人々の “健康促進” のために!

人々の “健康促進” のために!
2015年春、沖縄の琉球大学キャンパス内 (産学共同研究棟) に立ち上げた “PAK研究センター” の発足メンバー(左から4人目が、所長の多和田真吉名誉教授)
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2014年3月31日月曜日

沖縄産のプロポリスはオオバキ(大葉木)由来:
HDACの阻害を介して、PAKを遮断!

極東の亜熱帯地方 (沖縄、台湾、ハワイなど) 産のグリーン・プロポリスには、抗癌作用を持つプレニル化したフラボノイド (例えば、プロポリンG=Nymphaeol C) が含まれている。 このプロポリスの起源植物が大葉木(学名: Macaranga tanarius) であることが、静岡大学の熊沢茂則教授の研究室によって、数年前に解明された。 さて、2012年になって、台湾の台北医科大学とベンチャー会社 「NBM」 の共同研究によって、プロポリンG の (メチル化/水酸化) 誘導体「NBMーHDー1」が半合成され、その作用メカニズムが解明された (1)。

一口に言えば、この誘導体もCAPE (温帯プロポリス、例えば 「Bio 30」 の有効成分) やARC (ブラジル産グリーンプロポリスの有効成分) と同様、最終的にはPAKを遮断することがわかった。 ただし、そのメカニズムはより複雑である。何んと "FK228" と同様、プロポリンG の直接の標的はヒストン脱アセチラーゼ(HDAC)であり、p21やゲルソリンなど一連の抗癌蛋白の産生を高めるばかりではなく、抗癌フォスファターゼ 「PTEN」の活性化 (脱リン酸化) を介して、PAKを遮断し、乳癌などの増殖を抑制する (動物実験)。

 オオバキ (大葉木) は、沖縄で愛飲されている「琉球茶」に含れる8種の野草の一つである。 従って、ゴーヤやゲットウと同様、「琉球茶」は明らかに「健康長寿の源」である。 プロポリン G はFK228と違って、血管脳関門を通過するので、NFや認知症などの脳内疾患にも有効であるはずである。

琉球大学の図書館玄関脇には1本のオオバギがあるが、これは植栽されたものではなく、大学建設中に生えてきたものが急速に大きくなり、見栄えがよかったのでそのまま保存されたものである。 ミツバチは本種の果実の表面にある樹脂腺(蜜隣)をその材料として採取している。 

参考文献: 
1.  Huang WJ, Liang YC, Chuang SE, Chi LL, et al. NBM-HD-1: A Novel Histone Deacetylase Inhibitor with Anticancer Activity. Evid Based Complement Alternat Med. 2012; 2012:781417.

2014年3月30日日曜日

マラリア特効薬「アルテミシニン」の開発者 「Tu Youyou」 の小伝

2011年にラスカー臨床医学賞をもらうまで、中国の女性研究者 「Tu Youyou」 の名前は、中国国外では、余り知られていなかった。彼女の主な功績はマラリア特効薬「アルテミシニン」を1970年代に開発したことにある。 実は、文化革命の終り頃、ベトナム戦争を後ろから支援していた毛沢東政府は、(米軍と戦闘中の)北ベトナムのベトコン政府の依頼に応じて、印度シナ半島に蔓延するクロロキン耐性のマラリアに効く新しい特効薬を開発するため、マラリア撲滅プロジェクト「523」を1967年5月23日に、北京にある漢方研究所の「Tu Youyou」 博士に命じた。 その時、彼女は37才だった。 北京大学医学部卒の生薬専攻の天然物有機化学者だった。 以後5年間の研究により、「アルテミシニン」と呼ぶ化合物(セスキテルペンラクトンの一種)を、1600年前からマラリア漢方薬として知られていたクソ人参(中国名は青蒿=チンハオ)の葉から抽出、同定することに成功した。従って、この特効薬は言わばベトナム戦争の副産物(落し子)である。

