人々の “健康促進” のために!

人々の “健康促進” のために!
2015年春、沖縄の琉球大学キャンパス内 (産学共同研究棟) に立ち上げた “PAK研究センター” の発足メンバー(左から4人目が、所長の多和田真吉名誉教授)
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2014年10月3日金曜日

稀少難病「NF1 」に伴う社交性の欠除および扁桃腺障害も「PAK遮断」により解消される。



NF1 遺伝子が欠損すると、PAKの上流にあるG 蛋白 (RAS および RAC) が異常に活性化される結果、PAKも異常活性化され、脳や皮膚に良性腫瘍が発生する。更に、自閉症に似た社交性の欠除 (ASDs=自閉症スペクトラム障害) や扁桃腺障害もしばしば併発する。NF1 腫瘍の増殖はPAK依存性なので、PAKを遮断すれば、腫瘍の増殖は抑制されることは、十数年前に確認されていた。しかしながら、(腫瘍に併発する) 社交性の欠除および扁桃腺障害とPAKとの関係は最近まで不明のままだった。
 
つい最近になって、米国インディアナ大学医学部のデビッド=ウエード教授のグループにより、この併発疾患もPAK遮断により解消されることが、マウス実験で証明された (1) 面白いことには、NF1 が欠損した扁桃腺では、熱ショック蛋白 (HSP70) のレベルが低下していることが観察されたが、PAKを遮断すると、HSP70レベルが正常値に戻ることも発見された。
つまり、(我々が23年前にセンチュウで発見したと同様) マウスでも、
PAKがHSP遺伝子の発現を抑制していることが証明されたわけである。従って、PAKを遮断 (=HSPを誘導) する薬剤によって、難病「NF1」に併発するこれらの障害も是正しうることが判明したわけである。

参考文献:
  1. Molosh AI, Johnson PL, Spence JP, Arendt D, et al. Social learning and amygdala disruptions in Nf1 mice are rescued by blocking p21-activated kinase (PAK). Nat Neurosci. 2014 Sep 21.

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