local clinic called "Harmony Clinic", and in 1928 she published a small book "The Grape Cure", describing how to conquer cancer naturally. Since then many scientists tried to find what in red grapes could cure cancers...

In 1997, almost seven decades later, the very secret of "Grape Cure" was finally unveiled at molecular level. John Pezzuto 's group in Chicago found that the major anti-cancer ingredient in red grape skin (or red wines) is a polyphenol called "resveratrol" (trans R3).

http://en.wikipedia.org/wiki/Resveratrol

How could trans R3 cure cancers? First of all, in stomach it is converted by hydroxylation to "Piceatanol" (trans R4) which directly inhibits a Tyr-kinase called SYK. SYK is required for the activation of an oncogenic kinase called PI-3 kinase that eventually activates the kinases AKT and PAK1. Because AKT inactivates the tumor suppressor FOXO, trans R3 or R4 could activates FOXO. Later it was also found that trans R3/R4 up-regulates another tumor suppressor called "PTEN", an antagonist of PI-3 kinase, and eventually inactivates both AKT and PAK1.

More recently, David Sinclair's group and others discovered that trans R3/R4 activates two enzymes. One is SIRT, and the other LKB-1. Since both enzymes eventually activates FOXO, trans R3/R4 could activates this tumor suppressor through the above three or four pathways. In addition, our recent study on nematode has revealed that like AKT, PAK1 is also responsible for the inactivation of FOXO. Thus, R3/R4-rich red grapes or propolis such as "Bio 30" (CAPE-based NZ propolis extract) and ARC-based Brazilian green propolis extract (GPE), that activate FOXO, by either blocking the oncogenic/aging PAK1 pathways or activating SIRT and LKB-1, would be potentially useful not only for the treatment of cancers, but also many other diseases or disorders leading to the shortening of our life.

Besides, CR (calorie restriction) or fast activates the anti-aging FOXO by activating both AMPK and SIRT. Thus, it wouldn't be a big surprise for us to learn that since the publication of her 1928 book, Johanna Brandt continued enjoying a very healthy life over four decades (although she did not manage to break the world record of human longevity, 122 years by a French lady, 1875-1997!) with CR and red grapes or red wines.

Diabetes (type 2)
There are two types of diabetes. Type 1 is caused by insulin-deficiency, whereas type 2 is caused by several other disorders such as dysfunction of either IR (insulin receptor) or its down-stream targets such as PI-3 kinase, the glucose transporter GLUT-4 or AMPK. In all cases, the GLUT-4 that transports glucose from blood stream into cells fails to work efficiently. As a consequence, sugar (glucose) level in blood stream goes up abnormally. For normally both PI-3 kinase and AMPK activate GLUT-4 to stimulate the glucose transport.

Interestingly, trans R3/R4 or CR alone turned out to be useful for the treatment of diabetes (type 2), because each eventually activates the GLUT-4 by activating AMPK. In addition, bitter melon from China or Okinawa (a southern island of Japan) was recently found to activate AMPK, thereby activating both GLUT-4 and FOXO. Furthermore, 25 years ago, Dolores Takemoto's group at Kansas State University showed that an extract of this melon blocks the chemical-induction of cancers (lymphomas) in mice. Although its anti-cancer ingredients still remain to be identified, it is likely that the activation of AMPK-FOXO signal pathway might be responsible for its anti-cancer effect at least in part, in addition to its immune boosting activity. People there cook routinely this unique melon for their everyday meals. This might explain why the mean life span of Okinawa people is the longest in the world so far.

