人々の “健康促進” のために!

人々の “健康促進” のために!
2015年春、沖縄の琉球大学キャンパス内 (産学共同研究棟) に立ち上げた “PAK研究センター” の発足メンバー(左から4人目が、所長の多和田真吉名誉教授)
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2015年7月10日金曜日

脂肪分解酵素 (リパーゼ) を利用した ARC (Artepillin C) 合成法の開発:
海鞘由来の “ST-2001“ 誘導体の酵素的合成にも応用しうる!

ブラジル産グリーンプロポリスの主要抗癌成分ARC (Atepillin C) は、 PAK遮断剤であるが、その化学合成法は、2002年に、徳島大学の宇都義浩博士らによって、確立された(1)。 さて、ごく最近、ARCを酵素的に合成する方法が、慶応大学薬学部の 須貝威教授らによって、開発された()。 利用した酵素は、酵母菌由来のリパーゼBで、(ある特定の位置にある)エステル結合を分解 (脱アセチル化) して、脂肪酸 (カルボン酸) を遊離する働きを持つ。

この論文の要旨を読み終わった瞬間、ある名案[奇抜な考え]が私の脳裏に閃いた。 スタウロスポーリン(ST の誘導体で、海鞘由来の “ST-2001“ と呼ばれるPAK
遮断剤の誘導体を酵素的に合成しうる方法である。 十年以上、最善と思われるルートを私は模索し続けていた。 詳しくは、国際特許を申請してから、ここに記載しよう。


この酵素(Lipase B)はエステル結合を分解するだけではなく、アルコールとカルボン酸からエステル結合を形成する反応も触媒する。例えば、コーヒー酸とフェネチルアルコールからCAPEを酵素的に合成しうる (3)。  従って、ST-2001の誘導体を酵素的エステル化で合成することも理論的には可能である。 とにかく、このプロジェクトは、"未知への挑戦"である。
 

科学の世界でも、前人未到のピークを制覇する直前に、我々は勇敢であらねばならない。前途に(叩いてから渡れる)石橋など皆無だからだ。エベレスト山頂に至る “ヒラリー・ステップ” のごとく、自分の全身(四足と頭)で新しいルートを切り開かねばならない。

“サイはついに投げられた! いざ、ルビコンを渡らん!

 
  参考文献:

1.Uto Y, Hirata A, Fujita T, Takubo S, Nagasawa H, Hori H. First total synthesis of artepillin C established by o,o'-diprenylation of p-halophenols in water. J Org Chem. 2002; 67: 2355-7.

2. Yashiro K, Hanaya K, Shoji M, Sugai T. New synthesis of artepillin C, a prenylated phenol, utilizing lipase-catalyzed regioselective deacetylation as the key step. Biosci Biotechnol Biochem. 2015 18: 1-5.
3. Ha SH, Van Anh T, Koo YM. Optimization of lipase-catalyzed synthesis of caffeic acid phenethyl ester CAPE in ionic liquids by response surface methodology. Bioprocess Biosyst Eng. 2013; 36: 799-807.

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