人々の “健康促進” のために!

人々の “健康促進” のために!
2015年春、沖縄の琉球大学キャンパス内 (産学共同研究棟) に立ち上げた “PAK研究センター” の発足メンバー(左から4人目が、所長の多和田真吉名誉教授)
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2015年11月26日木曜日

オリーブ油由来の「オレアノール酸」: 抗癌/抗炎作用やセンチュウの寿命を延ば す作用を持つ「PAK遮断剤」

オリーブ油に豊富な「オレアノール酸」(OA=Oleanolic Acid) と呼ばれるトリテルペン (ステロイドの一種) には、抗癌作用や抗炎作用などがあることが以前から知られていたが、ごく最近になって、OAがセンチュウの寿命も延ばすことが、中国のグループによって、明らかにされ、一躍注目されつつある (1)。 OAはプロポリス同様、長寿転写蛋白FOXOを活性化することによって、寿命を延ばす。 従って、PAK遮断剤である可能性が高い

OAの欠点は、(ローズマリーの抗癌成分) 「ウルソール酸」同様 、 分子中にカルボン酸を持つため、細胞透過性がひどく悪いことである。  そこで、この欠点を補うために、十年ほど前に、米国のジョンス=ホプキンス大学のグループがOAのカルボン酸を中和したいくつかの誘導体を合成した(2)。 その一つで「TPー155」(CDDO メチルエステル) と呼ばれるシアン化誘導体は、IC50が1  nM であることがわかった (ゴーヤの抗癌成分「ククルビタシン」に比べて、100倍ほど抗癌作用が強い!)。 面白いことには、このシアン化誘導体は、抗癌キナーゼ "LKB1" を活性化することによって、PAKを遮断し、糖尿病 (type 2) の治療にも有効であることが、数年前に (米国のテキサス州ヒューストンにあるベイラー医科大学の研究室により) 動物実験 (2 mg/kg) で実証された(3)。

しかしながら、10年経ってもこのシアン化誘導体の臨床テストが余り進んでいない理由の一つは、恐らく「水に難溶性である」という欠点からであろう。そこで、この誘導体のメチル基を水溶性の (あるユニークな) 側鎖に置換して、臨床に応用できるよう 改良したいと思っている。

参考文献;

1. Zhang J1, Lu L1, Zhou L2. Oleanolic acid activates daf-16 to increase lifespan in C.elegans.Biochem Biophys Res Commun. 2015 Nov 16. pii: S0006-291X(15)30912-8.

2. Dinkova-Kostova AT1, Liby KT, Stephenson KK, Holtzclaw WD, Gao X, Suh N, Williams C, Risingsong R, Honda T, Gribble GW, Sporn MB, Talalay P. Extremely potent triterpenoid inducers of the phase 2 response: correlations of protection against oxidant and inflammatory stress. Proc Natl Acad Sci U S A. 2005 Mar 22;102(12):4584-9. 

3. Saha PK1, Reddy VT, Konopleva M, Andreeff M, Chan L. The triterpenoid 2-cyano-3,12-dioxooleana-1,9-dien-28-oic-acid methyl ester has potent anti-diabetic effects in diet-induced diabetic mice and Lepr(db/db) mice. J Biol Chem. 2010; 285(52):40581-92.

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