人々の “健康促進” のために!

人々の “健康促進” のために!
2015年春、沖縄の琉球大学キャンパス内 (産学共同研究棟) に立ち上げた “PAK研究センター” の発足メンバー(左から4人目が、所長の多和田真吉名誉教授)
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2015年11月1日日曜日

炎症を誘導する LPS (多糖脂質) は発癌キナーゼ 「PAK」 を活性化し、寿命を縮 める!
抗炎症や寿命を延長する機能をもつ乳酸菌食品には、PAK遮断剤が含まれている可能性あり!

最近、韓国のプサン大学の研究グループにより、LPSがPAKを活性化することによって、長寿転写因子である「FOXO」を失活させる結果、センチュウの寿命を縮めることが明らかにされた(1)。 

面白いことには、逆にLPS (多糖脂質) の炎症作用を抑える機能を持つ乳酸菌をセンチュウに食べさせると、センチュウの寿命が2-3割延びることを、2、3年前にパスツール研究所などが明らかにしている(2)。

この2つの発見をつなぎ合わせると、次のような興味深い結論/推論が導き出される。乳酸菌には、LPSによるPAK活性化を抑えるある種のPAK遮断剤が含まれている可能性がある。 従って、例えば、ヤクルトの乳酸発酵食品 (ヨーグルト) からPAK遮断剤が抽出されるかもしれない。

 米糠を乳酸菌と酵母で発酵させると、メラニン合成を抑える作用 (いわゆる美白作用) が生まれるという論文が、数年前に韓国で発表された。 恐らく、発酵により、PAK遮断剤が生成されたのであろう。  カルピス飲料も乳酸菌と酵母で牛乳を発酵させた製品であると聞いている。従って、カルピス飲料にも美白作用のあるPAK遮断剤 (LHW=Lactobacillus fermented milk whey?) が豊富にあるかもしれない。*
逆に、LPSにはメラニン合成を刺激する作用がある(3)。 PAKを活性化するからであると解釈される。

もう一つの結論は、LPSの抗癌効果についてである。「丸山ワクチン」に代表されるLPSは、免疫作用を高めることによって、抗癌作用を期待されてきたが、(放射線照射と同様) 発癌キナーゼ「PAK」を活性化する作用もあるから、抗癌剤としては、余り期待できない!

* 十数年前にカルピスの研究グループにより、"LHW" 中に血圧を下げる作用を持つペプチド (Tyr-Pro) が発見された (4)。 高血圧はPAKの異常活性化によるので、恐らく、このペプチドがPAK遮断剤である可能性が強い。最近、このペプチドを含む"より活性の高い" (より水溶性かつ細胞透過性の高い) 6個のアミノ酸からなるペプチド(Gly-Val-Tyr-Pro-His-Lys) が中国の湖北医科大学グループによって開発された(5)。
 


参考文献; 

1. Kim DH1, Park MH1, Chung KW1, Kim MJ1, Park D2, Lee B1, Lee EK1, Choi YJ1, Kim ND1, Yu BP3, Chung HY1. Suppression of FoxO6 by lipopolysaccharide in aged rat liver
Oncotarget. 2015 Oct 24; 6(33):34143-57. 
2. Grompone G1, Martorell P, Llopis S, González N, Genovés S, Mulet AP, Fernández-Calero T, Tiscornia I, Bollati-Fogolín M, Chambaud I, Foligné B, Montserrat A, Ramón D. Anti-inflammatory Lactobacillus rhamnosus CNCM I-3690 strain protects against oxidative stress and increases lifespan in Caenorhabditis elegans. LoS One. 2012; 7(12):e52493.
3. Ahn JH1, Jin SH, Kang HY.  LPS induces melanogenesis through p38 MAPK activation in human melanocytes. Arch Dermatol Res. 2008; 300(6):325-9.
4. Yamamoto N1, Maeno M, Takano T. Purification and characterization of an anti-hypertensive peptide from a yogurt-like product fermented by Lactobacillus helveticus CPN4. J Dairy Sci. 1999; 82(7):1388-93.
5. Wang XL1, Ma SN2, Yuan YH2, Ding Y2, Li DS2. Expression and purification recombinant antihypertensive peptide ameliorates hypertension in rats with spontaneous hypertension. Protein Expr Purif. 2015 Sep;113:30-4.

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