人々の “健康促進” のために!

人々の “健康促進” のために!
2015年春、沖縄の琉球大学キャンパス内 (産学共同研究棟) に立ち上げた “PAK研究センター” の発足メンバー(左から4人目が、所長の多和田真吉名誉教授)
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2014年11月23日日曜日

水平思考: プロポリス中の 抗癌剤「CAPE」もPAKを直接阻害する?


温帯地方で採集されるプロポリスには、コーヒー酸の代謝産物「CAPE」が豊富に含まれている。PAKの活性化に必須なG蛋白「RAC」をコーヒー酸が直接阻害することが10年ほど前に発見されて以来、「CAPE」の抗癌作用は「RAC」阻害により、間接的に下流のPAKが遮断されると考えられていた。しかしながら、最近の研究から、「CAPE」が直接PAKを阻害している可能性が浮上してきた。インドカレー(ウコン)中の黄色い成分「クルクミン」と「CAPE」は化学構造が良く似ていることを以前指摘した。最近、「クルクミン」がPAKを直接阻害することが2、3の研究室で独立に証明された。PAKの「活性中心」GTPase (ATP結合部位) に直接結合して、ATPの結合を邪魔するのである。

さて、コーヒー酸がGTP依存性シグナル伝達因子 (GTPase) である「RAC」を阻害する詳しいメカニズムはまだ不明だが、恐らく「RAC」の活性中心 (GTP結合部位) に直接結合して、GTPの結合を邪魔する可能性が濃厚になった。とすれば、GTP とATPとは化学構造が良く似ているから、コーヒー酸やその誘導体「CAPE」がPAKの「活性中心」(ATP結合部位) にも直接結合して、キナーゼ活性を抑制する可能性が浮上してきたわけである。

実は40年ほど昔、私はミオシンと呼ばれる「ATPase」にGTPase (GTPを分解する) 活性もあることを偶然見つけて、びっくりした経験がある。その直後、我々はPAKが (平滑筋の収縮や細胞運動に必須な)「ミオシン燐酸化酵素」 (キナーゼ) の一種であることを発見して、世界中を驚かせた。以来、私は「水平思考の達人」になった!  従って、「RAC」というGTPaseを阻害する「CAPE」がPAKを直接阻害しても、驚くにはあたらない。今日、PAKは癌の増殖や転移ばかりではなく、認知症など様々な精神障害や老化現象、そして、ラニン色素合成にも必須であることが明らかになっている。驚くなかれ、(CAPEに化学構造が似ている) レスベラトロールやその 代謝産物「ピシアタノル」もPAKを直接阻害することが最近判明した。前述の森永製菓による研究によれば、ピシアタノルにはコラーゲン合成促進作用もある。従って、PAKには (「肌の若返りに役立つ」と言われている) コラーゲンの合成を抑える作用もあるらしい。

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