Obesity
High-Calorie Diet (HCD) causes the obesity (excess fat accumulation) and shortens our life span. Opposite to CR (calorie restriction), HCD inactivates both SIRT and AMPK, and eventually leads to the inactivation of both GLUT-4 and FOXO. Consequently, HCD (obese) mice suffer from diabetic symptom (due to a poor insulin sensitivity), would be more susceptible to cancers, and can survive significantly shorter time period. Interestingly, however, in 2006 David Sinclair's group at Harvard and "SIRTRIS" found that trans R3 can reverse the HCD effect on mice by activating both SIRT and AMPK, and increase their insulin sensitivity, lower the blood sugar level, and reduce the fat accumulation. Since the bioavailability of trans R3 is rather poor, this company is currently developing a much more potent derivative of trans R3 called "SIRT1720" to conduct its clinical trials for diabetes (type 2) and perhaps obesity as well.

http://www.medpagetoday.com/PrimaryCare/DietNutrition/tb/7527

Capsiate for a gold medal at Beijing Olympic
In 1989 a Japanese group led by Susumu Yazawa at Kyoto University selected a unique non-pungent cultivar from a pungent pepper called CH-19 from Thailand. This sweet cultivar called "CH-19 Sweet" contains a capsaicin derivative called capsiate. In capsiate, the amide bond of capsaicin is replaced by an ester bond. Like capsaicin, capsiate also serves as an anti-cancer ingredient. Furthermore, capsiate was recently found to boost the endurance swimming capacity of mice by stimulating their lipid metabolism (a great news for long-distance swimmers or marathoners to win the Beijing Olympic races!).

Actually in Japan capsiate has been widely used to lose the body weight or an extra fat by stimulating the resting lipid metabolism (oxidation). Thus, capsiate appears to be potentially useful not only for cancer therapy but also for preventing the obesity.

http://www.ajinomoto.com/about/press/g2007_07_12.html

To be continued

2008年5月22日木曜日

Save Ted Kennedy from Deadly Brain Tumor (Glioma)!

The US Senator Ted Kennedy (76) was recently found to suffer from a deadly (malignant) brain tumor called glioma. The mean survival time of glioma patients is only 6 months. In other words
Ted might be able to see the outcome of November election where Barack Obama is expected to win the US presidential race against John McCain, if Ted is lucky. So far no effective (FDA-approved) therapeutics for glioma is available in the market. Thus, it is likely that MGH doctors in charge of Ted's glioma treatment would try a combination of radiotherapy and conventional chemotherapeutics such as cysplatin and 5-FU (so-called DNA poisons). The major cause of death of glioma or melanoma patients is not the growth of their tumors per se, but their metastasis/invasion to other sites within their body. Thus, it would be very difficult to save the life of glioma patients by DNA poisons or radiotherapy alone which kill the tumor cells, but cannot block their metastasis.

However, recently Seiji Kondo's and Rakesh Kumar's groups at MD Anderson Cancer Center in Houston jointly found that metastasis of glioma or short survival time of glioma patients depends on an oncogenic kinase (an enzyme) called PAK1. The higher this kinase activity, the shorter the survival time of glioma patients. In culture of glioma cells, inhibition of this kinase results mainly in the suppression of cell invasion (associated with metastasis). In other words, anti-PAK1 drugs would be potentially useful for the treatment of Ted's glioma. Our own group in Melbourne, Rakesh's group and a few others recently established that PAK1 is required for the growth of more than 70% of human (solid) cancers including breast and prostate cancers, pancreatic cancer and melanoma, MM (multiple myeloma) and NF (neurofibromatosis) tumors. Thus, we have developed or identified a series of anti-PAK1 drugs from synthetic chemicals or natural products.

These anti-PAK1 drugs block not only the growth of these PAK1-dependent cancer cells, but also their metastasis and angiogenesis (blood vessel formation around solid tumors), all of which require PAK1.

Among these natural anti-PAK1 products, an antibiotics called FK228 is the most potent (IC50 is around 5 pM), and our group and others confirmed that FK228 can suppress the growth of NF tumors, pancreatic, breast and prostate cancers in mice, and it is now in clinical trials (phase 2) for CTCL (cutaneous T-cell lymphoma). Among the natural anti-PAK1 products available in the market, two propolis (bee wax) extracts are so far the most effective in suppressing the growth of NF tumor, pancreatic, breast and colon cancers in mice. One is Bio 30, a CAPE-based water-miscible extract of NZ (New Zealand) propolis. CAPE is caffeic acid phenethyl ester, the major anti-cancer ingredient in propolis from Europe, Far East and Oceania, and NZ propolis has the highest CAPE content. The other is GPE, an ARC (artepillin C)-based green propolis extract from Brazil. Like CAPE, ARC also selectively blocks the oncogenic PAK1 signaling.

