人々の “健康促進” のために!

人々の “健康促進” のために!
2015年春、沖縄の琉球大学キャンパス内 (産学共同研究棟) に立ち上げた “PAK研究センター” の発足メンバー(左から4人目が、所長の多和田真吉名誉教授)
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2015年5月19日火曜日

線虫 “エレガンス” の研究はノーベル賞への "早道" (High-Way)!

最近出版された(大島靖美著) “線虫の研究とノーベル賞への道“は、”ノーベル賞を取りたかったら、線虫 (エレガンス) の研究をやれ“ という, 野心的な生物学者に向けた熱いメッセージになろう。 もちろん、どんな研究でも始める際、奇抜な発想が必要ではあるが、線虫を使う研究は、他の動物実験より、全てが短時間かつ安価に済ませることができる利点がある。 そこで、(癌研究者の)私自身でさえ, 数年前にPAK遺伝子欠損株 (RB689) が野生株よりずっと長生きすることを発見して以来、"健康長寿に役立つ" (副作用のない)PAK遮断剤を手早くスクリーニングすることを目指して、線虫実験を続けている。

著者は線虫研究のベテランで、私と同じ大学を卒業したほぼ同年配の理学博士である。もっとも、主な研究対象はRNAで、"創薬をめざす"薬学出身の私とはかなり違う。線虫研究の草分けであるブレナーを始め、干渉RNAを発見したファイアとメロ両氏、さらにオワンクラゲ由来のGFP(蛍光蛋白)を線虫で初めて発現したチャルフィーらの武勇伝が、この本で丁寧に紹介されている。さらに、線虫とは直接関係ないが、GFPを半世紀以上前に発見して、数年前にノーベル賞をもらった下村さんのルシフェリンや蛍光蛋白に関する研究エピソードも詳しく紹介されている。

(PAK遮断剤で処理すると) HSP16-GFPを発現する特殊な線虫株 (CL2070 を使用する私には、(当然のことながら)既知の内容が多かったが、これから線虫に挑戦したいと志す若い冒険好きな研究者たちには、大変有益な啓蒙書である。

もっとも、線虫には視覚神経や心臓などの循環器系がない。 従って、これらの分野に特に興味を持つ者は、脊椎動物であるメダカやオタマジャクシなどを実験材料として、選ぶべきであろう。 勿論、iPS研究もノーベル賞への早道らしいが、功を急ぎ過ぎて、墓穴を掘る人々がかなり目立つ。 “朝ドラ”ではないが、“地道にコツコツ” 研究しよう!


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