もっとも、アルテミシニンに関する最初の論文が実際に発表されたのは、(ベトナム戦争終了後の)1977年だった。 今日、アルテミシニンおよびその誘導体「アルテスネイト」がWHO指定のマラリア治療薬として、世界中、特に東南アジア、アフリカ諸国、南米など熱帯/亜熱帯地方で広く使用されている。 幸い、欧米や日本などの先進国では、マラリアはもはや我々の生命を脅かす感染症ではなくなったためか、不幸にして、彼女によるアルテミシニンの開発研究に対する一般的評価がかなり低い。 しかしながら、つい最近になって、アルテミシニンなどのマラリア特効薬がPAK遮断剤でもあることが判明した。 前述したごとく、PAKというキナーゼは、癌や認知症を含め種々の難病に必須である。 いいかえれば、 アルテミシニンは市販されているごく数少ない (マラリア以外の難病にも効く) PAKを遮断する貴重な医薬品の一つである。 従って、近い将来、アルテミシニンや (MSの特効薬) フィンゴリモドなどが、これら種々の難病の特効薬としても正式に認定されれば、その人類全体へ与える恩恵は計り知れないものがある。。。

2014年3月28日金曜日

闘う医魂: 北里柴三郎の「伝研」を巡る闘い (後半生)

ベルリンのコッホ研究所で、ジフテリアの血清療法などを開発し (世界有数の) 細菌学者になった北里柴三郎 (1853ー1931) は (7年間の) ドイツ留学から帰国後、福沢諭吉の援助により1892年に発足した私立の「伝研 」(伝染病研究所、今日の東大付属の「医科学研究所」の前身) の所長になったが、ライバルの東大医学部長 (青山胤通、細菌学専攻) と内閣書記官長の策略 (結託) によって、自分の伝研(内務省管理)が勝手に文部省の管理下にある東大医学部の付属研究所にされたのを不服に感じ、伝研の所長を潔く辞めて、新たに私立の研究所 (北里研究所) や(福沢諭吉が創立した) 慶応義塾大学に医学部を新設するに至る歴史的な経過をドラマチックに描いた作品である。

実は、青山は昔から北里に恨みを感じていた。殊に1894年ごろ発生した香港ペスト事件で、青山が北里に体面をひどく汚されたからだ。 ペスト調査団のメンバーとして、伝研を代表して北里、東大を代表して青山が香港に派遺された。 青山はペスト患者の屍体解剖をやっているうちに、ペストに感染して、九死一生を得た。 他方、北里はペスト菌を世界に先駆けて発見するという華々しい功績を挙げた。 そこで、青山は北里を何とかして、自分の尻に敷く機会を虎視眈々と狙っていたのだ。 (私学と官学との対立を巡る)この事件を通じて、「九州男児」(熊本出身)北里の激しい 「医魂」 (医学者としての強い反骨精神) が浮き彫りにされている。

さて、この事件が発生したのは、「早稲田」の創立者である大隈重信(1838ー1922)が首相であった時分である。このエピソードから、「慶応」には昔から医学部があるが、ライバルの「早稲田」にはいまだに医学部がない由縁も容易に理解できるだろう。私自身の意見では、慶応の猿真似をしてまで、今さら早稲田が医学部を新設する必要はない! 各々の大学は確固たる独自性を保持すべきである。 「コピペ」は止めろ! 

薬学部出身で、海外で長らく最先端の「創薬」を志す私自身も「文部省嫌い」であり、機会があれば、いつか将来、海外を舞台にした独自の私小説 「薬魂屈せず」を出版してみたいと夢見ている。。。

2014年3月27日木曜日

ギンネム (種子/葉) 由来のチロシン誘導体 「ミモシン 」も PAK遮断剤

ギンネムはギンゴウカン(銀合歓、Leucaena leucocephala)とも呼ばれ、中南米原産であるが、沖縄や小笠原諸島に生息する (人為移入された) マメ科ネムノキ亜科の落葉低木で、ネムノキに似て、白い花を咲かす。  http://www.u-ryukyu.ac.jp/top_news/chizai16_2012110501/

先ず、上記のインターネット欄 (琉球大学農学部の多和田教室) によれば、ギンネム (種子/葉 ) 由来のチロシン誘導体 「ミモシン 」は、流感の予防/治療に役立つという。 インフルエンザ・ウイルスの感染には、PAKが必須であることが知られている。 更に、ミモシンはマラリア感染、すいぞう癌、炎症、などの治療にも有効であることが (少なくとも動物実験で) 知られている。  これらの病気もPAK依存性である。

更に、ミモシンがp21(CDK阻害蛋白) の遺伝子を活性化する こともわかっている (1)。
これらの諸性質は、PAK遮断剤の典型的な薬理作用である。 従って、ミモシンが何らかのメカニズムでPAKを遮断している可能性が強い。 年末近くになって、多和田教授らによって、ミモシンがPAKを直接阻害することが実証された!