http://homepage2.nifty.com/daikon_tom/nfj/nfj_2007_06.htm

Thus, in principle, both Bio 30 and GPE would be among the alternative therapeutics for glioma, although nobody has ever tested their therapeutic efficacy on human glioma in vivo, in either mouse models or clinically. These propolis extracts not only block selectively the cancer cell division, metastasis and angiogenesis, but also boost the immune system which is badly damaged by radiotherapy or conventional chemotherapy. For these reasons, personally I would recommend Ted or any other glioma patients to try Bio 30 or GPE, if the combination of radiotherapy and conventional chemotherapy fails to improve their quality of life effectively.

Congratulations on the successful surgery of Ted's glioma at Duke!
http://edition.cnn.com/2008/POLITICS/06/02/kennedy.surgery/index.html


Signal Therapy of Glioma

More recently Qin Yu's group at Mount Sinai Medical School demonstrated that Merlin, a PAK1 inhibitor (NF2 gene product), can suppress the growth of glioma in mice. Thus, we have a great hope that propolis such as Bio 30 and GPE can be used for the therapy of glioma.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18632626?ordinalpos=3&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_RVDocSum

Meanwhile we recently confirmed that Bio 30 indeed blocks the growth of human glioma cells in vitro (cell culture) very effectively as NF tumor cells, and we now began to test its therapeutic effect on fast-growing human glioma xenograft in mice.

2008年5月16日金曜日

童話「ビルマの竪琴」と著者「竹山道雄」

戦後、米軍による占領下に、小学生の私が最初に観た映画は天然色映画「子鹿物語」だった。若いグレゴリー・ペックが主演で父親役を演じていたという記憶がある。アメリカの開拓時代に、狩りで親を失った子鹿「バンビ」と少年との感動的な友情物語だった。

次に観た作品が白黒映画「ビルマの竪琴」だった。夏休み中(多分、敗戦記念日か「お盆」の頃)、小学校か中学校の校庭で日没後、校庭に張り巡らした白い幕を前に座って皆んで観た記憶がある。敗戦直前のビルマ戦地で、水島上等兵が死んでいった戦友たちの霊を弔うために、僧侶になり竪琴で「埴生の宿」を奏でながら、ビルマの村々を放浪する姿が、もの悲しいメロディーと共に、印象に残った。もっとも詳しい筋は余り憶えていない。

私の母の長兄が東大法学部の学生時代に、学徒出陣で、フィリピンのルソン島へ出征命令を受け、不幸にして間もなくマラリアに感染して、戦わずして戦地で淋しく病死していったことを、母から既に聞いていたので、涙が自ずから頬をつたったのを憶えている。

それからずっと後(ほとんど半世紀後)になって、この映画の原作が、子供向けの童話で、作者がドイツ文学者(東大独文卒)の竹山道雄(1903ー1984)であったことを初めて知って、私は大変驚いた。実は、私の亡父 (1906ー1989)は京大独文出身で、同世代のリベラルな社会主義者だったが、竹山氏について、生前一度もふれたことがなかったからだ(少なくとも、私の記憶には全く残っていない!)。なぜだろうか?

その「謎」を解くために、竹山氏の戦前の経歴を、まずインターネットを介して少し調べてみた。

銀行員の息子として大阪に生まれ、父の転勤に伴い、少年時代の初期(1907ー1913)を、朝鮮半島の京城(ソウル)で過ごす。「一高」を経て、1926年に東京(帝)大独文卒。ドイツ語講師として母校「一高」に勤務。1928年から文部省に派遣されて欧米(ベルリンとパリ)に3年間留学。1931年に帰国し、「一高」の教授となる。戦後、一高が東大教養学部に改組されてからも教授を続け、童話「ビルマの竪琴」を出版したから3年後(1951年)に退官する(以上、フリー百科事典『ウィキペディア』から抜粋し加筆)。

