人々の “健康促進” のために!

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2015年春、沖縄の琉球大学キャンパス内 (産学共同研究棟) に立ち上げた “PAK研究センター” の発足メンバー(左から4人目が、所長の多和田真吉名誉教授)
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2011年10月8日土曜日

免疫学者「ラルフ・スタインマン」小伝:
膵臓癌と闘い、死去直後にノーベル賞!

2011年ノーベル生理/医学賞受賞
受賞理由: 「樹状細胞」と、獲得免疫におけるその役割の発見

ラルフ・スタインマンは、1943年1月14日 に誕生、2011年9月30日に死去。

カナダのモントリオール市内アシュケナジムに住むユダヤ人の家に生まれる。
父親はアービン・スタインマン(1995年に死亡)、母親はネチー(1917
年生まれ)。父親が呉服店「モーツアルト」を郊外のシャーブルッケに開店した
ので、家族はそちらに引っ越す。ラルフはシャーブルッケ高校を卒業後、モント
リオール市内に住む母方の祖父と祖母の家に間借りしながら、マックギル大学理
学部を優等で卒業。 1968年に、米国ボストンにあるハーバード大学医学部
で博士号を取得後、MGH (大学付属のマサチューセッツ総合病院)でインターンを
修了。その後、ポスドクとして、ニューヨーク市内のロックフェラー大学に転勤
し、免疫学 (特に、「マクロファージュ」と呼ばれる貪食細胞) 研究の大御所で
ある恩師ザンビル・コーン (1926-1993) の下で、獲得免疫に重要な役目を果たす
樹状細胞に関する研究に取り組み始めた。「樹状細胞」という用語は、1973年5月
にスタインマンと恩師コーンによって作られたものである。

Steinman、 R, & Cohn、 Z. Identification of a novel cell type (dendritic
cell) in peripheral lymphoid organs of mice. I. Morphology, quantitation,
tissue distribution. J Exp Med. 1973、137:1142-62.

スタインマン夫婦に長女アレクシス (34) が誕生したのは、樹状細胞の発見から
3ー4年後(1977年頃)のことである。

不幸にして、2007年に、ラルフ・スタインマン教授は「膵臓癌」と診断され、彼
自身が研究の対象としていた「樹状細胞」を使用した「免疫治療」を受ける。幸
い、2011年10月3日、スタインマンにノーベル生理学・医学賞が授与されることが
発表されたが、その直後、スタインマン本人は3日前の9月30日に既に死去してい
たことが、家族により公表された。アレクシスの話によれば、父親ラルフは、受
賞発表前の週に、病床で「死んだら、賞はもらえなくなるから、発表の日まで何
とか頑張らなければ。。。」と冗談まじりに、家族に言い続けていたという。

現在のノーベル賞の規定では「死者には授与しない」とされているが、ノーベル
財団およびカロリンスカ研究所(ノーベル賞の生理学医学部門選考委員会が存在
する機関)が対応を協議した結果、スタインマンの場合は授賞決定の時点で財団
と選考委員会が本人の死去を把握していなかった事情を考慮し、受賞者の選考は
スタインマン本人が存命しているという前提で行われたものであることを再確認
した。その上で、「授賞決定後に本人が死去した場合はその授賞を取り消さない」
とする同賞の規定に準ずる扱いとして、「今回の決定を変えず、スタインマン博
士に賞を贈る」と改めて決定、発表した。

スタインマンの主な受賞歴

* 1999年 ロベルト・コッホ賞
* 2003年 ガードナー国際賞
* 2007年 ラスカー基礎医学研究賞
* 2009年 オールバニ・メディカルセンター賞
* 2011年 ノーベル生理学・医学賞
     (ブルース・ボイトラーやジュールス・ホフマンと共同受賞)

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