惜しむらくは、ミモシンに 「発毛抑制=脱毛促進」 という副作用があることである。 戦争末期、小笠原諸島に取り残された日本兵が飢えをしのぐため、ギンネムの種子を食べ、全員残らず丸ハゲになったという逸話がある!  ミモシンをさらに化学修飾することによって、この副作用を何とか除く方法 (術) はなかろうか? 

参考文献: 
 1. Chang HC, Lee TH, Chuang LY, Yen MH, Hung WC. Inhibitory effect of mimosine on proliferation of human lung cancer cells is mediated by multiple mechanisms. Cancer Lett. 1999; 145: 1-8.

2014年3月25日火曜日

日本の薬学教育は薬剤師養成に腐心し、
創薬の専門家を養成する基盤に欠けている。

10年ほど昔、日本の大学の薬学部を4年制から6年制にすることの是非論がたたかわされた末、結論として、2006年から6年制の薬学部(薬科大学)が軒並み発足した。  しかしながら、6年制の薬学はより高度な知識をもつ「薬剤師」の養成には多少益になっても、(欧米にずっと遅れを取る) 日本の「創薬」の専門家を養成する目的には、害あって益なしである。

そこで、我々は、(琉球) 大学に薬学部がない、あるいは薬科大学が全く存在しない沖縄の地に、最先端の創薬研究をめざす総合的なモデル国際研究所を設立する計画を立てつつある。  この研究所は、癌や認知症など様々な難病や老化現象の共通元凶になっている悪玉酵素 「PAK」 を遮断する薬剤を主に開発/同定する研究に焦点を絞るもので、「PAK総研」 と呼称する。 OIST (沖縄科学技術大学院) と同様、英語を公用語とする国際研究所で、研究スタッフの半分は海外から公募する計画である。 その主な理由は、PAKに関する研究は従来、日本国内ではほとんどなく、欧米、豪州、シンガポールがその中心であるからである。

OISTとの根本的な違いは、いわゆる「象牙の塔」ではないことである。 種々の難病の予防/治療に直接寄与し、さらに美白や健康長寿をもたらす安全かつ安価なPAK遮断剤を沖縄特産のハーブ類 (例えば、ゴーヤ、ゲットウ、ハイビスカス、ギンネム、オオバキなど) から同定、開発することによって、地元沖縄の産業を促進するばかりではなく、「長寿県」沖縄の住民をさらに健康に長生きできるようにすることをめざしている。

従って、主に厚生省や製薬業界、化粧品業界、健康食品業界などからの共同出資によって、研究所の運営費をまかなう方針である。  この企画実現への 「一里塚」 として、今夏 6月23日(月)に沖縄で 「PAKを遮断するハーブ類を中心にした」 最初の創薬シンポジウムを開催する計画を目下、琉球大学の有志と共同で練りつつある。

続く

2014年3月23日日曜日

統合失調症の「最先端」療法: PAKを遮断するハーブ療法

1950年代初期以来、ドーパミン遮断剤「クロルプロマジン」(CPZ)が統合失調症(Schizophrenia) の治療薬として、長らく使用されてきた。 しかしながら、CPZにはパーキンソン氏病症状 (手足の痙攣) や横隔膜の痙攣 など、いくつかの副作用が生じることが知られている。

面白いことには、ごく最近になって、CPZには (プロポリスなどのPAK遮断剤と同様) 抗癌作用や抗マラリア作用もあることが判明した。 更にそのメカニズムを詳しく調べるうちに、CPZ がp21(=CDK阻害蛋白) 遺伝子を活性化することが、2、3年前に韓国の研究グループによって確認された(1)。

これら一連の性質はPAK遮断剤に共通する薬効である。 従って、CPZが実はPAKを遮断することによって、統合失調症を抑えている可能性が非常に高い。 言い換えれば、ドーパミン受容体を阻害せず(副作用なし!)にPAKを遮断するハーブ類 (例えば、プロポリスなど) の方が、統合失調症の治療により適していると考えられる。

参考文献: 
1。Shin SY, Kim CG, Kim SH, Kim YS, et al. Chlorpromazine (CPZ) activates p21Waf1/Cip1 gene transcription via early growth response-1 (Egr-1) in C6 glioma cells. Exp Mol Med. 2010 ; 42: 395-405.