謎を解く重要な鍵の一つは、「満州事変」という日本軍による中国大陸への侵略が開始した1931年以後、ずっと敗戦までの14年間に渡って、竹山氏が一高でドイツ語の講師をしていたことである。その期間(特に、兵員不足になった戦争末期)、少年兵として、自分の教え子である無数の「一高」卒業生たち(数えで19歳以上)が徴兵され学徒出陣で次々と戦地に送られ「無駄死に」するのを、彼は(理由はともあれ、結果として)黙視していたに違いない。なぜなら、もし仮に、学徒出陣(あるいは「侵略戦争」そのもの)に対して、敢えて反対の意志を表明していたら、彼は直ちに教職を失っていただろうから。。。

戦前/戦中、日本帝国(侵略)主義に抵抗して、職を失ったり、投獄されたりしたいわゆる「良心的なインテリ」の生き残りからは、童話「ビルマの竪琴」に対して、主に次のような批判が目につく。加害者責任を直視していない、戦争を感傷的にとらえ、軍国主義への反省はするが、侵略や戦争犯罪のことは忘れて、日本人の死者への鎮魂だけにとどまっている、つまり「反戦文学」として生ぬるい(中途半端)という批判である。

もちろん、子供向けの童話に「加害者責任を問う」内容を盛り込むのは、それほど容易ではなかろう。
水島上等兵の手紙という形で、以下のように表現されているに過ぎない。

「わが国は戦争をして、敗けて、くるしんでいます。それはむだな欲をだしたからです。思いあがったあまり、人間としてのもっとも大切なものを忘れたからです」

さらに深く掘り下げれば、竹山氏自身は、戦争中に日本政府が犯した戦争犯罪(中国大陸や朝鮮半島や東南アジアへの侵略行為や残虐行為)の深刻さに気づいていなかったようである。だから、中途半端な童話を書き、戦中の(戦地で散った教え子たちに対する)自身の「悔恨」を間接的に表現することに自己満足していたのだろう。何百万の戦没者の遺族には、この原作(童話)や映画は大変好評だったろうが、戦争に反対して自ら体を張って闘い抜いた人々(少数派)からは、余り歓迎されなかったのは、容易に頷ける。もちろん、「ビルマの竪琴」批判は、「少数」意見に過ぎない。もし仮に、これが「多数」意見だったら、あの忌まわしい太平洋戦争など勃発しなかっただろう。

戦後の竹山氏の評論は一貫して、いわゆる「中道的保守路線」で、ソ連や中共の独裁的な社会主義路線に極めて批判的であった。言いかえれば、いわゆる戦後の冷戦中、「反共親米的な戦後の体制を擁護する与党的な立場」を維持した。さらに、彼は1959年(「60年反安保闘争」の前年)に反左翼の雑誌「自由」を創刊して、「保守反動」という有り難くないレッテルを、一部の左翼的インテリから頂戴した。従って、戦後も死ぬまで一貫して、長らく最大野党だった「社会党」の反戦路線を強く支持していた私の亡父とは、肌が全く合わなかったのだろう。恐らく、亡父は同じ「ドイツ文学」という専門分野で活躍し、数多くのドイツ文学や北欧文学の邦訳を残した竹山氏を最も知り尽くしていただけに、(文豪ゲーテやシラー、楽聖ベートーヴェンやシューベルトについて、多くを語ったにもかかわらず)竹山氏については、一言も息子に語るチャンスを失ったのだろう、と今になって私は想像する。

亡父は常に「憲法第9条」を擁護し、戦後の日本(自民党)政府によるアメリカ追従政策、特に日米安保条約、自衛隊による再軍備が将来、再び「侵略戦争」をもたらす危険な「種」になりつつあることを、繰り返し警告していた。もし仮に「憲法第9条」を擁護する支持層が、日本の世論の少数派になってしまったら、戦前のごとく、日本は再び、忌まわしい「侵略戦争」への道を歩み始めることになるだろう。

