人々の “健康促進” のために!

人々の “健康促進” のために!
2015年春、沖縄の琉球大学キャンパス内 (産学共同研究棟) に立ち上げた “PAK研究センター” の発足メンバー(左から4人目が、所長の多和田真吉名誉教授)
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2015年10月9日金曜日

PAK 遮断剤「PP1」の水溶性誘導体に関するUS特許 (US8962830B2)

発癌/老化キナーゼ「PAK」の細胞内での活性化には、いくつかのチロシンキナーゼが必須であるが、その内で、少なくとも2 種類のキナーゼ、ETK とFYN、を同時に抑えると、いわゆる「RAS癌 」(例えば、スイゾウ癌、大腸癌、肺癌など) の増殖がピタリと止まる。 この現象を我々が初めて見つけたのは、今世紀初頭(もう十数年前) のことである。 我々は当時、「AG879」と呼ばれるETK 阻害剤と「PP1」と呼ばれるFYN 阻害剤を併用して、マウスに移植したヒト由来の癌の増殖を抑えるのに成功した。 しかしながら、どちらの阻害剤も細胞透過性は高いが (IC50が10 nM 以下) 、水溶性に乏しいので、そのままでは臨床には応用しにくい。

そこで、先ず「AG879」分子の端にヘキシルアミンを付加して、水溶性の高い新規ETK 阻害剤 「 GL2003」の合成に成功した (1)。 更に、残る「PP1」の端に、同様にアミンを持つ一連のアルキル側鎖を付加することにより、水溶性を増す試みを続け、遂に2011年にその国際特許を申請した。最近、そのUS特許が許可されたことを、昔の同僚 (Tony Burgess at WEHI) から伝え聞いた(2)。 理論的には、GL2003 と「PP1」 誘導体 (例えば、PP12) を併用すれば、いわゆる「RAS癌 」やNF などの脳腫瘍の治療が、将来可能になったわけである。

次のステップは、これらの阻害剤の臨床試験を本格的に開始するために、大手製薬会社の一つに、この特許に基づく「創薬/売薬独占権」を保証するライセンスを売却することであろう。

参考文献; 

1. Hirokawa Y, Levitzki A, Lessene G, Baell J, et al (2007). Signal therapy of human pancreatic cancer and NF1-deficient breast cancer xenograft in mice by a combination of PP1 and GL-2003, anti-PAK1 drugs (Tyr-kinase inhibitors). Cancer Lett. 245: 242-51. 
2. Lessene G, Baell J, Burgess AW, Maruta H (2015). Protein kinase inhibitors and methods of treatment. US Patent (US 008962830B2).

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