人々の “健康促進” のために!

人々の “健康促進” のために!
2015年春、沖縄の琉球大学キャンパス内 (産学共同研究棟) に立ち上げた “PAK研究センター” の発足メンバー(左から4人目が、所長の多和田真吉名誉教授)
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2014年9月9日火曜日

紫根由来のナフトキノン 「シコニン」 も PAK遮断剤!


漢方薬に「紫根」と呼ばれる赤い根茎がある。抗癌作用や抗炎症作用があることが古くから知られている。その主要有効成分はナフトキノンの一種である「シコニン」と呼ばれる天然色素である。この成分は HIV (エイズ) 感染の治療や肌の美白(メラニン色素の合成抑制) にも有効 といわれている。 さて、最近、この色素に例のHSP (熱ショック蛋白) 誘導作用もあることがわかった (1)。得意の「水平思考」に照らしてみると、「シコニン」 もPAK遮断剤である可能性がかなり濃厚になった。

そこで、この赤い色素の薬理作用を分子レベルで更に詳しく文献調査してみた。驚くなかれ、シコニンは (ブルーベリー由来の"PTE" と同様) PAKの活性化に必須なチロシンキナーゼ「JAK2」を抑制することによって、PAKーp65(NFkB)ーVEGF シグナル経路を遮断し、血管新生や炎症を抑えていることが判明した (2)

最近ではバイオテクノロジーにより大量生産されて 口紅などにも用いられている。理論的には、紫根エキスを含む軟膏 (紫雲膏) は、NF1の「ブク」にも効くはずである。 

紫雲膏を開発したのは江戸時代の名医「華岡青洲」であるといわれている。江戸時代末期に(世界で初めて)全身麻酔による外科手術に成功した医師である。漢方と西洋医学を併用した先見の明の高い外科医(和歌山県が輩出した医聖)だった。その生涯の片鱗については、有吉佐和子著「華岡青洲の妻」(新潮社)で知ることができよう。

参考文献:
 1.Ahmed K, Furusawa Y, Tabuchi Y, Emam HF, et al. Chemical inducers of heat shock proteins derived from medicinal plants and cytoprotective genes response. Int J Hyperthermia. 2012; 28: 1-8.
2.  Xu Y, Xu X, Gao X, et al. Shikonin suppresses IL-17-induced VEGF expression via blockage of JAK2/STAT3 pathway. Int Immunopharmacol. 2014 ;19: 327-33.

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