日本政府(小泉内閣)が積極的に加担したブッシュ政権による「イラク戦争」は、明らかに石油の利権を獲得するがための「侵略戦争」だった(太平洋戦争が、実は満州やビルマに埋蔵する石炭や鉄、インドネシアの石油などの利権を獲得するために開始された戦争であったことに良く醜似している)。この血生臭い「泥沼戦争」は、日本の「太平洋戦争」と同様、誤った理由(口実)に基づいて始められた戦争である。最後に「敗北」を避けることはできないだろう。亡父の言葉を借りれば、「正義は最後に必ず勝利する」からだ。

この言葉を信じぬ者は、戦中の日本人の大半のごとく、時の政府(長い物)にただ巻かれたまま、初めから不正義と戦おうとする努力をせずに、ズルズルと欲の深い侵略戦争という泥沼に引き込まれ、結局は誤った政府のために苦しみ、運が悪ければ「無駄死に」する運命をたどることになる。ある意味で「自業自得」であると言えよう。

天木直人(元レバノン大使)とバラック・オバマ(次期米国大統領候補)は、イラク戦争開始前に、「先見の明」をもって、この泥沼戦争突入に反対し、小泉内閣やブッシュ政権に抗議の意志をはっきり表明している。それを無視した日米英豪(保守)政権の今後払うべき代償は相当大きいだろう。例えば、先ず去る11月の総選挙で、豪州の保守政権が大敗した。英国の労働党政権も、最近の地方選挙で大敗している。日本では、自民党の(小泉ー安倍路線を継承する)福田内閣への支持率が最近、日に日に激減している。米国では、ブッシュ政権を支える共和党支持層が年々激減し、逆に若いオバマ上院議員を大統領候補に推す民主党支持層が急激に増大している。

なお、童話「ビルマの竪琴」が創作された敗戦直後のきっかけ、いきさつ(経過)については、下記のネット欄を参照されたし:

http://shisly.cocolog-nifty.com/blog/2008/01/post_ddce.html

中村徳郎が「ビルマの竪琴」の主人公、水島上等兵のモデルだったという説がある。竹山道雄が一高で教師をしていた時の教え子の一人で、山岳部で活躍し「トクさん」という愛称で仲間から親しまれ、 東大理学部で地理学を専攻した、とても純粋は青年だった。山をこよなく愛した「トクさん」は、かつて北アルプス穂高連峰で遭難死しかけたドイツ人青年、カール・ビルスを夜を徹して救助したことがあった。しかし彼は、そのカールが上等兵としてスターリングラード攻防戦で戦死したことを、知人から知らされる。その翌年、ドイツの親友のあとを追うように、彼自身もフィリピンのレイテ島で戦死(25歳)。侵略戦争に学徒出陣させられ「無駄死に」させるには全く惜しい人物。戦争ほど、多くの貴重な人材と美しい自然を破壊し、無駄にするものはない!

「聞け、わだつみの声」
http://waremoko2006.blog.so-net.ne.jp/2006-11-05-1


戦死した「トクさん」の母親(町医者)の叫び
http://semisigure.harisen.jp/99tennousei/koenakisakebi.htm


続く

2008年5月13日火曜日

「天の怒り」が遂に爆発!(ビルマのサイクロン、中国の大地震)

軍事政権が民主主義を無視して、ビルマの住民たちを長年虐待し続けているビルマに最近、巨大なサイクロンが襲いかかり、既に13万人以上が死亡、5万人以上が行方不明。にもかかわらず、軍事政権は海外(欧米)からの救援を快く受け入れず、溢れる難民への緊急な食料や医薬品や避難所の供給を渋っている。こんな無責任な政府の対処が長びけば、飢えや病気で20万人以上の死者が出る可能性が、現地で救援活動を続けているNGO関係者の間で、囁やかれている。

そんな矢先、中国の西部地方、チベット族が多数住む四川省でも、大地震が発生し、既に5万人以上の死者が出ている(被災者の数は一千万人!)。中国政府は、もし救援が遅れれば、現地のチベット民族の間にうっ積しつつある不満が爆発し、再び住民による暴動が起こりうる可能性を警戒して、迅速に救援活動を開始した。連鎖反応的に起こっているこの一連の天災 (及び人災)は、自然現象的にみれば、明らかに環境の保護を無視したために派生した「地球温暖化」による弊害 (避けがたい所産)である。

