人々の “健康促進” のために!

人々の “健康促進” のために!
2015年春、沖縄の琉球大学キャンパス内 (産学共同研究棟) に立ち上げた “PAK研究センター” の発足メンバー(左から4人目が、所長の多和田真吉名誉教授)
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2018年3月1日木曜日

歴史小説「ネアンデルタール人との出会い」(Meeting Neanderthals)

昔々 (4万5千年ほど前のある日) のこと、はるばるアフリカ大陸の北東岸 (エチオピアあるいはケニア方面) から 、 新人「クロマニヨン人」(ある人類の祖先) による「民族の大移動」が始まった。地球温暖化による大飢饉のため、食料が枯渇したためである。その大部分は、エジプトのカイロ東岸にあるシナイ半島ずたいにアラビア半島の西岸  (現在のパレスチナ) をひたすら北上して、小アジア (トルコ) 経由で、原始林の豊かな欧州大陸 (ギリシャやイタリア方面) に向かった。

ところが、残る少数の一隊 (砂漠生活に慣れている賢明なベドウイン族の祖先) は、長らく続く部族間の血なま臭い争いを避けるため、ラクダを主体にした独自の隊商を組んで、アフリカ北岸ずたいに、一路 (正反対の) 西方に向かって旅を続け、西岸モロッコのタンジールに達した後、ジブラルタル海峡 (幅14キロメートル) を幾つかの小舟や筏で渡って、欧州のイベリア半島 ( スペイン地方) の南岸ジブラルタルにたどり着いた。 この 隊商は海岸沿いに一路、更に西へ向って進み、ポルトガルの海岸線を北上し、リスボンを通り過ぎて、更に北上し、現在のスペイン領内の最西端フィニステーレ (地の果て) に達し、その海岸近くに小さな部落を形成し、「安住の地」とした。

ある夏の日の夕暮れ、日没前に、ある黒髪の若い女性が海岸の岩に下着を脱ぎ捨てて、一糸まとわぬ姿で独り、海水浴を楽しんでいた。 そこへ偶々、狩猟の帰りに、立ち寄った「タール人」 (もう一つの人類祖先で、欧州の土着民族) に属する赤毛の若者が、女性の下着が岩の上に放置されているのに気づく。若者はそれを取り上げてから、辺りを見渡す。海の遠方に、誰か泳いでいる姿がポツンと観察された。若者は一計を案じて、その下着を草むらに隠す。

日没直前に、その女性が海から上がってきて、下着を探し始めるが見つからない。途方にくれている女性の前に、若者がぬ-っと姿を現す。 女性はあわてて身を屈め、両手で股間を隠す。 若者が何かを叫んでいるが、言葉が皆目わからない。 若者はその娘の手を引いて、下着を隠してある、近くの草むらに導く。4万5千年前当時の女性の下着とは、藁作りのスカートのような物 (ハワイのフラダンサーがまとう「腰巻き」!)。

若者は、それを丁寧に娘の腰に巻きつけてから、爪先で背伸びをしながら、長身の女性の唇に軽くキスをした。真っ赤に顔を上気させながら、女性はその場に呆然とした。 翌日の日没前にも、女性は腰巻きを同じ岩の上に脱ぎ捨てて、海水浴を楽しみながら、あの若者の姿が再び現れるのを待つ。 何日か、そのようなゲームを繰り返す内に、2人の男女は、もう別れられなくなる。

そこで、ある日の晩、その娘は、意を決して、若者を自分の部落に案内する。部落の全員が赤毛の若者をみて、ビックリ仰天する。どこの馬の骨かわからぬ短身の男と結婚など、論外だと娘の両親も親戚も主張する。 そんな日が何度か続く内に、この原始時代の「ロメオとジュリエット」劇は、遂に圧巻を迎える。幸い、未だ英国の文豪シェークスピアが登場する遥か以前の出来事で、「大悲劇」は回避された。

若者は見事捕らえた一匹の大鹿などを土産にして、とうとう(新人の) 両親の説得に成功した。その後、この若者は新人の部落に婿入りして、タール人部落と新人部落との間の仲立ちの役を果たすことになる。勿論、結婚後一年以内には、混血の可愛い赤子が誕生する。 その赤子は背の高い赤毛の娘 (クロタール, Crothal) に育っていく。 そして、娘は "シャーマン" あるいは画家となり、年老いた父親と共に、洞窟の壁に (主に赤チョークで) 一連の動物を含めた抽象画を、タール人生の証しとして、後世に残していく。

エピローグ:  イベリア半島の北西岸沿いに一連の不思議な洞窟画が2014年から2018年にかけて、欧州の考古学者らによって続々と発見され、絶滅した「タール民族の作品」であることが証明され、一大センセーションを巻き起こす。虎 (タイガー) は死後、毛皮を残すが、タール人は死後、歴史的な芸術作品を残した!  その発見に刺激されてか、ある豪州永住のアジア系老人 (75歳) が半世紀に渡る抗癌剤開発研究に終止符を打ち、タール民族の血を受け継いだ「赤チョーク」画家になることを決意したという噂が巷に流れている。 。。この老画家の言によれば、「最後のサムライ」と称された「西郷どん」(上野公園にある銅像) は、タール人の体躯 (頭でっかち、大きな目、頑丈な胴体、短身) に全くそっくりだそうである。

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