人々の “健康促進” のために!

人々の “健康促進” のために!
2015年春、沖縄の琉球大学キャンパス内 (産学共同研究棟) に立ち上げた “PAK研究センター” の発足メンバー(左から4人目が、所長の多和田真吉名誉教授)
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2018年3月13日火曜日

「医薬品」の国際貿易 (「輸入超過」の実態!)

日本は、製薬先進国「スイスやドイツ」に見習って、医薬品の輸出をもっと伸ばすべきである、と前述したが、"実状は極めて、憂れうべき" ものである。「医薬産業政策研」の  長沢 優 氏によるいわゆる「民間白書」 (2013年) によれば、医薬品の貿易に関しては、米国 (2000 万ドル) に次いで、日本は大きな輸入超過 (赤字、 1300万ドル) を抱え込んでいる。 逆に、スイス (3100万ドル)、アイルランド( 2800万ドル)、ドイツ (1900万ドル) は、大きな輸出超過 (黒字) を楽しんでいる。

ただし、(意外な) アイルランドの統計結果に関しては、多少注釈が必要である。アイルランドには、大きな製薬会社の本店は殆んどない。 しかしながら、欧米の製薬企業の支店が、アイルランドにひしめく合っている。 その最大理由は、法人税が極めて低い (12.5%) からである。 法人税とは、企業の売り上げ (というか、純利益) に対して課税されるものであるが、 欧米や日本の高い法人税 (20-40%) を逃れるために、医薬品の「原末」は本国で製造するが、その調剤は法人税の低いアイルランドの支店で行ない、海外への販売 (輸出) もアイルランド支店からするので、帳簿の上では、「アイルランドからの輸出」として記録されるわけである。

 一昨年、話題になった例の「パナマレポート」(「法人税逃れ」に関する暴露記事) が出た頃、世界最大の製薬会社「ファイザー」が米国 (NY) にある本店をアイルランドに移す計画 (法人税逃れ) が明るみになり、世間から厳しい非難を浴びたため、その計画を結局断念したと言う記事が話題になった。実は、この移転劇は、アイルランドの首都ダブリンにある製薬会社「Allergan」をファイザーが買収して、本部をダブリンに移すという巧妙な手口を使ったのだが、オバマ政権の財務省から「待った」がかかって、オジャンになった! 当時の財務長官 (Jack Lew) はハーバード大学出身で、どこかの国の財務大臣と違って、頭脳が抜群に切れる。。。

ともあれ、世界2位の「Novartis」、 世界3位の「 Roche」を抱えるスイスに関しては、「正真正銘の黒字」であるし、製薬で古い伝統を誇る「Bayer」 や 「Merck」などを抱えたドイツも医薬品貿易で「黒字」を続けている。

 主要国の医薬品 "輸出" 額 (万ドル) の番付は以下の通り:
トップはドイツ (6600)、2位がベルギー(5100)、  3位がスイス(5000)、 4位が米国 (4400)、 フランス (3400)、 英国 (3400)、 アイルランド (3200) と続き、日本はたった "400" (万ドル) に過ぎない。 残念ながら、日本は「医薬品」業界では、未だ「後進国」に属する!  

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