しかしながら、見方を少し変れば、虐げられているビルマの一般住民やチベット民族の現状を見るに忍びず、(無力な) 我々に代って「天上の神々」が、「ビルマ軍事政権や中国政府に対して、遂に怒りを爆発させた」という解釈も成り立とう。少なくとも、ビルマ住民やチベット民族のおかれている現在の境遇に同情する我々は、軍事政権や中国政府が、「天の示す怒り」に対して、敏速に (天災が人災へ大幅に拡大せぬよう) 然るべき 人道的な (適切な) 対応をしてくれることを切に望んでいる。

ビルマ軍政、海外からの人道的援助受け入れに同意: 
国連事務総長 (潘 基文) の「勇気と情熱ある説得」
http://www.asahi.com/international/update/0523/TKY200805230208.html


ミャンマー国営紙「米のカトリーナ対応よりまし」?
http://www.asahi.com/international/update/0515/TKY200805150299.html


1976年の元被災地『唐山』から恩返し 四川大地震ボランティア続々
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2008051502011543.html

2008年5月12日月曜日

民主党副大統領候補、ヒラリー対ジョン・エドワーズ?

ヒラリーはなお頑迷に民主党大統領候補指名戦から身を引こうとしないが、客観的にみて、オバマの勝利は今や明らかになりつつある。従って、オバマは共和党候補ジョン・マケインとの一騎打ち(本番)に備えて、副大統領候補を徐徐選ぶ必要がある。オバマ夫人(ミシェル)は、ヒラリーが繰り返し示した予備選中の「敵対的な態度」にとうとう腹を立て、「ヒラリーを副大統領候補として押せない」とこぼしたという噂がちまたに流れている。もちろん、オバマ陣営は、その噂を公式には否定しているが。。。

しかしながら、政治は(専ら「自然」を相手にする)自然科学と違って、飽くまでも「人間」を相手にする闘いであるため、その成功には常に(ある程度の)「妥協」が必要だ。個人的な感情に走って判断を誤れば、失敗は目に見えている。オバマは小差でヒラリーとの大統領候補指名戦をリードしているに過ぎない。獲得代議員総数で、オバマ(53%)対ヒラリー(47%)という接戦を繰り広げてきた。そして、ヒラリー支持層には、「ヒラリーが副大統領候補に指名されなかったら、オバマには投票しない」と主張する頑迷な有権者が相当数ある。かような民主党支持層を失えば、オバマは(共和党一致団結の)マケインと大統領選に勝ち味(勝算)は少なくなるだろう。従って、ヒラリーを副大統領候補に推薦するのが、然るべき「第一の選択」であろう。もちろん、ヒラリーにそれを素直に受け入れる用意があるかどうかは、なお未知数であるが。。。

ヒラリーは史上初の女性米国大統領をめざして善戦してきたが、結果はほぼ失敗に終りそうだ。しかしながら、女性として初めての米国副大統領になるという名誉を獲得するチャンスは、(この善戦を通じて)まだ残っている。この仕事は大統領夫人(いわゆる「ファースト・レディー」)とくらべれば、明らかにずっと重責である(そして、もし大統領が不慮の事故で死んだ場合には、トルーマンのように、棚ぼた的に大統領に就任できる!)。もし、彼女に本気で政治改革をする気があるのなら、少し頭を冷やして、この絶好のチャンスを逃すべきではないだろう。 ヒラリーに、「玉砕主義」ではなく「次善」を選ぶ円熟した政治家の英知を期待したい。

もし、ミシェルとヒラリーの仲(あるいは、元大統領のビル・クリントンとオバマの仲)がホワイトハウスで、どうしてもうまくいかなくなったら、ヒラリーに副大統領を辞任してもらったら良かろう。米国史上、副大統領が任期の中途で(大統領に昇進せずに)辞任した前例が、わずかだが2つだけある。

http://www.abc.net.au/news/stories/2008/05/12/2241712.htm

Dear Hillary:

I respect your fight for US presidency, but your chance for being nominated as the Democrats' presidential candidate this summer is increasingly getting slimmer, and if you continues this dog fight against Obama, you would lose even your great chance for being nominated the Democrats' vice-presidential candidate. So we would like to urge you to "change" your gear to start running for the vice-presidency as early as possible. No woman has ever been elected the US vice-president, and you would be the very first electable vice-president candidate. The 1984 election was a disaster for US women, but this time you would grab a great victory for women if you start right now.