2014年3月22日土曜日

プロポリスの個人輸入に対する関税

ニュージーランド産プロポリス (「Bio 30」リキッド) に対する輸入税(関税)ですが、最近の急激な「円安」政策 (自動車や電化製品を製造する大企業の輸出を助ける「アベノミクス」!) のため、36本どころか24本でも課税されるようになりました。 今のところ、 20本なら「免税」になります!
「円高」時代に36本が1万6千円以下だったプロポリスが、「円安」の現在は24本でも1万7千円以上となり、免税の上限 (1万6千円) を超過するため、関税がタップリ課せられる。 だから、個人輸入者(患者) は、1。5倍以上の(見かけの) 物価上昇ばかりではなく、関税にも苦しめられる。"ダブルパンチ" だ!
アベノミクス(=インフレ政策!)は大企業の利権を優先 し、一般大衆(消費者)、特に種々の難病に苦しむ多くの患者によるプロポリスなどの健康食品の海外からの個人輸入に、関税で「シワ寄せ」をかけている。 言い換えれば、現「安倍」自民党政権は、一般大衆の「敵」 だ。 「脱原発」の訴えにも耳をかさず、憲法9条を改悪して(軍需産業を再興するため)再軍備を図り、一般大衆を忌まわしい戦争に、再び巻き込もうとしている。 要注意!

2014年3月17日月曜日

精神病 「Schizophrenia」 の邦名 「統合失調症」について

最近、発癌/老化酵素「PAK」の異常によって発生する各種の難病に関する単行本の執筆中に気がついたことが一つある。 病名に関するいわゆる「差別用語」の問題である。 精神病の一種で「Schizophrenia」と呼ばれる病気がある。 スイスの精神科医オイゲン・ブロイラー(1857-1939) は、1911年の著書で初めて「精神機能の特徴的な分裂」症状を Schizo裂)Phrenia(精神病)と定義した。日本では、この病気に対して、1937年以来ずっと「精神分裂症」という病名が使用されていた。 ところが、私の知人から、「精神分裂症」は差別用語だから、もう使用できないという指摘があった。 そこで、現在はどんな病名になっているのかと訊いてみたところ、なんと「統合失調症」という病名が2002年から使用されているという。 残念ながら、この新しい病名には、何が一体失調しているのか、という明確な説明が全く欠けている。 統合とは一体なんぞや? 私にいわせれば、この新しい「非差別用語」は全く無意味に聞こえる。  分裂という言葉が差別用語なら、「精神失調症」ではどうだろうか? あるいはもっとズバリ、「シゾフレ」病ではどうだろうか? 頭が多少「フレテいる」感じが出ていると思う。 英語の病名「シゾフレニア」の最初の4字を取ったものである。 テレビジョンの略称「テレビ」に相当する。 実際、シゾフレ(分裂)気質とメランコ(躁鬱)気質という言葉は既に、日本語として定着しつつあるようだ。 (欧米における)最近の研究によれば、シゾフレもメランコもPAKを遮断するプロポリスなどのハーブ類で治療しうることが判明している。

戦前あるいは敗戦直後、栄養失調の子供たちの間で「肺病」という伝染病が流行した。 私自身もそれにかかって、半年ほど休学した。幸い、特効薬「PAS」のおかげで命拾いをした。 肺病は「肺結核」の略称である。特効薬「PAS」が開発されるまで、肺病患者は、周囲の社会から差別を受けた。 癩(ハンセン氏) 病患者も同様だ。 病気の特効薬が開発されると、患者は差別されなくなる。従って、「シゾフレ」(精神分裂) 病の場合も、特効薬を開発することが先決で、わけもわからぬ「非差別用語」を編み出しても、問題の本質的な解決には全くならない!

一番卑近な例が国鉄の駅にあった「便所」だ。 経営者がJRに変って、「トイレ」という名に入れ替わった。しかし、相変わらず「臭い!」。 まともに掃除しないからだ。 名前は便所のままでも、こまめに清掃をすれば、あの悪臭はなくなる!

映画 「A Beautiful Mind」(2001年) の主人公、ジョン・ナッシュ教授は 数学の天才だった。不幸にして、長らくシゾフレ病に苦しんだが、ついに病気から回復してまもない1994年に、ノーベル経済学賞をもらった。 「万有引力の法則」の発見者、英国の数学/物理学の天才、アイザック・ニュートンも50才前後に、この精神病にしばらくかかっていたといわれている。