人々の “健康促進” のために!

人々の “健康促進” のために!
2015年春、沖縄の琉球大学キャンパス内 (産学共同研究棟) に立ち上げた “PAK研究センター” の発足メンバー(左から4人目が、所長の多和田真吉名誉教授)
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2014年3月30日日曜日

マラリア特効薬「アルテミシニン」の開発者 「Tu Youyou」 の小伝

2011年にラスカー臨床医学賞をもらうまで、中国の女性研究者 「Tu Youyou」 の名前は、中国国外では、余り知られていなかった。彼女の主な功績はマラリア特効薬「アルテミシニン」を1970年代に開発したことにある。 実は、文化革命の終り頃、ベトナム戦争を後ろから支援していた毛沢東政府は、(米軍と戦闘中の)北ベトナムのベトコン政府の依頼に応じて、印度シナ半島に蔓延するクロロキン耐性のマラリアに効く新しい特効薬を開発するため、マラリア撲滅プロジェクト「523」を1967年5月23日に、北京にある漢方研究所の「Tu Youyou」 博士に命じた。 その時、彼女は37才だった。 北京大学医学部卒の生薬専攻の天然物有機化学者だった。 以後5年間の研究により、「アルテミシニン」と呼ぶ化合物(セスキテルペンラクトンの一種)を、1600年前からマラリア漢方薬として知られていたクソ人参(中国名は青蒿=チンハオ)の葉から抽出、同定することに成功した。従って、この特効薬は言わばベトナム戦争の副産物(落し子)である。

もっとも、アルテミシニンに関する最初の論文が実際に発表されたのは、(ベトナム戦争終了後の)1977年だった。 今日、アルテミシニンおよびその誘導体「アルテスネイト」がWHO指定のマラリア治療薬として、世界中、特に東南アジア、アフリカ諸国、南米など熱帯/亜熱帯地方で広く使用されている。 幸い、欧米や日本などの先進国では、マラリアはもはや我々の生命を脅かす感染症ではなくなったためか、不幸にして、彼女によるアルテミシニンの開発研究に対する一般的評価がかなり低い。 しかしながら、つい最近になって、アルテミシニンなどのマラリア特効薬がPAK遮断剤でもあることが判明した。 前述したごとく、PAKというキナーゼは、癌や認知症を含め種々の難病に必須である。 いいかえれば、 アルテミシニンは市販されているごく数少ない (マラリア以外の難病にも効く) PAKを遮断する貴重な医薬品の一つである。 従って、近い将来、アルテミシニンや (MSの特効薬) フィンゴリモドなどが、これら種々の難病の特効薬としても正式に認定されれば、その人類全体へ与える恩恵は計り知れないものがある。。。

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