Wishing you all the best with your new campaign!

Warmest regards, Heidi

2008年5月4日日曜日

米国大統領選に向けて、民主党内の「指名争い」は試合終了!

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2008051090162150.html?ref=rank

来る11月に行われる米国の大統領選挙には、2期に渡ってイラク戦争で世界中を苦しめてきたジョージ・ブッシュは、幸いもはや立候補できない。それに代わって、共和党から立候補するのは、ジョン・マケインが既に確定している。72歳のベトナム泥沼戦争に従軍したベテランである。イラクの泥沼戦争をまだ支持しているこのオールドタイマー(石頭)には、世界どころか米国さえも好転させることは、とても期待できない。

さて、問題は民主党候補の指名選である。1月以来ずっと、ニューヨーク州上院議員の老練ヒラリー・クリントンとイリノイ州上院議員の若武者バラク・オバマとが、激しいトップ(鍔ぜり)争いを展開している。これまでの予備選挙で獲得した代議員数では、オバマが1割ほどヒラリーをリードしているが、オバマは代議員数の多い州(大型票田、例えば、ニューヨーク、カルフォルニア、テキサス、オハイオ、ペンシルバニア、フロリダなど)の予備選で(小差ではあるが)ヒラリーに敗れている。来たる8月にコロラド州デンバーで開催される民主党大会で、最終的に指名を獲得するためには、両候補共、残る400ー500名のいわゆる「スーパー代議員」(党の要職についている、国会議員や州知事など)から支持を獲得しなければならない。その争奪戦がこの3か月間に激しく繰り広げられることになるだろう。

1年ほど前、オバマがまだ立候補を宣言するまで、私はヒラリーを支持していた。他に有力な候補者が民主党陣営に見当たらなかったからだ。しかしながら、オバマが頭角を現わし始めた1月初旬の予備選以来、私ははっきり「オバマ支持」に回った。彼はエネルギッシュであるばかりではなく、極めて正直な青年だからだ。その上、米国が国連を無視してイラク戦争に突入する前から、この戦争にはっきりと反対の意志を表明している「先見の明」がある人物である。それにくらべて、ヒラリーはイラク戦争(米国によるイラクへの一方的侵略)を初めから支持していた。更に、一連の予備選挙で、汚い遣り口でオバマを誹謗してきた。なるほど、ヒラリーは「大統領夫人」(ビル・クリントンの妻)として8年間、ホワイトハウスで、政界を操った経験は豊かであるが、その経験は、いわゆる「寝技」に過ぎず、正々堂々としたオバマのアプローチとは、明らかに違う。米国、さらに世界を今後、抜本的に改善するには、ヒラリーの因習的なやりかたでは、とてもダメだ。

私は、ヒラリーが「女性だから駄目だ」と言っているのでは決してない。女性や有色人種を差別する時代は、もうとっくに過ぎ去った。少なくとも我が家では、そんな差別は(長男である)私自身が生まれて以来、一度もみかけたことがない。強いていえば、実力が同じなら、(男性よりも)女性を(同国人よりは)他国人(異民族)を採用するのが、私の一貫した雇用方針である。オバマにはもう1つ、純粋な「白人」であるヒラリーには欠けている大きな利点がある。オバマは、いわゆる「黒人」ではない。白人の母親とケニア人(有色人種)の父親との間に生まれた混血児(いわゆる「ハーフ」)である。従って、白人の立場ばかりではなく、他の有色人種の立場も、自分自身の長い(かつ苦い)体験から、良く理解できる。そういう意味で、世界の紛争を平和的に解決できる優れた素質を兼ね備えている。ヒラリーは中東紛争で、イスラエルを一方的に支援している。そんな遣り方では、中東の血生臭い紛争を解決できるはずがない。

