人々の “健康促進” のために!

人々の “健康促進” のために!
2015年春、沖縄の琉球大学キャンパス内 (産学共同研究棟) に立ち上げた “PAK研究センター” の発足メンバー(左から4人目が、所長の多和田真吉名誉教授)
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2015年11月13日金曜日

認知症の治療に 役立つ「FYN 」阻害剤=PAK遮断剤

癌や認知症などの難病がPAK依存性であることを前述した。 最近、米国エール大学医学部のグループ (Adam Kaufman and Steve Strittmatter) によって、認知症が「FYN 」阻害剤の一つであるAZD0530 (Saracatinib) と呼ばれる薬剤によって治療しうることが、動物 (マウス) 実験で実証され、臨床試験が開始された(1)。 しかしながら、この薬剤には細胞透過性が極めて低いという欠点がある。 さて、十数年前に我々は、PP1 と呼ばれる細胞透過性が極めて高い「FYN 」阻害剤によって、発癌チロシンキナーゼ「FYN 」がPAKの活性化に必須であることを発見した。

しかしながら、この薬剤は水に不溶性という欠点があり、そのままでは臨床には利用できない。 そこで、数年かけて一連の水溶性のPP1誘導体を開発して最近、米国特許を取得したことを前述した。 その内で、誘導体PP12 は、細胞透過性が高く (IC50=100 nM)、その抗癌作用はAZD0530の100倍にも達することが判明した。 従って、この誘導体が将来、癌ばかりではなく認知症などの老人性難病の治療にも役立つことが期待される。

参考文献: 

Kaufman AC1, Salazar SV1, Haas LT1, Yang J1, Kostylev MA1, Jeng AT1, Robinson SA1, Gunther EC1,2, van Dyck CH3, Nygaard HB1,2, Strittmatter SM1,2. Fyn inhibition rescues established memory and synapse loss in Alzheimer mice. Ann Neurol. 2015 Jun;77(6):953-71.
 

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