人々の “健康促進” のために!

人々の “健康促進” のために!
2015年春、沖縄の琉球大学キャンパス内 (産学共同研究棟) に立ち上げた “PAK研究センター” の発足メンバー(左から4人目が、所長の多和田真吉名誉教授)
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2017年8月31日木曜日

ヘミングウエイの謎めいた冒険 (1935-1961) (ニコラス=レイノルズ著、2017)

「誰がために鐘は鳴る」、「武器よさらば」、「老人と海」など数々の不朽の名作をこの世に残し、1954年にはノーベル文学賞に輝いたアーネスト=ヘミングウエイ (1899-1961) 作家ばかりではなく、ジャーナリストとしても活躍し、冒険家としても、良く知られている。 生涯に次々と4人の妻をめとったという話題もある。 しかしながら、 キューバ危機前後に、「非業な最期」を遂げた。自殺か、事故死か、あるいは他殺 (暗殺) か、色々な臆測が残っているが、その背景には、太平洋戦争中に、作家がキューバで始めた対独スパイ作戦に基因する(戦後の「冷戦」時代にも継続した) 個人的な情報収集活動のために、FBI のフーバー長官から付け狙らわれていたという経過がある。

著者は、CIA博物館の歴史家 (オックスフォード大学史学博士) で、2010年以来始めた綿密な調査結果に基づいて、ヘミングウエイの謎めいた冒険 (スパイ活動) の全貌を初めて、世に明らかにした。

出版当時 (2017年3月末)、 ニューヨークタイムズのベストセラー書に選ばれたが、(ある批評家に言わせれば)、「great story, but cheap paper」( 話は素晴らしいが、紙質が悪い!) というやや辛口の批評 をもらった。 この批評家は恐らく (私と同様) 写真家ではなかろうか。掲載写真用に (特別に) 上質な紙を使っていないので、写真の出来ばえが今一つである。 だから、"邦訳" では、写真には是非 (できるだけ) 上質紙を奮発してもらいたい!  

正直な話、私はヘミングウエイの作品をまともに読んだことはない。「Farewell To Arms」 は高校の英語の授業で採用されたが、いつもながら、中途で学期末が来て、「尻切れとんぼ」に終わった。 私自身には特別な印象は残っていない。映画化された作品の内で、私がビデオで繰り返し観ているのは、「誰がために鐘は鳴る」 (1943年制作) である。名優ゲイリー=クーパー (ロベルト役) と イングリッド=バーグマン (マリア役) の共演である。 これは、スペインのフランコ独裁政権に対抗する市民ゲリラ部隊に参加して、敵軍の戦車隊が通過しつつある鉄橋を爆破する使命を引き受けたアメリカの一青年と地元スペインの若い娘とのロマンスであるが、ヘミングウエイはこの市民戦争に (義勇軍ではなく) 記録映画班のジャーナリスト作家として参加して、その印象を帰国後、一気に小説化して、大当たりになった!  

さて、序論によれば、ヘミングウエイとCIAの前身 (OSS) との関係は、戦争中の1940年末に始まる。 同時に、ソ連のKGBの前身との関係も同じ頃に始まっている。それは、名作「誰がために鐘は鳴る」出版直後の出来事である。当時は、米国もソ連も連合国側で味方同志だった。 しかしながら、終戦後、米ソの間に冷戦が始まり、敵同志になった!  ヘミングウエイは、自分の力を過信して、何とか米ソ間を上手にまとめようと努力したようであるが、所詮、一作家の出来うる仕事ではなかった。 とうとう収拾がつかず、一触即発の 「キューバ危機」 がやってきた。 結局、(戦後の) 「二重スパイ」 行為が作家の死を早める一因になったようである。

 しかしながら、人はたった一つの理由で自殺はしない。幾つかの要因が重なって、せっぱ詰まり、ヘミングウエイのように "猟銃で自分の頭を撃ち抜く" ような行為に走る。 彼には、少なくとももう2つ、自殺への要因になるものがあった。その一つは、「血素症」(Hemo-chromatosis) という (血中に鉄分が異常に蓄積する) 遺伝病である。ヘミングウエイの父親は医師だったが、血素症 (別名、青銅色糖尿病) を苦にして、自殺した。ヘミングウエイの兄妹にも何人か同じ難病で自殺した。従って、ヘミングウエイも同じ理由で自殺した可能性がある。 もう一つは、キューバのカストロ革命である。 バチスタ独裁政府を打倒したカストロは、ヘミングウエイにとって、フランコ政権と闘ったスペインの市民義勇軍の"ヒーロー" 再来だった。 それと敵対する自国アメリカ (ケネディー政権) と板挾みになった。 「誰がために鐘は鳴るか」 と自問したとき、ヘミングウエイは、自分のために鐘が鳴ったと錯覚したのかもしれない。。。(教会の) 鐘は 「(ロベルトを含めて) 犠牲者各々の魂を弔う鐘」 である。

「行間」を読み取る作業は、豊かな想像力と知識を要求する。 しかし、共に 「弱者の味方」 かつ 「反全体主義者」 であった作家 「ヘミングウエイ」 と革命家 「カストロ」 との間には、兄弟以上に固い結び付きがあったのは、疑いの余地がない。そのカストロが革命成功後、ソ連の傘下に下り 「米国と対決」 せざる得なくなった事態 (悲劇) は、作家にとって、大きな失望をもたらしたに違いない。他方、作家に対するFBI からの追求がひしひしと迫ってきた。「 万事休す」!  最後の妻 "メアリー" 宛て  「俺は自爆する。3人の息子(ジョン、パトリック、グレゴリー) の後を頼む!  アーネスト」 という短い遺書を残して、あの世へ寂しく旅立ってに違いない。

なお、作家ヘミングウエイの 孫 (ジョン=ヘミングウエイ) は、カナダのモントリオールに住む作家である。2007年に 「Strange Tribe:  A Family Memoir」 を出版した。 「キューバが全てを変えてしまった! 」 と結んでいる。 
http://www.huffingtonpost.com/author/john-hemingway



"HEM病" のプロポリス治療?
Hemingway 家 を襲った症候群という意味を兼ねて、「血素症」 を仮に 「HEM 病」 と呼ぼう。 HEM 病はHFE遺伝子の機能不全にあることが、ヘミングウエイ死後30年以上たってから、エール大学のグループによって明らかにされた。 更に10年ほどたって、肝臓で鉄イオンを代謝除去するペプチドホルモン (Hepcidin) が見つかった。 HFE蛋白は、この肝臓ホルモンの産生に必須なのである。 

更に、最近になって、PAK遮断剤クルクミンやレスベラトロールによって、HFE欠損マウスの「HEM病」を緩和/解消することがわかった。 そこで、我田引水であるが、HEM病の発症には、どこかでPAKが関与している可能性が浮かび上がった。  HEM病には常に鬱病 (自殺の前兆) が伴う。 鬱病はPAK依存性の疾患であるから、例えば、プロポリスで治療しうる、従って、(作家ヘミングウエイには、遅かりしも) HEM病のプロポリス治療も、夢ではなさそうである。

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