ヒラリーは5月初めに、「もし、イランがイスラエルを攻撃したら、米国はイランを攻撃するだろう」と(「ブッシュ政権」まがいの)演説をして、オバマから厳しい批判を受けた。イランをイラク同様占領して、油田を確保しようという意図が丸出しだからだ。イランとイスラエルとの戦争は本来、当事者同士でまず解決する問題であって、「石油の利権」を狙って米国がイスラエル側に加担するのは、明らかに越権行為である。地球の温暖化を避けるため、石油に頼らず(自然の力をそのまま利用する)太陽や風力などの「グリーン」エネルギーを積極的に開発すべき時代が来つつあるのに、ヒラリーはまだ気づいていないのだろうか。

そこで、聡明なオバマが、できれば8月の党大会で大統領候補として指名されることを、私は切に望んでいる。もし、不幸にしてヒラリーが指名された場合にも、オバマが「副大統領候補」として指名され、11月の総選挙で、共和党のマケインを破ることを期待している。そうすれば、ホワイトハウスで、副大統領として、4年間あるいは8年間の豊かな経験を積み上げ、2012年あるいは2016年の総選挙で、念願の大統領に選ばれ、父親が果たせなかった夢を、実現するのはほとんど確実であろう。

Barack Obama would be our "Magic Bullet".

5月初めのノースカロライナ予備選で、中道保守派のヒラリーを大差で破ったリベラル派のオバマは、民主党候補指名獲得へさらに邁進しつつある。オバマ政権の成立という夢が実現する可能性がいよいよ濃厚になった。さて、誰が副大統領候補になるかが、次の焦点になろう。ライバルのヒラリーか、それとも若手のジョン・エドワーズか? 

撤退のエドワーズ氏 オバマ氏支持を表明!
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2008051502011535.html

Congratulations on the nomination of Obama !! (3/6/2008)
http://www.asahi.com/international/update/0604/TKY200806040019.html

ハリー・スタイン著「臨床殺人」(1995年、角川書店)

癌の特効薬を巡る臨床サスペンス

主人公は若い医師ダニエルとその同僚であるサブリナという美人研究者。ワシントン近郊にある米国最大の癌研究所が舞台。乳癌に効く特効薬 (化合物J)の開発、臨床試験を巡って展開する新旧の医学研究者たちの間に起こる葛藤と暗躍、そして若い男女の間に芽生えるロマンスをうまく織り交じえた、映画にしても大変面白いスリラー物。

私を含めて日本人読者たちにとって、特に関心をそそるのは、この謎の化合物「J」の出どころだ。20世紀の初めに、梅毒の特効薬「サルバルサン」(当時「化合物606」とも呼ばれていた)を開発して有名になった(「化学療法の父」と呼ばれるようになった)パウル・エーリッヒというユダヤ系の細菌学者がドイツにいた。彼の弟子の一人、秦佐八郎は特効薬「サルバルサン」の発見に重要な役割を果たしたのは、世界中でよく知られている歴史的事実である。さて、彼の弟子の中には、秦以外に2、3人の日本の「伝研」(伝染病研究所)から留学研究していた若い学者がいた。赤痢菌を発見した志賀 潔もその一人だった。

http://www.civic.ninohe.iwate.jp/100W/06/063/page2.htm

さて、ダニエルが化合物「J」の起源を探している内に、ドイツのフランクフルトにあるエーリッヒ博士がその昔所長をしていたGSHという研究所の地下に、化合物「J」の合成法が記された古ぼけた実験ノートを発見する。そして、ノートの持ち主は、ある日本人の有機化学者だということが判明した。ダニエルは、そのノートに従って、臨床試験に必要な大量の化合物「J」の合成に成功するという筋書きがそれに続く。

ところで、「J」という化合物名は、一体どこから来たのだろうか? そのヒントは何となく、上記のエピソードに隠されているように、私には思えてならない。